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多摩市行財政診断白書 第2部各論編 第2章 市民サービスの再構築(2)

最終更新日:平成20年3月31日

2. 2 補助金のあり方

2. 2. 1 補助金の現状と課題

ポイント

  •  市の補助金(交付金も含む)は平成15年4月現在全部で178件あり、そのうち市民サービスに関わる補助金は167件になります。一般会計分164件でみると、総額で約23億1千万になり、これは市の一般会計予算の約5.5%になります。
  •  決算額における補助交付金の比率を都内の他市と比較すると、26市中4番目で、平均より高い水準にあります。
  •  参考までに、報償費や役務費、償還金などを含めた補助費(一部事務組合分を除く)を市民一人あたりでみると(平成13年度決算額)、全国の類似都市平均に比べて約2倍にもなり、特に一般財源の占める割合が高いことがわかります。
  •  創設からの経過年数別にみると、10年以上経過している補助金が件数、交付総額ともに多くを占め、補助金が常態化していることがわかります。
  •  分野別にみた場合、総額では主に福祉分野と市民生活に関わる分野の金額が高く、それは外郭監理団体に対する補助金が含まれていることによります。
  •  性質別にみた場合、団体運営に対する補助金が総額で40%近くを占め、施策に関する補助金よりも1件あたりの額が多いことがわかります。

(1) 補助金の概要
 多摩市の補助金は全部で178件あり、総額で約23億7千万円になります(平成15年4月現在)。そのうち市民サービスに関わる補助金は167件になります。一般会計分の164件だけでみると、総額で約23億1千万円になり、これは一般会計予算額の約5.5%を占めています。

補助金は一般会計予算の約5.5%を占めます。

図表1 平成15年度予算における補助金の割合

(2) 他市との比較
 平成13年度決算額における補助交付金の比率を都内の他市と比べた場合、多摩市は26市中4番目で、平均より高い水準にあることがわかります。

 決算額における補助交付金の比率では26市中4番目

図表2 決算額における補助交付金の比較(平成13年度)

 また、参考までに報償費や役務費、償還金などを含めた補助費(一部事務組合分を除く)を市民一人あたりでみると(平成13年度決算額)、多摩市は全国の類似都市平均の約2倍にもなり、同規模の市に比べて高く、特に一般財源の占める割合が高くなっています。

 市民一人あたりの補助費では、多摩市は類似都市の2倍! 特に一般財源の占める割合が高くなっています。

図表3 市民一人あたりの補助費(一部事務組合分を除く)の類似都市比較

(3)各種比較
1.経過年数別比較

 経過年数別にみた場合、創設からすでに10年以上経過した補助金が、件数で全体の約60%、総額では約80%以上を占めており、補助金が常態化していることがわかります。

 平成15年度予算における市民サービスに関わる補助金167件のうち、創設から10年以上経過した補助金が件数、総額ともに多くなっています。グラフにはありませんが20年以上経過したものも39件あります。多くの補助金が常態化しており見直すべき時期がきているといえます。

図表4 経過年数別比較(件数)

図表5 経過年数別比較(総額)

手厚い補助金が常態化しています!

2.分野別比較

 分野別にみた場合、総額では主に福祉分野(民生費)と市民生活に関わる分野(総務費)の金額が高く、それは社会福祉協議会や多摩市文化振興財団などの外郭監理団体に対する補助金が含まれていることによります。

 分野別にみた場合、総額では1位が民生費、2位が総務費となっています。民生費には福祉分野における補助金が多く含まれ、総務費には市民生活に関連した補助金が含まれます。ともに件数のわりに総額が多いのは、それぞれに外郭監理団体に対する補助金が含まれているためです(後述)。

 教育費は総額では少ないですが件数では多くなっています。これは学校に対する補助金が学校行事ごとに細分化されているためです。

図表6 目的別構成比割合(総額)

図表7 目的別構成比割合(件数)

3.性質別比較

 性質別にみた場合、団体運営に対する補助金が件数では15%程度ですが、総額では40%近くを占め、1件あたりの額が多いことがわかります。

 補助金を性質別に分類すると以下のように分かれます。

性質別分類

《性質別の内容》
 【施策に関する補助金】
  事業に関する補助金 … 市が実施する施策に関する補助金のうち、利子補給や施設整備、イベントに関する補助金以外の事業に対するもの
  利子補給に関する補助金 … 市民や団体が銀行から融資を受ける際に、それにかかる利子分を補助金によって支給するもの
  施設整備に関する補助金 … 福祉団体等が事業を行う際などに、活動を行うための施設整備費を市が補助金として一部肩代わりするもの
  イベントに関する補助金 … 市の関わりが大きいイベントに対するもので、実行委員会に対して交付されるもの
 【団体運営に関する補助金】 … 外郭監理団体など運営費を補助している団体に関する補助金。ただし福祉分野等で団体の活動自体が一つの事業とみなされるものは除く

 性質別の内容をみてみると、件数では施策に関する補助金のうち事業に関するものが一番多く、全体の4分の3を占めています。これらは政策誘導的な意味合いから導入されたものが多く、補助効果の検証が必要です。
 一方総額でみると、団体運営に関する補助金が40%近くを占め、1件あたりの補助金額が、施策に関するもの1件あたりの金額より多いことがわかります。これは団体運営に関する補助金の中に外郭監理団体に対するものが含まれていることによるものです。

図表8 性質別比較(件数)

図表8 性質別比較(総額)

図表10 補助金1件あたりの単価
 施設に関する補助金 1,049万0千円
 団体運営に関する補助金
(注)( )は外郭団体を除いた場合 3,864万5千円(416万6千円)

2. 2. 2 補助金見直しの考え方

ポイント

  • 補助金の見直しに関しては、市としても既に見直しの方向性を示していますが、主に既存の補助金については依然として硬直化した状態が続いており、新たな補助金検証システムの構築が必要です。
  • システムの構築にあたっては、次の4つの視点が重要であると考えられます。
     1. 目的と効果の定期的な検証
     2. 交付機会の均等
     3. システム全体の公開性
     4. 客観性の確保
  • この4つの視点を軸に、新たな補助金検証システムを想定し、それに沿った分析を行いました。
  • まず現在の補助金を、大きく「公募による補助金」と「内部精査による補助金」に分類しました。
  • 公募による補助金は、3年ごとに白紙に戻し、プレゼンテーション形式による申請と第三者機関の審査により決定する仕組みを想定しています。
  • 内部精査による補助金は、公募になじまないものが該当し、新たな「補助金見直しの基準」を設定して、見直すべき優先順位による分類を行いました。
  • 外郭監理団体に対する補助金は、団体運営に対する補助金総額で90%を占め、団体そのもののあり方の再検証が必要です。

 (1)補助金見直しの経緯
 補助金の見直しに関しては、「多摩市の補助金の現状と見直しについて」(平成9年10月、多摩市行財政改善委員会)において一定の方向性が示されています。そこでは「補助金の整理・見直しの視点」として次の5つの視点が提示されています。

 (1) 正当性 … 客観的に公益上必要であるとみなされるものであること
 (2) 公平性 … 特定の階層にのみ補助金が出されていないか(機会の均等)
 (3) 緊要性 … 市の特性や施策の方向性における緊要性が考慮されているか
 (4) 有効性 … 補助金が目的に対し有効に機能しているか
 (5) 責任性 … 行政と補助対象者のそれぞれの責任が明確になっているか

 平成10年度には、市の内部組織として「多摩市使用料及び補助金等検討審査委員会」が設置され、新たに実施する補助金については、上記の5つの視点に基づいて審査されています。
 しかし既存の補助金を含めた補助金総体でみると、特定の団体に対する補助金が継続的に交付されていたり、毎年定例的に補助金が交付されているものも多く、固定化、硬直化した現状が依然としてうかがえ、より具体的な補助金検証システムの構築が必要であると考えられます。

(2)新たな見直しの方向性
 具体的な補助金検証システムを構築するにあたっては、以下の視点が重要となると考えられます。

補助金見直しのための4つの視点 
 1.目的と効果の定期的な検証
 2.交付機会の均等
 3.システム全体の公開性
 4.客観性の確保

1.目的と効果の定期的な検証
 現在の補助金のほとんどは終期が明確になっていません。前述の「多摩市の補助金の現状と見直しについて」では「5年」を原則とすべきとされていますが、実際には新規に実施される補助金においても終期の設定がされず、十分な見直しが行われないまま継続されているものが多くあります。
 時代状況を反映した柔軟な補助金交付システムとするためには、終期を明確にし、定期的な検証を行うことが必要です。

2.交付機会の均等
 既存の補助金の多くが、補助対象を特定の団体等に限定しており、新たな団体等の参入がしにくい状況になっています。また連合組織に対して補助金を交付しているものもあり、それらはその組織に加盟しないと補助金を受けられません(図表11)。市内の団体の中には、図表12の公民館登録団体のように、様々な活動目的をもった団体があることから、より多くの、公益的な活動を行っている団体にも交付機会が与えられる仕組みづくりが必要です。

図表11 下部団体を持つ団体に対する補助金
補助金名下部団体名下部団体数
消費者団体連絡会補助金 消費者団体 5
自治連合会補助金 自治会・管理組合 104
芸術文化関係団体補助金 多摩市文化団体連合 20
多摩市文庫連絡協議会 10
青少年教育関係団体補助金 ボーイスカウト・ガールスカウト連絡協議会 5
成人教育関係団体補助金 小学校PTA連絡協議会 21
中学校PTA連絡協議会 10
体育協会補助金 各種スポーツ連盟・協会 31
スポーツ少年団補助金 各種スポーツ少年団 8
平成15年4月現在

図表12 公民館登録団体数(種別ごと)
種別団体数種別団体数
レクリェーション 141 国際交流 12
文化活動 1,036 消費者活動 6
街づくり 139 ボランティア 42
青少年活動 226 その他 6
    1,608
平成15年5月現在(参考:平成8年度の登録団体数は全部で370)


3.システム全体の公開性
 補助金の交付については、その目的や手続きに関して必ず条例や規則、あるいは要綱に定めることになっており、一般に公開されています。
 しかし応募や決定に関する情報提供は必ずしも十分とはいえません。
 補助金は市民サービスに直結するものでもあり、公平性を保ち、透明性の高いシステムにする必要があります。

4.客観性の確保
 補助金交付の根拠として、地方自治法第232条の2に「普通地方公共団体は、その公益上必要がある場合においては、寄附又は補助をすることができる」と規定しています。「公益上必要がある」かどうかについては、当然に客観的な評価のもとに判断されなければなりません。
 今後は市民も含めた、第三者的な視点での補助金評価システムを構築していく必要があると考えられます。

(3)新たな補助金検証システムによる分析

新たな補助金検証システムによる分析

 新たな補助金検証システムの一例として、以下のシステムを想定し、それに沿った分析を行ってみました。今後は市民も含めた議論をさらに深め、評価システムの構築と合わせて、より効果的、効率的な補助金交付システムを構築することが求められると考えます。

1.システムの説明
 a.「公募」による補助金と「内部精査」による補助金
 全補助金をいったん「公募」による補助金と「内部精査」による補助金に区分けした上で、それぞれにおいて検討を加えてみました。
 「公募」と「内部精査」のそれぞれの定義及び今後の検証方法は以下のとおりです。

「公募」による補助金
 《該当する補助金》

  • 市民の自主的自発的な活動に関するもの
  • イベントなどの実施に伴うもの

 《実施方法》

  • 3年ごとに補助金を白紙に戻し、検証を行う
  • プレゼンテーション形式による申請
  • 第三者機関による審査

「内部精査」による補助金
 《該当する補助金》

  • 外郭監理団体に対する補助金
  • 施策及び団体運営に関する補助金で「公募」になじまないもの

 《実施方法》

  • 外郭監理団体については「外郭団体指導監理調整会議」にて再検証
  • それ以外は新たな補助金見直しの基準(「補助金見直しの基準」)にて、見直し優先順位ごとに再検証

(注)ただし、以下にあてはまる補助金は検討対象から除外します。

  • 既に廃止が決定している補助金
  • 上位法等により一定程度補助金交付が義務付けられているもの
  • 他団体との調整により決定される補助金
  • 本白書第2部第2章2-1「見直しに向けた検討対象事業・サービス」の「A」または「B」に位置づけられた補助金

b.「補助金見直しの基準」
 「内部精査」に該当する補助金については、以下の「補助金見直しの基準」にてあらためて分類し、見直しの優先順位をつけました。
 その方法としては、内部的な検証組織においてそれぞれの分類ごとに検証を行い、一定の方向性を出すことを想定していますが、必要に応じて外部的な意見を取り入れるものとします。
 その基準、指標の考え方は以下のとおりです。

【見直しの基準】

補助金交付の前提

【指標の考え方】
 補助金交付の前提:「地方公共団体は、その公益上必要がある場合においては、寄附又は補助をすることができる」(地方自治法第232条の2)

「必要性」

 以下のものを必要性が高いものとします。

  • 施政方針上の重点施策に位置づけられ、特に市の関与が必要であるもの
  • 市が直接サービスを実施することが困難か、他の団体等に補助金を交付して実施した方が効果的、効率的と考えられるもの

「経過年数」

 「多摩市の補助金の現状と見直しについて」(平成9年10月)に基づき、10年を一つの区切りとし、年数が長いものの見直しを優先的に行うものとします。

2.分析結果
 検討対象とした補助金について、「公募」「内部精査」及び「補助金見直しの基準」の2つの区分けによる分類を行った結果は以下のとおりです。

(4)外郭監理団体に対する補助金
 外郭監理団体に対する補助金の総額は、全補助金の3分の1(約7億8千万)を占めています(平成15年度予算)。また団体運営に関する補助金に分類した14団体中外郭監理団体は4団体のみですが、総額では90%以上を占めています。運営費に対する補助金の比率も高く、経過年数も長いことから、早急に設立目的に対する効果検証を行うことが必要です。
 本白書の中では、「行財政運営編」にて別途整理しています。

図表15 外郭管理団体に対する補助金

図表15 外郭管理団体に対する補助金

団体運営に関する補助金の構成比

図表16 団体別比較(件数)

図表16 団体別比較(総額)

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