多摩市行財政診断白書 第2部各論編 序論 施策の総点検にあたっての基本的な視点
最終更新日:平成20年3月31日
用語解説「類似都市」
以下に、「類似都市」との比較が多く出てきます。
類似都市(または類似団体)とは、財政上の用語で、ある一定の尺度で地方公共団体の財政を類型化した結果、類似していると分類された都市を指します。市町村の場合は人口や産業構造等により29に類型化されており、都内26市のうち、多摩市の類似都市は多摩市を含め10市となっています。
(注)その他の用語解説は巻末にあります。
各論編序論 ~施策の総点検にあたっての基本的な視点~
ポイント
- 現状施策を総点検し、改革の方向性を展望するにあたり、各論編では次の4点から分析を行っています。
- 眼前に迫る公共施設更新への対応策
- 行政が税金を使って提供すべき公共サービス(行政サービス)の守備範囲
見直しに向けた検討対象事業の抽出 - 特に重点的に検討すべき課題 ⇒ 補助金のあり方、サービス水準のあり方
- 特に早期に方向性の結論を出すべき個別事業・施設
重点検討対象事業、重点検討対象施設
- 多摩市の公共施設の方向性について検討するにあたっては、膨大な維持管理経費の増大を踏まえ、本当に必要な公共施設は何なのかの真摯な議論を行うことが必要です。合わせて、適正な利用者負担の検討など、公共の施設を市民皆で大切に維持していく仕組みが必要です。
- 行政が提供すべきサービスの守備範囲を検討するにあたっては、行政、市民、地域、民間企業の協働(コラボレーション)により適切な役割分担を行い、質の高い公共サービスを豊かに創出する視点が重要です。加えて、公共サービスの質の向上に向けた、競争の仕組みの投入が必要です。これらを踏まえて市民サービスを再構築する必要があります。
- 多摩市の将来を決定するのは多摩市民であり、再編と再生に向けた次の一歩を選択する上での基本となるキーワードは「情報の共有」です。
1. 多摩市の公共施設 本当に必要な施設は何なのか真摯な議論を
(1)多摩市の公共施設の現状と課題
多摩市は、多摩ニュータウン開発計画やこれにともなう急激な人口の増加等により、国や都とも一体となって精力的に公共施設(公共建築物や都市基盤)を整備してきました。毎年の世論調査等では「住みやすいまち」として一定の評価もいただいており、豊かな公共施設整備がそうした評価をいただく理由の1つでもあると思われます。
しかしながら、その一方で、一定の時期に集中的に整備された公共施設が一斉に老朽化し、その維持管理経費が膨大な財政負担となって、今、多摩市の眼前にふりかかってきています。特に児童・生徒数の急増に合わせて整備した学校施設や、コミュニティ施策の一環として重点的に整備した集会施設は、都内の他市に比べかなり高い整備水準にあり、現状の水準を維持するには莫大な経費がかかることが予測されます。
こうした現状をこのまま放置すれば、他の施設も含め、本来必要な最低限の維持保全も満足に行えず、施設の寿命を早めてしまうことにもつながります。特に、なかなか目にはつきにくいのですが、道路や下水道などの基礎的な公共施設が破損すれば、ライフラインがストップしてしまう危険さえあります。
人口の増加が横ばいとなり、急激に少子高齢化が進む中で、次々と改修時期を迎える多摩市の公共施設について、本当に必要なものは何なのかを真摯に議論し、早急に抜本的な対応を図る必要があります。
(2)適正な利用者負担の検討
公共施設の整備は、行政が税金を投入して行う分野ですが、多種多様な施設の維持には膨大な経費がかかります。厳しい行財政状況を踏まえ、適正な利用者負担を検討するなど、公共の施設を市民皆で大切に維持していく仕組みが必要です。
2. 市民サービスの再構築 行政主導から協働と競争による質の向上へ
(1)公共サービスのあり方を問う
「公共サービス」とは、一般的に、民間の市場では対応できないが、社会にとって必要なサービスをいいます。長年、公共サービスの提供は主に行政の守備範囲とされ、市民の要望に応えるべく、行政は様々なサービスを直接あるいは間接的に提供してきました。その結果、行政規模が肥大化し、一方、「公平・平等」を行動原理とする画一的な行政サービスでは多様化・複雑化する市民ニーズへの対応が困難になってきています。
近年では、NPOやボランティアの活躍、民間企業の社会貢献活動などにみられるように、多様な主体が、それぞれの視点を生かしながら、公共サービスの担い手として活発に活動しており、「行政・市民・地域・民間企業の協働(コラボレーション)」により、それぞれの主体が適切な役割分担を行いながら、質の高い公共サービスを豊かに創出していくことが社会全体に求められています。
(2)公共サービスの質の向上
「質の高い公共サービス」とは、どんなサービスでしょうか。当たり前のことですが、それは市民(利用者)が満足するサービスということになります。ニーズが多様化・複雑化する中で、利用者が満足する公共サービスを提供するためには、まず「選択できること」が重要な要件となるでしょう。加えて、選択されたサービスが満足のいくものでなくてはなりません。これらを実現するには、「競争」の仕組みを公共サービスにも意識的に投入していくことが必要です。
3. 再編と再生 新たな一歩を踏み出すために
(1)削ぎ落とすことで次の一歩を選択する
「総論編」でも述べたように、多摩市の財政はまさに危機的な状況にあります。しかしながら、これを悲観的に受け止めるのではなく、むしろ市の将来を見据えた改革の好機ととらえ、市民とともに徹底した施策の総点検を行い、新たな一歩を踏み出す足がかりを築かなければなりません。点検にあたっては、社会状況が大きく変化している中で、行政規模が必要以上に肥大化しているという基本認識に立ち、歳入に見合った歳出構造に転換するためにも、「まずゼロベースから次の一歩を選択する」という視点が基本となります。合わせて、行政・市民・地域・民間企業の協働による新たな公共サービスの展開を図る戦略、豊かに整備された公共施設を時代の変化に即して適切にマネジメントしていく戦略が必要です。
(2)改革のキーワードは情報の共有
多摩市の未来を決定する主体は多摩市民です。したがって、この白書の第一義的な役割は、まず市の財政状況や施策の現状、課題や問題点を市民に公開し、その判断に資する正確な情報を提供することにあり、改革の基本となるキーワードは「情報の共有」であるとの認識に立っています。その上で、改革の方向性を議論するにあたり、各論編では、行政運営を担う立場から、市としての問題認識の所在を率直に明らかにし、その視点に沿った分析を試みています。具体的には、次の4点です。
- 眼前に迫る公共施設更新への対応策
- 行政が税金を使って提供すべき公共サービス(行政サービス)の守備範囲
見直しに向けた検討対象事業の抽出 - 特に重点的に検討すべき課題
補助金のあり方、サービス水準のあり方 - 特に早期に方向性の結論を出すべき個別事業・施設
重点検討対象事業、重点検討対象施設
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