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所信表明(平成22年6月)

[2010年6月25日]

ID:9

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平成22年第2回多摩市議会定例会市長所信表明(阿部市長)

市長所信表明の様子

(注)本文書は筆記録ではありませんので、当日、市長が述べた文言と若干の相違点があります。

平成22年第2回多摩市議会定例会の開催にあたり、私の市政運営に対する所信を申し述べて、市議会ならびに市民の皆さまのご理解とご協力をお願いしたいと存じます。 

※下記リンク先より動画も配信しております。どうぞご覧ください。

所信表明動画ページ(提供元:TAッComTV)(外部リンク) (別ウインドウで開く)

第1 はじめに

4月11日の多摩市長選挙において、市民の代表として市長に選出いただきました。4月21日の就任以来、私に寄せていただいている期待の大きさ、14万8千人の市民の代表として市政に臨むことの重みを感じています。私は、多摩市で暮らし、働き学び、活動する市民のみなさん、投票によって選出され市の意思決定に深く関わられる市議会のみなさんとともに、多摩市のまちづくりに全力で取り組んでまいります。私たち市民ひとり一人が、それぞれの立場から知恵と力をあわせて課題に向き合い、ともに将来に向けた道筋を描いていかなければならないと考えています。よろしくお願いいたします。
所信を述べるにあたり、現在の多摩市を取り巻く状況について、私の認識を申し上げます。

第2 多摩市を取り巻く状況と政治姿勢

歴史的な政権交代

昨年8月30日の衆議院議員総選挙で、私たちは一人ひとりの判断の積み重ねにより政権交代を選択し、民主党を中心とした連立新政権が樹立されました。戦後の歴史のなかで、選挙による政権交代は実質的に今回が初めてのことといえます。私は昨年の政権交代による新政権樹立は日本の政治史上でも特筆すべき転換期のはじまりと認識しています。「霞ヶ関・官僚主導型から政治主導型へ」、「中央集権から地方分権・地域主権へ」など、政治・行政のしくみや考え方が根本から変わろうとしている序章だと思っています。特に地方自治を重視した「地域主権」への変革が大きなテーマとして浮上していることは、私たち市民一人ひとりにとって責任と自覚を新たにする契機ともいえます。内閣府に地域主権戦略会議が設置されるなど、本格的な地方自治体への権限・財源移譲に向けた動きが加速しているなかで、「地域主権」の政治をどのように紡いでいくか私たちの姿勢が問われています。

政権交代の背景にあった経済情勢

また、私たちを取り巻く厳しい経済情勢についても言及しなければなりません。2007年の夏以降、米国のサブプライム・ローン問題に端を発し、2008年9月のリーマン・ショック、2009年11月のドバイ・ショックなど、グローバル経済は「100年に一度」といわれる金融危機の大混乱に見舞われ、大きな打撃を受けました。日本においても、自動車・電機などの製造業を中心とし、幅広い業種の大手企業が大規模な赤字決算となり、同時に急速な人員整理・削減や生産停止・縮小を進めました。その結果、雇用情勢は大幅に悪化、生活不安が高まりました。現在、大手企業を中心に企業業績は回復を見せつつありますが、「雇用なき景気回復」ともいわれるように、雇用情勢は依然として厳しい状況が続いています。こうした激変のなか、かつての小泉内閣に象徴された、いわゆる新自由主義的な政治への共感が薄れ、生活者第一の、暮らしにやさしい政治への転換が期待されるようになったことも、昨年の政権交代を語るうえで欠かせない背景であったと認識しています。

フラット化する世界

しかしながら、その認識だけでは不十分であると、私は考えています。私たちが念頭に置いておかなければならないことは、経済のグローバル化は世界をフラットなものへと変容させ、私たちは否応なくグローバル経済の激変とつながるようになり、インターネットの普及による時間軸を越えた情報のフラット化とも重なり、世界規模の競争にさらされるようになったということです。グローバル化は、景気・不景気の波だけではない、構造的なものとして、日本を含む先進諸国から新興諸国へと、生産拠点やそれに付随する雇用を移転させてきました。そのような環境においては、広い視野をもちながら多摩市が地域としていかに自立していくかを考え、進むべき道を模索しなければなりません。グローバルな視点から、多摩市や東京都、日本全体を見つめることが肝要と私は考えています。

世界の多極化、協調による経済運営

特にリーマン・ショック以来の金融危機下でこの環境変化は顕著でした。グローバル経済は米国一極集中から経済成長著しい中国やインド、ブラジルなどの新興国も加わったG20(主要20カ国・地域首脳会議=金融サミット)を中心とするものへと多極化し、この枠組みにおいて、膨張し暴走した金融市場と金融機関への規制強化が論議されています。そしていま、ようやく経済が最悪期を脱し、各国協調の金融政策・財政政策の出口戦略が議論されるようになりました。しかし、ギリシャの財政危機が表面化し、ユーロ圏を中心に再び金融システム不安が高まっています。金融不安を再燃させたギリシャ財政危機は、単一通貨ユーロの試練であるだけでなく、各国が協調して打ち出した大規模な財政出動の結果として劣化した財政、これについて健全化の見通しを明らかにしなければならないことを示唆していると認識しています。

財政への懸念

さて、日本の財政はどうでしょうか。郵政民営化や年金問題をはじめ、今回のギリシャ財政危機は対岸の火事として過ごすことはできない状況ではないでしょうか。1990年代以降の長引く不況もあり、これまで膨らみ続けてきた国と地方の長期債務残高は、2010年度当初予算ベースで約862兆円にのぼります。そのほとんどを国内の資金によりまかなっているため安定しているものの、今後進展する人口減少と高齢化、成熟し成長率が低位にとどまるであろうと思われる日本経済の状況では、これ以上の債務残高の増加について慎重でなければなりません。

少子高齢化と社会モデルの転換

日本で進展している少子高齢化は、財政に限らず、私たちの社会のありようを根本から変えて対応していかなければならない課題です。それは、まず世代間の負担の格差に目を向けることであり、本当に必要なことは何かを議論し、持続可能な社会モデルを形成していかねばなりません。つまり、グローバルに対してのローカル、競争に対しての共生、発展・開発に対しての持続可能性など、私たちの主体的な選択によって地域社会の安定が増せば、少子高齢化に歯止めがかかるかもしれません。フラット化する世界におけるグローバルな競争状態を意識しつつ、私たちは多摩市という地域で豊かに暮らし続けるために、新しい地域社会のあり方を模索するという難題に向き合っていかなければならないのです。
例えば、世界一洗練された消費社会のひとつともいえる日本では、大量生産・大量消費から、少量多品種・こだわり消費へと消費のスタイルが徐々に変化してきました。そして、地産地消の推進や、スローライフの実践、地域通貨への挑戦、若者の就農増加など、ローカル・レベルでの試みが徐々に拡がりを見せています。私は、このような動向を分析し、新しい地域社会を創造していくことが今後のカギになると考えています。
持続可能性を考慮することについて多摩市にひきつけて考えるならば、例えば、これから私たちが負担し続ける都市基盤やインフラ、いわゆるハコモノの維持管理費用について考え、少しでも将来世代に負担やツケを遺さないよう判断していくことです。あるいは、ニュータウン再生において、場合によっては減築や縮合の考え方を採用し、空間的な豊かさを追求することで住環境の魅力を高めることかもしれません。さらに、地域における雇用創出を真剣に考え、職住近接の、地域内でお金が好循環するしくみづくりをめざすことを第一に考えなければなりません。

地域社会と地球環境問題、平和を実現することのかかわり

地域社会における新しいモデルを模索し、少しずつでも取り組みを始めていくことは、地球環境問題を語るうえでも重要であると私は考えています。グローバル経済は、先進国に含まれる日本で暮らす私たち消費者にとっては、確かに経済効率よく低価格で製品を購入することを可能にしています。しかしながら、それらの製品を遠方の生産拠点から輸送するために多量の化石燃料が使用され、地球環境に大きな負荷をかけています。
資源をめぐっての戦争や紛争が、世界では絶えません。多くのいのちが奪われ、子どもたちの未来が破壊され続けている状況に対して、私たちも無縁ではないという想像力をもって、地域から変革を創りだしていきたいと考えます。ただそれを望むのではなく、具体的な選択をし、アクションを起こすことで、乗り越えていかなければなりません。何よりも、強く訴えたいことは、核兵器のない平和な社会を創造していくことです。このことは世界の人々の願いであり、私たち大人の責務でもあります。自由であるということは、私たちに選択権がある、ということです。具体的な選択によって、「積極的平和」を求めていくことが重要です。
そしてそれは、地球環境の保全にもつながってきます。2010年、今年は生物多様性年です。生物多様性への配慮は、いのちの連鎖としての生態系全体の課題であり、人類とっても無視できないことです。

内向きでなく外向きに、ポジティブに

以上、現状認識を申し上げてきましたが、私たちは、内向きでいればよかった時代は過ぎ去り、世界レベルの大きな視野で地域社会について考えなければならない時代を迎えているのではないでしょうか。そしてそれは、辛く苦しいことではなく、ドキドキ、ワクワクする話なのではないでしょうか。内向きの議論では限界を感じてきたことも、外に目を向けることで、新たなアイディアやチャンスをとらえることができる、と。前向きに、将来に向けて理想を掲げ、チャレンジを続けていくことこそが、この時代の閉塞感を打破していくことにつながります。「ポジティブ多摩へ!」。危機感をもちつつ、前向きに知恵を出し合って活力ある元気な多摩を創造していく、それが最も重要なことだと考えています。

政治姿勢

これまで申し上げてきた多摩市を取り巻く状況についての認識を踏まえたうえで、私が市政に臨むにあたって重視していきたい基本的な考え方について三点申し上げます。
第一に、社会で弱い立場にある存在にしっかりと目を向けることこそが政治の役割であり使命であると、私は考えています。いのちの尊厳や人権を保障し、積極的平和を希求することを基本的な姿勢として掲げていきたいと思います。いま学んでいる子どもたち、これから生まれてくるいのち、ハンディをお持ちの方、さらにはモノいえない動植物にまで幅広く目をくばり、共生する地域社会をめざします。
第二は、公正で自由な社会をめざすことに貢献するということです。私は、良識ある自由に基づいた創意工夫により、活発な地域社会・市民社会の創造が可能になると考えます。お互いの価値観や意見の違いを認め合いながら議論することにより、よりよい判断を下していく。そのためにも、決定プロセスを重視するとともに手続きの透明化を推し進めるなど、しっかりと合意形成を図る努力をしてまいります。
そして第三は、持続可能であるモデルを模索することです。私は、最少の経費で最良の行政サービスを提供できる効率的なしくみづくりを意識して、市政に臨みます。これは、いわゆる「小さな政府」や「大きな政府」という二元論を超え、本当に必要なところに迅速にサービスが行き届くよう、常に物事の本質を見極め、しがらみにとらわれず最適なしくみの構築をめざすことです。多摩市がこれまで進めてきた行財政改革の道筋は踏まえながらも、さらに深刻化する社会経済状況、行財政環境に照らせば、改めてあらゆる計画について見直しをかけ、変化への対応を図るとともに、特に、いわゆるハコモノの拡大については慎重に、スクラップ・アンド・ビルドの姿勢を基本としたいと思います。

第3 4つの政策の柱と基本的な姿勢

選挙で掲げた政策、4つの柱

私は、以上のような基本的な考え方に基づき、市長選挙で政策<多摩みらいビジョン>を掲げ、「市民主権のホスピタリティあふれる多摩市」、「持続可能な住宅都市・多摩の再生」、「人にやさしく希望ある多摩」、「未来への夢をつむぐ地域コミュニティの創造」の4つを政策の柱として訴えてきました。この4つの柱それぞれについて、いくつかの例を挙げながら、私が考える多摩市の課題とその対応における基本的な姿勢を申し上げます。

市民主権のホスピタリティあふれる多摩市へ

まず、「市民主権のホスピタリティあふれる多摩市」を掲げた理由について申し上げます。
多摩市においては、これまでも審議会や行政計画策定過程への市民参画などに取り組んできていますが、形式的には多摩市自治基本条例やそれに関連する諸規則に則っているものの、真の市民主権と呼ぶには未だ道半ばです。私が「市民主権」という言葉を選ぶのは、「地域主権」を積極的に推し進めたいとの想いからですが、あるいは「主権在民」という表現も可能かと思います。
しかし、状況認識でも申し上げた通り、人口構成でも経済構造でも右肩上がりの時代ではありません。私たち市民一人ひとりの自覚と責任が問われる時代です。いまこそ「お願いする政治」から「ともに汗を流す政治」へと切り換えていかなければなりません。
そうした自覚のうえで、「大事なことは市民が決める」ということを基本に、納税者・消費者・まちづくりの主体者・行政サービスの受け手など、さまざまな側面をもつ市民のみなさんから幅広い理解と納得が得られるよう、また合意形成の精度を高めるために有効な市民参画の手法や制度を検討し積極的に取り入れていきます。これは、市議会と市長の相互機能、いわゆる二元代表制を歪めるものではないと考えています。選挙は間接民主主義の正統性を担保する重要な手続きですが、市民は政治家にすべてを白紙委任したわけではないともいえます。幸いに多摩市議会は議会基本条例を制定し、市民に開かれた先駆的な議会です。市議会議員のみなさんとともに地域社会の民主主義を維持・発展する努力を重ね、二元代表制の補完をはかることで主権者である市民のみなさんの期待にしっかりと応えていきたいと考えています。多摩市という自治体の政治において、これまでの市民のみなさんや市議会、行政の取り組みを振り返れば、困難はあっても、必ずよりよい市民参画のしくみを定着させることができると確信しています。
「ホスピタリティ」という言葉は、「カタカナでわかりづらい」とのご指摘もいただいていますが、私がめざす多摩のまちづくりにおいて基礎となる考え方を象徴しています。
私は、大きく分けて2つの意味合いで、ホスピタリティのある街づくりをめざしたいと考えています。ひとつは、この多摩市に住み、働き学び、活動する私たち市民がそれぞれの背景や立場の違いを理解しあい、相手の思いをくみ取りながら、お互いにとってよりよい着地点を探っていくという共同作業です。実際の場面では困難を極めることも予想されますが、冷静な議論を積み上げていくことは、私たちが何か決断を下すときに欠かせない基盤となるはずです。また、盛んな市民活動をさらに活発化させるだけでなく、小さな声にもしっかりと耳を傾けることがホスピタリティあふれる地域づくりにつながります。
もうひとつは、多摩市の行政活動におけるホスピタリティです。毎日毎日、本当に多くのみなさんが市役所、公民館、図書館などにお越しになられています。ワンストップサービスをはじめ、市民のみなさんのご相談にしっかりと対応できる窓口体制を築いていきます。また、多摩市には市民のみなさんによる参画・協働を得ながら取り組んでいることが多く、業務委託や補助金の交付を通して推進している事業もあります。そのように多くのみなさんとのつながりのなかで行政活動があることを改めて認識し、お互いに街を大切にしていく環境を整えなければと考えています。最も大事なことは、行政への信頼を構築していくことです。

市民主権のホスピタリティあふれる多摩市の実現にむけた具体策

「市民主権のホスピタリティあふれる多摩市」を実現するための具体策を申し上げます。
まず、市民のみなさんとともに多摩市のまちづくりを考えていくため、情報の公開と共有をさらに推し進めます。多摩市自治基本条例に定められた参画と協働についてその原点を確認し、取り組みを深化させていきます。新たな試みとして、公開の場で市民参画による事業評価・仕分けを実施します。地域別・テーマ別の集会開催、出前相談会の実施など、市民のみなさんとの対話の場を設け、積極的に意見交換していきます。さらに、市民全体の意思表示・意思決定のインフラとしての「住民投票条例」制定をめざします。
そして、市民に身近で利用しやすい市役所を実現するために、市職員全員との対話を図ります。プロフェッショナルとしての職員の力が存分に活かされる、やさしさと誠意あふれる風通しのよい市役所を実現します。市行政への信頼を高めるため、「日本一高い」といわれる職員給与について、職員の勤務実態と給与体系の検証から取り組みます。また、ムダがなく行き届いた行政サービスを実現するための基本となる「公共サービス基本条例」制定をめざします。また、公共事業に従事する労働者の賃金確保のため「公契約条例」制定により、市発注の事業や業務委託などにかかわる民間事業者に対し責任を明確にするとともに、市が定める最低賃金以上の給与支払いを義務付けます。

持続可能な住宅都市・多摩の再生へ

第二の政策の柱、「持続可能な住宅都市・多摩の再生」について申し上げます。
改めて申し上げるまでもなく、多摩市は大規模なニュータウン地域をかかえる世界でも有数の住宅都市で、都心アクセスの利便性が高いことから、住宅を中心としながらも多機能複合都市としての開発が進められてきました。公園や街を彩るみどりは豊かで、この街の住み心地は高く評価されています。「多摩市自治基本条例」の前文にもあるとおり、私たちは、先人の英知とたゆまぬ努力によって発展してきた大切なこのまちを、より暮らしやすくするとともに、次の世代へ引き継ぐために、ともに力をあわせて自ら築いていかなければなりません。
一方で、隣接する稲城市、八王子市、町田市を含む広大なエリアが一体的に開発されてきた多摩ニュータウンは、国や東京都の住宅政策・都市計画の結果としての、壮大な街づくりの実験でもありました。1971年の諏訪・永山地区への第1次入居から40年を迎えようとしているいま、ハード・ソフトの両面から、その再生が語られるようになってきています。市域の約6割をニュータウン地域が占める多摩市にとって、ニュータウン再生・リニューアルは避けられない大きな課題です。
この街の魅力を高めることは、結果的に居住人口増や企業誘致に結びつき、財政面からみても重要な課題といえます。さまざまな事例を共有するなど、街づくりの主体となる市民のみなさんの支援に力を入れるとともに、多世代が安心して住み続けられることに配慮し、職住近接、地域におけるケア体制の構築、移動の自由・交通権の保障などをめざすべきであると考えています。
また、この間、多摩市でも少子高齢化の影響で、人口構成に変化が現れてきています。それに関連して、各地域にバランスよく配置され、地域コミュニティの核として機能してきた学校の統廃合が進められました。私は、学校の地域における位置付けを確認し、総合的な観点でこの課題に向き合っていかなければならないと考えています。
そして、持続可能な都市の象徴は、環境政策です。住環境と切っても切れないみず・みどりや空気の保全はもちろん、次世代型の循環型環境政策を展開し、環境先進都市・多摩の発信をめざします。

持続可能な住宅都市・多摩の再生にむけた具体策

「持続可能な住宅都市・多摩の再生」を実現するための具体策を申し上げます。
まず、住宅政策についてです。多摩ニュータウンの再生については手法を検討し、地区によって最適な対応を心がける必要があると考えています。現在、分譲団地で駅からも比較的近い諏訪2丁目住宅において建替え計画が進んでおり、全国的な注目を集めています。市民のみなさん主体による計画的な修繕や改修などの再生手法も含め、必要な支援に取り組みます。具体的には、「街づくり講座」などにより住環境整備についての情報提供や事例の共有を通じて管理組合や自治会の活動をサポートします。また、空き家対策や老朽化への対応などについて、都市再生機構や東京都などと十分な協議を進める考えです。子育て世帯や親子近居への優遇策の拡充、高齢単身者や学生向け住宅の確保などの利用面での対応に加えエレベーター設置などの改修、建替えなどの施設・設備面での対応についても働きかけてまいります。
次に、街づくりの観点からいくつか申し上げます。地域経済の活性化や雇用の創出・確保を進めていくために、起業・創業を支援するとともに観光事業に取り組んでいきます。ニュータウン地域の未利用地については、都市としての魅力を高めるために計画的な企業誘致や住宅開発を進めます。その際、「多摩市街づくり条例」を十分に活用し、景観や環境負荷にも考慮した、調和のとれた街づくりを進めていきます。また、ミニバスの利便性を高めるなど地域をつなぐ公共交通システムを確立し、交通バリアフリーを実現するとともに地球環境にもやさしい街の実現をめざします。
市立学校の配置・統廃合については、子どもたちと保護者のみなさん、地域の市民のみなさん、学校それぞれの意向を十分に踏まえ、地域コミュニティの観点が活かされるように、協議のあり方も含め、見直しを検討します。そして、今後の長期的な視野で市立学校のありかたを議論し、合意を得ながら計画を立てるなどの取り組みを進める考えです。同時に、学校跡地施設の恒久活用方針についても、現状を把握しながら適切な見直しをかけてまいります。
循環型環境政策への取り組みとしては、部や課を越えた連携により、生物多様性に配慮したみず・みどり保全、農業振興、地産地消の学校給食、自然エネルギーの活用など、「食といのちの循環がみえる」横断的な環境政策を展開します。

人にやさしく希望ある多摩

第三の政策の柱、「人にやさしく希望ある多摩」について申し上げます。
地域社会の活力の源泉は、そこで暮らす人たちの元気であり幸せです。私たちは生まれ、育ち、働き、ときに休み、年を重ね、そして最期の時間を迎えます。ライフステージに応じたサポートとともに、誰もが自分らしく活き活きと夢をもって暮らし続けられる地域づくりに取り組みます。多様性を認めあい、性別や障がいを越えてすべての人の人権が保障され、必要なときに迅速な介護・支援を受けられる体制の確立をめざします。
現在、国では、子ども手当の支給や公立高校無償化・高等学校等就学支援金などがスタートしています。政権公約には後期高齢者医療制度の廃止、障害者自立支援法の廃止なども記載されており、今後も制度の変更が予測される状況ですが、多摩市として早急に取り組むべき子育て・子育ちの応援、健康福祉の増進、介護・支援の体制強化などに取り組みます。
また、私たちが暮らす地域のことだけでなく、広い視野で世界のことを考え、動向を注視していくことも大切と考えています。私は積極的平和について考えていくことを表明いたしましたが、この地域で世界の平和のためにともに学びあえるように施策を練りたいと思います。

人にやさしく希望ある多摩の実現にむけた具体策

「人にやさしく希望ある多摩」の実現に向けた具対策について申し上げます。
まず、子育て・子育ちの支援についてです。多摩市では、すべての子どもの健やかな成長を支えるために、相談・支援体制を整備し、地域で孤立しない子育て環境づくりを進めてきました。一方、厳しい経済状況やライフスタイルの多様化などにより、子育てと仕事の両立支援が喫緊の課題となっており、現在、200名を超える保育園の待機児がいます。保育園関係者の協力も得ながら、全力を挙げてこの問題に取り組み、保育園の待機児童ゼロをめざします。学童保育の時間延長の実施にむけて検討を進めるとともに、放課後子ども教室事業の拡充にも取り組みます。また、学校においては、子どもたちが将来の夢を描き、社会で生きる力やリテラシーを育めるよう、読書・新聞閲読の機会づくりに力を入れます。
次に、健康福祉の増進と介護・支援の体制強化についてです。「自分の健康は自分で守り、つくる」を基本に、相談しやすい環境づくりを進めます。また、予防医療の観点から15歳以下の幼児・児童、65歳以上の方を対象にワクチンの公費助成を実施します。健康で心豊かな生活とともに、医療費軽減にも寄与するものです。多摩市を終の棲家としていくために、在宅で安心して暮らし続けられるしくみの構築をめざして医療・介護・福祉のネットワーク化を検討するとともに、地域密着のグループホーム、特別養護老人ホーム、ケアハウスなどの施設整備を計画的に進めてまいります。さらに、お互いに支えあう安心の地域コミュニティづくりを進め、無縁死、いわゆる孤独死のゼロをめざします。
そして、人権、多様性を保障する取り組みです。DVや虐待の問題解消に向けて、関係機関との連携を図るとともに、シェルターへの支援等についても検討を進めます。「男女平等条例」制定については、市民のみなさんのなかで主体的な取り組みが進められてきていると認識しています。具体化についてはその目的や意義の共有を市民全体で十分に図りながら、取り組んでいきたいと考えています。
また、平和な世界を希求し、平和の想いを育み語り継ぐ取り組みを支援します。

未来への夢をつむぐ地域コミュニティの創造

第四の政策の柱、「未来への夢をつむぐ地域コミュニティの創造」について申し上げます。
新しい地域社会のモデルを模索し、創造していくのは私たち市民ひとり一人です。「新しい公共」について、市民のみなさんと共有を図りながら、これまで進められてきた市民協働や市民活動支援について、その意義や効果、今後の行政としての役割の果たし方などについて検証・検討を進め、対応を図っていきたいと考えています。
地域コミュニティの核となる学校について、さらなる市民開放を検討するとともに、そこでの幅広い世代の出会いやふれあいを創りだしていくことをめざします。また、人々の往来・交流をつくることで、にぎやかで活気あふれる地域づくりをめざします。

未来への夢をつむぐ地域コミュニティの創造にむけた具体策

「未来への夢をつむぐ地域コミュニティの創造」にむけた具体策について申し上げます。
「地域主権」をめざした取り組みは、多摩市でもさまざまな試みがされてきました。地域ごとに開設されてきたコミュニティセンター、また地域の青少年の健全育成に力をさいてきた青少年問題協議会地区委員会、さらには地域での市民による支えあいを実現させようとする多摩市社会福祉協議会による地域福祉推進委員会など、多くの事業も展開されています。一方で行政の縦割りによる弊害も指摘されているところです。私は、「(仮称)地域委員会」を創造していくべく、まずは、先進自治体の取組みなどを研究・調査し、多摩市のこれまでの取り組みをベースにしながら多摩市ならではの取り組みとしての地域委員会構想の実現を目指します。
また、学校運営への市民参加を充実させ、地域で暮らす市民の世代を超えた交流を実現します。将来的には、学校での地域の給食サービスなども検討していきたいと考えています。
地域が元気になるために、地域での起業支援などに取り組むとともに、地域を支える人と人とのコミュニティの場や地域活動を応援するしくみとして、地域通貨やポイント制度の実施に向けた検討を進めていきます。市民活動情報センター、ボランティアセンター、NPOセンターについて、それぞれの目的と役割を明確化しながら、一体的に機能を充実させていきたいと考えています。
さらに、学校跡地や校舎、公園、道路などを活用した、文化・芸術の拠点をつくることで市民の創造力を応援するとともに、街全体のにぎわいを演出します。さらに、隣接する自治体との連携も探りながら、公共施設の相互活用・交流を充実していきます。

第4 むすび

以上、<多摩みらいビジョン>に沿って、私の多摩市についての現状認識とそれにたいする基本的な姿勢を申し上げました。
時代が、世界が大きく変わりつつあるなかで、今後の多摩市をどのような方向で考えていくべきか、これは決して簡単なことではありません。私たち市民による自己決定や自己責任のなかで、自治・自立していくことは、大きな挑戦です。私は初めての民間出身の市長として、初めての経験としてこれから市政に臨んでいきます。ぜひとも、誰かにお任せではなく、ともに考え、行動していくことを、市民のみなさんに呼びかけたいと思います。
また、平成23年度からスタートする第五次多摩市総合計画は新たな時代に向けた計画となります。「市民主権」のもと、今まで述べてきた理念や政策を具体化するとともに幅広い層の市民のみなさまの意見を聞きながら、多様な参加手法でつくりあげていきます。本計画を市民と市議会が共有し、ともに市民の幸せを築いていく計画となることを願っています。
「市民主権」の多摩市の主人公は市民のみなさん、お一人おひとりです。私は市長として責任をもって、活力あふれる地域づくりを、みなさんとともにめざしてまいります。
最後に重ねて、市議会、ならびに市民の皆さまのご支援とご協力をお願い申し上げて、私の所信表明といたします。

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