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多摩市行財政診断白書 第1部 総論編 第1章 危機にある多摩市の財政状況(2)

最終更新日:平成20年3月31日

1.2 歳入

1. 歳入構造

 多摩市の歳入構造を見ると、市税の割合が高いことがいえます。平成13年度決算では、歳入の61.9%を市税が占め、26市総計の割合53.3%に比べても、高い割合となっています。全国的に、市民一人あたりで比較しても、市税割合の高さが明らかです。(図表6)

 多摩市の属する都市類型(IV―5:人口13万~23万人で、第2次、第3次産業従事者が95%以上、かつ第3次産業従事者が65%の都市)の平成13年度決算データ

  • 類似都市市民一人あたりの歳入に占める市税の割合44.2%
  • 多摩市民一人あたりの歳入に占める市税の割合59.6%

図表6 多摩市と類似都市の歳入構造

 一方、国からの各種交付金は、多摩市が普通交付税の不交付団体であるため、類似都市に比べて割合が低くなっています(多摩市9.9%・類似都市18.4%)。そのほか多摩市の特徴としては、財産収入・諸収入等の割合が低く、国・都道府県からの支出金の割合が高いことで、特に都道府県支出金については類似都市が4.1%であるのに対し、多摩市が11.4%と2.8倍にもなっており、それだけ、東京都の財政の影響を受けやすい構造になっているといえます。

(注) 普通交付税の不交付団体
 普通交付税は、「地方交付税」の一つ。「地方交付税」は、所得税、法人税等の国税の一部を財源に、一定水準の行政運営を行うための基準財政収入が基準財政需要に満たない地方公共団体(都道府県や市町村)に対して国が交付するもので、地方公共団体の財源の均衡化を図り行政の計画的運営を保障することにより地方自治の本旨を実現し、地方公共団体の独立性を強化することを目的としています。地方交付税には「普通交付税」と「特別交付税」があり、普通交付税は地方交付税の94%に相当する額とされています。多摩市は、普通交付税の不交付団体です。

 歳入に占める市税の割合が高いということは、それだけ独自の政策を打ち出せる可能性をもっているということで、大都市部の市では市税の割合が比較的高い傾向を示します。しかし、平成6年度以降、減税が実施されたため、各市、税収の伸びが抑えられた中で、多摩市は、固定資産税の伸びが個人市民税の減少を補ってきたため、その影響が端的には現れませんでした(ただし、借金の残額は増え、歳出ではその償還額が発生)。また、平成11年度に、恒久的減税実施に伴い、「地方特例交付金」が創設されたことから、一般財源の補てんができ、行政改革についても、激変を伴う改革については、手をつけずに済んでいた面があります。
 しかし、後述するように、今後、固定資産税の伸びも見込めず、高齢化の影響により、退職者が増加する中では、市税の割合が減少することが予測されます。また、これまでニュータウン事業関連で手厚かった都支出金も、都の財政状況から厳しい状況となることが見込まれ、歳入構造も変化せざるをえません。地方分権により国から自治体に施策の決定権限が移譲されることにともない、これに見合った財源移譲を一層働きかける必要があります。

図表7 多摩市の歳入構造の変化

図表8 13年度決算26市の市民一人当たりの歳入状況

2. 市税

図表9 市税構成の変化と人口の推移

 市税総額は、平成4年度までは対前年度比5%を超える高い伸び率でしたが、それ以降伸び率は鈍化し、平成9年度に295億4,936万3千円でピークを迎え、平成10年度には、初めて前年度よりマイナスとなりました。平成11年度は、特殊要因でプラスに転じたものの、12年度・13年度とマイナスとなっています。平成13年度決算では、ピークの平成9年度からマイナス4%となっています。
 市税を主に構成する市民税(個人・法人)、固定資産税、都市計画税のそれぞれのピークは、次のとおりです。また、人口については、平成4年3月31日現在の144,003人(住民基本台帳)をピークに減少に転じ、平成13年度は、ピーク時から2.9%減となっています。

 市税の主な税目のピーク

  • 市民税(個人) 平成4年度 133億4,958万円
  • 市民税(法人) 平成8年度 32億7,855万8千円
  • 固定資産税 平成13年度 128億1,825万4千円
  • 都市計画税 平成11年度 21億695万4千円

 個人市民税は、平成4年度をピークに平成9年度まで増減を示し、それ以降、減少し続けています。個人市民税の減少については、人口の減少と景気低迷の影響があるとはいえ、高齢化の影響が垣間見え始めており、団塊の世代前後の給与所得者が多い多摩ニュータウンを抱える多摩市の特殊な人口構成を考えると、今後の高齢化の影響から、個人市民税の減少傾向はさらに進行するものと予測されます。納税義務者数の推移を見ても、給与所得者の割合が減少し、年金等のその他所得者の割合が増えてきています。

図表10 納税義務者の推移

図表11 人口構成の変化(隔年1月1日)

 これまで、企業誘致等の成果により、平成11年度まで法人市民税や固定資産税が、個人市民税の減を補ってきたため、市税全体の大幅な減少は免れてきましたが、固定資産税の今後の伸びは見込めず、人口増加策や企業誘致の効果があったとしても、国全体の経済がこれまでのような高成長ができない段階にきているため、市税がこれまでのように伸びることは期待できない状況です。

3. 東京都多摩ニュータウン住宅建設費補助金

 これまで、多摩市のまちづくりに大きな役割を果たしてきた要素のひとつが、「東京都多摩ニュータウン住宅建設費補助金」です。この補助金は、多摩ニュータウンの開発が、地元市に多大な財政負担を強いることになることから、東京都が財政補完として、義務教育施設等建設の際の負担を軽減し、公債費についても補助する制度で、本市の財政運営が比較的安定していたのは、多摩ニュータウン建設に伴うこれらの財政的な援助が大きかったからです。ちなみに、平成13年度までに都から受けた財政補完の総額は、清掃工場分も含め350億8,600万9千円となっています。
 東京都は、制度創設時からの状況変化を踏まえ、補助金を平成11年度以降段階的に削減し、平成14年度以降は2分の1にすることにしています。平成14年度以降の削減影響額は、77億6,069万9千円にもなります。このことは、経常経費に充てる一般財源の所要額が、補助金が削減される分増加することを意味し、経常収支比率の増加(平成13年度決算でいえば、経常収支比率1.2%の増)につながっています。

4. 収益事業収入

 本市で実施している収益事業は、江戸川競走場において3市(あきる野市・稲城市・多摩市)で共同開催している競艇事業ですが、その収益金収入は、平成3年度の15億円をピークに、減少し続けています。レジャーの多様化や経済環境の変化等から経営が悪化し、特に、平成7年度以降の減収が著しく、平成13年度の収益金収入は、わずか1千万円となりました。

図表12 投資的経費及び収益事業集の推移

 これまで、多額な収益金を投資的事業(学校や集会所・コミュニティセンター等コミュニティ施設の建設等)に活用し、他市に比べ、充実した公共施設を整備してきましたが、これ以上経営が悪化すれば、一般会計からの補てんも懸念されます。

5. 基金からの繰入

 家庭でいえば、預金にあたる各種基金の平成13年度末の状況は、下表のとおりです。

平成13年度末各基金の残高
基金名残高(平成13年度末)
財政調整基金 20億8,094万7千円
公共施設整備基金 7億753万1千円
減債基金 4億5,097万1千円
庁舎増改築基金 7億1,670万3千円
都市計画基金 3億9,221万4千円
緑化基金 26億6,901万2千円
福祉基金 19億7,959万3千円
その他の基金 10億5,648万8千円
各基金の残高合計 100億5,345万9千円

 基金には、使途の目的が限定されている「特定目的基金」(「減債基金」や「公共施設整備基金」、「緑化基金」など)と、利子を運用し事業費に充当する「果実運用型基金」(「奨学金基金」、「文化振興基金」など)、そして、使途が限定されず、財源調整に自由にあてられる「財政調整基金」があります。
 公共施設の整備や大規模改修のために積み立てられる「公共施設整備基金」(家庭で言えば住宅財形貯蓄にあたる)と、年度間の財源の不均衡を調整するために積み立てられる「財政調整基金」(家庭でいえば普通預金にあたる)は、これまで、予算編成上、大きな役割を担ってきました。この両基金の状況をみてみましょう。
 「公共施設整備基金」は、平成3年度以降、毎年、取崩し、投資的な事業に充当してきています。計画的に一定額を施設整備に充当することは、本来の「公共施設整備基金」の役割であり、平成8年度から10年度までは、第三次総合計画にそって、大型事業を行うため、「公共施設整備基金」を計画的に財源として投じてきたことがわかります。

図表13 財政調整基金と公共施設整備基金のやりくり

図表14 各基金の内訳

 一方、「財政調整基金」は、他の特定目的型基金の残高とは違った役割、つまり「年度間のやりくりの財源」として重要な役割をもっています。一定の「財政調整基金」の残高を確保することは、安定した財政運営をするうえで不可欠で、災害等への対応や安定した市民サービスを提供するうえでなくてはならないものです。平成13年度末の財政調整基金残高を市民一人あたりで見てみると、新たな行政需要に応える財源として活用してきたため、残高が最高値を示した平成6年度に比べ31.6%の減となっています。(図表15)。

図表15 市民一人当たりの財政調整基金残高

 多摩市の財政調整基金は、「備えなしで憂いあり」の状態に近づきつつあります。「財政調整基金」の持つ意味合いから、安定的な財政運営には、少なくとも標準財政規模の1割程度の額(約30億円程度)を確保すべきですが、多摩市の場合、13度決算ではわずか6.8%に過ぎず、26市平均の8.4%よりも少ない状況となっています(図表16)。
 また、「その他の基金」ついても、低金利であるため、本来の役割を果たせないでいる果実運用型基金の整理・統合化などの対応も視野に入れ、柔軟な運用・活用を検討する必要があります。このようにみてくると、基本的姿勢として、基金を積極的に事業に充てるというより、安定した市民サービスの提供の備えとして、運用すべきと考えられます。

6. 市債

 市の長期の借金が市債であり、市債を発行できる場合は、地方財政法によって規定されています。通常は、公共施設等の用地の取得や建設事業費にあてるために発行されます。これは、投資の効果が長期にわたる事業については、後年度に受益を受ける世代の市民にも均等に負担を担ってもらうという考え方に基づくものです。このほか、地方の財源不足を建設地方債で補う財源対策債や臨時財政特例債、減税実施に伴う財源確保のための減税補てん債や減収補てん債を発行する場合もあります。
 昭和57年度以降の20年間の多摩市の起債(市債の発行)の状況は、完済したものも含め図表17のとおりで、財源対策のための起債は、次表の状況となっています。

図表17 市債の発行額と市民一人当たりの額

財源対策のための過去の多摩市の起債
財源対策債 昭和57年度 3,760万円 地方財源不足額を、地方交付税措置と地方債補てんにより措置されるが、この補てんのために発行される地方債。元利償還金の一部は、交付税措置。
昭和58年度 1億7,150万円
昭和59年度 9,290万円
臨時財政特例債 昭和60年度 9,530万円 国庫補助負担率が1/2を上回るものについての率の引き下げに伴い、地方の財政負担を軽減するため、投資的経費に係る相当額を建設地方債で補てん。元利償還金は、100%交付税措置。
昭和62年度 1,280万円
昭和63年度 4,600万円
臨時税収補てん債 平成9年度 8億9,650万円 税制改正により、地方消費税交付金が創設されたが、消費の低迷から減収になったため、地方の財源不足に対し、一般財源の補てんとして発行された地方債。元利償還金は、減税補てん債に同じ。
減税補てん債 平成6年度 7億円 特別減税及び恒久的減税(平成11年度から)に伴い、市税収入が減少するため、地方の財源不足に対し、一般財源の補てんとして発行される地方債。元利償還金は、100%交付税措置だが、昭和63年度以来、多摩市は普通交付税の不交付団体のため、その償還金は、すべて、市の自己負担となる。
平成7年度 8億円
平成8年度 22億3,810万円
平成10年度 10億2,130万円
平成11年度 3億1,000万円
平成12年度 4億1,760万円
平成13年度 4億2,700万円
減税・減収補てん債の起債総額 68億1,050万円 平成16年度に、7年度・8年度起債分約30億円は、一括償還。借換債発行の予定。他は、一般の般の起債と同じように、20年の元利均等払い。

図表18 市債残高と市民一人あたりの額

 平成16年度には、平成7年度・8年度分30億3,810万円の市債の一括償還時期を迎えます。これ以外の減税・減収補てん債は、通常の起債と同様、20年間の元利均等払いで償還していきます。なお、これらの財源対策のための元利償還金は、地方交付税で措置されますが、多摩市は昭和62年から普通交付税の不交付団体なので、すべて市税による負担となり、財政状況をより、厳しいものとしています。
 なお、市債残高の状況は、図表18のとおりで、近年は市民一人あたり市債残高が25万円から26万円台で推移しており、歳入が減少している中で、過去の起債償還が負担にならないように配慮した財政運営が必要です。

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