多摩市行財政診断白書 第2部各論編 第1章 公共施設のあり方(4)
最終更新日:平成20年3月31日
1. 4 今後の公共施設の方向性
ポイント
- 公共建築物の縮減(数の削減)
- 公共建築物の長寿命化・延命化による有効活用
- 管理に費用のかからない施設形態への転換
- アダプト(里親)制度手法による市民協働の推進
- 維持管理のための財源確保
1. 公共建築物の縮減
これまでみてきたように、多摩市が所有する公共建築物は、多摩ニュータウンの開発初期から平成12年の温水プールまで386,000平方メートルという膨大な量が整備されてきました。今後、経年30年以上の老朽化した建築物が増加していきますが、良好な状態を保持するためには、維持管理・更新のために20年間で460億円という莫大な費用が必要とされ、厳しい財政状況が続く中、公共建築物の維持保全予算を確保することが困難な状況となっています。
一方、公共建築物に対する性能要求は高まっており、耐震性能の強化やバリアフリー対応などがありますが、建築物の老朽化による性能劣化に対しても適切な維持保全を講じることにより性能向上を図り、快適かつ安全な建築物が求められています。
多摩市における今後の公共施設の方向性の大きな視点としては、まず公共建築物の総量を縮減し、その上で適切な維持管理を行って、市民に対し快適で安全な公共建築物を提供していくことが重要であると考えられます。
他市と比較して整備水準が高い施設、地域で維持管理することが望ましい施設、民間と競合する施設等を対象に、公共性診断(後述)やコスト分析を行い、施設の縮減に向けた検討を進めることが必要です。中でも26市中、箇所数が第1位の集会施設や、公立学校1校あたりの市街化面積や児童・生徒数が他市平均を下回っている学校については、市全域のなかであるべき規模、適正配置を踏まえ、早急に縮減について検討を行う必要があると考えられます。
2. 公共建築物の長寿命化・延命化による有効活用 ストックマネジメントへの転換
多摩市の公共建築物整備にあたっては、これまでの「スクラップ・アンド・ビルド」から、既存建築物を有効に活用する「ストックマネジメント」の手法に転換して、建築物の長寿命化・延命化を目指す事が必要です。ストックマネジメントとは、単なる機能の維持保全に留まらず、その時代のニーズに応え得るような改修や機能の追加を含む、総合的な保全管理手法で、解体して建て替えることに比べて、ライフサイクルコストを低く抑えられる事や、CO2、廃棄物の発生抑制など、環境面でも有効性が認められています。
- 基本的方針:
ストックマネジメントへの転換
新規整備から建築物の長寿命化・延命化/保全重視 - 保全業務の適正化:
(計画的な保全の実施)
(施設の存続期間の明示と役割の明確化) - 効果:
建築物の長寿命化・延命化による更新(建替え)コストの削減
ライフサイクルコストの削減と予算執行の適正化
行政財産の有効活用
3. 都市基盤分野の維持管理のあり方を再構築
多摩市においては、道路・橋りょうや公園等、都市基盤の整備レベルが時代とともに変化していますが、管理にお金がかかる構造になっています。現在、市内に約2万本ある街路樹の作る日陰は夏場の歩道では大変有りがたいものですが、樹木が成長するに連れ、管理費も増大します。例えば、直径約10センチの落葉樹の場合、1本あたりの剪定費は夏冬の2回実施の場合で年間8,622円ですが、直径が約30センチになると、20,832円となり、管理費では、約2.4倍に増加します。(図表1)
今後、これらの施設を限られた予算で管理して行くためには、全体量を減らしたり、簡易な清掃・管理を住民が行うアダプト(里親)制度の適用を拡大するなど、安全の確保を第一としつつ施設や維持管理の考え方を再構築する必要があります。

図表1 街路樹年間剪定管理単位 (円)
4. 財源の確保と利用者負担
今回検討を行った施設(建築物・道路・公園・下水道)については、維持管理のための財源は料金収入のある下水道を除いて、その殆どが税金です。
将来に向けて安定的に管理する必要がある公共施設については、前述したとおり、毎年度支出は均一のものでなく、一定の周期で多額の経費を要する管理サイクルがあります。こうした歳出の波について、市全体での平準化に努めるとともに、一時支出に備える改修基金など、計画的な積み立てを早急に開始する必要があります。
図表2は、学校開放・旧学校施設の利用状況から、仮に利用者1人あたり100円の負担をいただいた場合のシミュレーションです。結果として約4,350万円/年の金額となりました。
行政が供給すべきサービスであっても、その性質に応じて適正な利用者負担を検討する必要があります。

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