多摩市行財政診断白書 第2部各論編 第3章 重点検討対象事業(4)
最終更新日:平成20年3月31日
3. 4 ひまわり教室
ポイント
- 「ひまわり教室」は、心身の発達に心配のある幼児(満1歳以上の就学前児童)を対象とする心身障がい児通所訓練施設です。
- 児童の障がいの内容は様々で、児童と職員がほぼ1:1での療育が必要となります。現状では、特に常勤職員体制について、十分な整備が図られているとはいえません。
- しかしながら、「ひまわり教室」の方向性を検討するにあたっては、「ひまわり教室」単体ではなく、障がい児の早期発見・早期療育に係る効果的なしくみを地域にどう構築するかの議論の中でとらえ直していく必要があります。
- 子どもの発達の様子を的確に経過観察しながら、保護者とも連携し、一人ひとりの発達の程度に応じた適切な時期に適切な療育につなげていくための総合支援的な機能が、今後行政の重要な役割となっていくと考えられます。そうした中で、「ひまわり教室」の早期療育機能は、より効果的なサービス提供主体の検討も含めて再整理する必要があると考えられます。
1. 心身障がい児通所訓練施設「ひまわり教室」の概要
- 目的
- 心身の発達に心配のある幼児に対し、通所により必要な指導・訓練(機能・言語等)を集団・個別に行い、経験を豊かにするとともに発育・発達をうながす
- 対象児
- 市内に在住している満1歳以上の就学前児童
- 定員
- 20人
- 指導内容
- (1)集団指導
集団遊びを通して社会性を育む
(2)個別指導
排泄や着脱等の身辺自立ができるよう援助する
機能・言語訓練日を設けより良い発達を促す
給食を通して楽しい食事習慣を身につける
(3)発達指導
医師、訓練士等により発達について相談を行う - 所在地
- 多摩市総合福祉センター内
2. 現状と課題
「ひまわり教室」は昭和49年4月に永山児童館内に開設し、その後、市立貝取保育園への移設を経て、平成9年4月に多摩市総合福祉センター設置に伴いセンター内に移設され現在に至っています。就学前の心身障がい児を対象に、早期の療育(医学的対応を含めた専門的な訓練、指導等)を通所により専門的に行うことを目的とした施設です。
図表1 「ひまわり教室」登録児童・主たる障がいの状況と人数(15年6月現在)

在籍児童数は平成15年6月現在12人で、そのうち愛の手帳保持児童は3名です。障がいの種類は様々で、一人ひとりの状態に応じ適切に対応するためには、十分な職員体制整備、環境整備が必要です。しかし現状では、職員16名のうち、常勤職員についていえば、施設長(事務職員)1人であり、他市の状況と比較しても常勤職員体制整備の面では必ずしも十分ではありません。一方、在籍児童1人に対する指導員・保育士の人数(非常勤・臨時職員を含む)からみると、「ひまわり教室」は比較的手厚い配置となっています(図表2)。


3. コスト分析
心身障がい児の通所訓練施設の位置づけや運営状況は各市様々なので、一律にコスト比較を行うことは困難ですが、ひとつのめやすとして、財政規模が類似している他市における同様の施設について、おおまかに比較したものが次表です。

事業経費の多くが人件費であるため、特に常勤職員の配置状況により、事業経費に差が出ていることが見受けられます。また、他の事業を複合的に実施している施設では、職員が兼任となっていたり、受入人数のスケールメリットもはたらいて、若干低コストとなっているようです。
4. よりサービスの質を向上させるために
(1)障がい児数の推移
「ひまわり教室」の対象となるのは就学前の幼児ですが、障がい児数の推移に関して、多摩市の18歳未満児童の手帳取得率(身体障害者手帳、愛の手帳)の推移をみたものが図表5です。手帳の取得率は少しづつ上昇していることがわかります。
特に障がいの判定が困難な幼児期の児童については、手帳を取得していないケースも多いと思われることから、幼児期の障がい児の実数は増加していることが推察されます。

(2)障がい児(就学前)の早期発見・早期療育等に関する施設や機関など
障がいのある幼児の早期発見や早期療育等に関し、市内にはいくつかの施設や機関がありますが、その内容や位置づけは少しづつ異なっています。
| 早期発見等に関する施設等 | 早期療育等に関する施設 | 左の施設の主な目的や対象等 |
|---|---|---|
| 多摩市立健康センター、南多摩保健所、医療機関、多摩市立教育センター(発達相談等)、その他 | ひまわり教室 | 早期療育 |
| 島田療育センター | 重症心身障がい児、軽度発達障害対象 | |
| 啓光学園 | 知的障がい児対象(入所) | |
| 保育所 | 障がい児保育 | |
| 幼稚園 | 障がい児教育 |
(注) 民間の施設等を含む
(3)今後の方向性
乳幼児期の発達には個人差があり、簡単に障がいの有無を判定することはできません。そのことが、時に発見の遅れを招き、適切な対応の機会を逃してしまうことにもつながります。また、乳幼児期は、障がいの早期発見と早期療育により、機能の回復や新たな学習の方向づけがしやすい重要な時期である一方、環境の影響を受けやすく、二次的な障がいの危険性もはらんでいるといえます。保護者の認識(障がいの受容)も含めて適切な時期に適切な対応が図られることが何よりも重要です。
これまでみてきたように、現在の「ひまわり教室」は早期療育機能を提供する施設としては不十分といわざるを得ません。しかしながら、これを「ひまわり教室」単体の問題としてとらえるのではなく、障がい児の早期発見・早期療育に係る効果的なしくみを地域にどう構築するかの議論の中でとらえ直していく必要があります。
子どもの発達の様子を的確に経過観察しながら、保護者とも連携し、一人ひとりの発達の程度に応じた適切な時期に適切な療育につなげていくための総合支援的な機能が、今後行政の重要な役割となっていくと考えられます。そうした中で、「ひまわり教室」の早期療育機能は、より効果的なサービス提供主体の検討も含めて再整理する必要があると考えられます。
障がいがあるなしに関わらず、すべての子どもの健やかな成長を支援することは次世代に向けた社会の責任でもあります。行政も含めた地域全体の支えあいの中で、障がい児の発達と自立を支援していく仕組みを再構築することが必要です。
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