多摩市行財政診断白書 第1部 総論編 第2章 財政フレーム・人口と多摩市のこれから
最終更新日:平成20年3月31日
1. 多摩市の人口構成の特殊性
下のグラフは、多摩市の人口推計(平成14年度から19年度まで)における人口構成の推移を表したものです。多摩ニュータウン開発で急激に発展した多摩市は、人口構成も特徴的で、団塊の世代前後とその子どもの年代が多くなっています。この影響は、税収に顕著に現れます。給与所得に係る住民税は、会社等が本人に代わって給与から税を天引きし、市に収める「特別徴収」という方法で徴収されます。平成13年度の納税義務者の構成をみると、「特別徴収」の方が依然として約6割を占めていますが、近年、特別徴収の割合が減少し、納税義務者本人(個人)が納める「普通徴収」が増加する傾向が顕著になっています。これは、サラリーマン層の退職が増えてきていることや、いわゆる「フリーター」層の増加等によるものと考えられます。
現在は、60歳を迎える層が急激な上昇を示す第一の波の途中で、次の大きな波は、団塊の世代前後の方が60歳を迎える7~8年後です。サラリーマンの多い多摩市にとって、この人口構成のアンバランスが税収に与える影響は、とても大きなものと予測され、この変化を前提に、これからの施策を再構築する必要があります。(*人口推計は、それぞれ年齢ごとに過去の異動や出生や死亡等のデータを反映し、5年を期間に推計)

2. 計画上の財政フレームとの差が拡大中
平成12年度に策定した「第四次多摩市総合計画」の実施計画上の財政フレームの歳入と、平成13年度決算、14年度決算見込み、15年度予算との差は下図のとおりです。平成14年度決算ベースで市税収入をみると約17億5千万円、15年度予算ベースでは約32億円もの計画との乖離がでています。長引く景気低迷や生産年齢人口の減による納税義務者の減少などの理由から、税収の減収の幅が14年度以降大幅になり、その分をその他の経費(基金を取りくずして使う繰入金や前年度からの繰越金)でしのいでいることがわかります。また、財政調整基金や公共施設整備基金など予算編成で活用できる基金も底をつき、繰越金も少なくなっているため、今後も不透明な経済状況や多摩市の人口構成を考えると、このまま基本計画にある事業を実施することは困難です。歳入にあわせ、多摩市の行財政運営を急ピッチで転換しなければなりません。

次に、歳出について、実施計画と平成13年度決算、14年度決算見込み、15年度予算との差をみてみましょう。人件費、物件費(委託料や臨時職員の賃金、消耗品や備品購入費など)、補助費は、毎年の見直しにより計画値より抑制されていますが、扶助費(生活保護等社会保障に係る経費)の伸びが、平成14年度、15年度予想以上に著しく、その他の経費は、国民健康保険特別会計に対する補てんのための繰出金の増のため、平成13年度決算、14年度決算見込みでは伸びています。15年度国民健康保険特別会計への繰出金予算(約12億8千万円)は抑えめで編成をしていますが、14年度の最終補正時点(3月)では、約13億6千万円の繰出金を予算化していることから、今後の動向によっては、さらに伸びることが懸念され、何らかの対応が必要です。14年度決算見込みで普通建設事業が膨らんでいるのは、実施計画上は分割での買取を予定していた永山第二学童クラブ用地を一括で取得した影響や、緑地確保のために原峰公園の用地を取得したためです。

3. なぜ、今急激な歳入不足か?
平成14年度以降、なぜ、急激に財政が悪化したのでしょうか。その原因は、多摩市の基幹4税ともいえる「個人市民税」「法人市民税」「固定資産税(土地・家屋)」「固定資産税(償却資産)」の動向と、国が実施した減税が複雑に絡み合っています。
次の図は、基幹4税と減税の影響を表したものです。個人市民税は、平成4年度をピークに、多少の増減はあるものの下降を示し、減税がなかったとしても、平成8年度がピークで下降をしています。しかし、固定資産税の伸びが大きく、個人市民税の減を補いながら、平成14年度まで上昇し、評価替えにより、平成15年度で減少に転じています。また、法人市民税の臨時的な増(平成8年度・11年度)や、税以外では、平成12~13年度の利子割交付金の一時的な増、平成11年度の特例交付金の創設など、個人市民税の減を補うプラスの要素が働いており、また、行政改革の努力で、予算ベースでは、「行財政改善計画」(平成8年3月策定・平成10年4月一部改定)で34億6千万円、「TAMA・新行革戦略プラン21」(平成12年3月策定・平成14年8月一部改定)で27億5千万円の節減に努めてきました。また、予算の執行上でもやりくりに努め、捻出した経費を繰越金として、翌年度の財源にし、市民サービスの水準を落とさないよう、また新規の施策を充実するように予算を編成してきました。
しかし、予想を超えた長期の景気低迷、生産年齢の減少による納税義務者数の減少、固定資産税の減収などの要素で、これからは、従来の財政運営や市民サービスのあり方では乗り切れなくなっています。

4. このままいくと破綻!
現在の歳入の状況や人口推計から今後の税収を推計し、現在のサービスをそのままにし、総合計画どおりの事業を実施していったとすると、次の図のような状況になります。このままでは、財源不足額が年々、急速に拡大していき、最大で、平成22年度には168億円もの財源不足が生じることがわかります。
今後2年間を展望しただけでも、歳入の根幹をなす市税については、平成16年度は平成15年度予算に比べ9億1千万の減、17年度はそれからさらに5億2千万円の減になり、合わせて14億円の減が見込まれます。しかも、歳出で、扶助費、借金の返済や債務負担行為等義務的な経費だけを見込んでも、平成16 年度、平成17年度の2年間で34億円もの財源不足となります。
少子高齢社会を踏まえたこれからの行政の役割について、原点に戻って再構築しなければならない時期にきています。

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