多摩市行財政診断白書 第2部各論編 第3章 重点検討対象事業(7)
最終更新日:平成20年3月31日
3. 7 準要保護世帯基準(低所得者層の基準)
ポイント
- 低所得者層を対象とする支援策の一つに就学援助費があります。
- 就学援助費は、学校教育法第25条、第40条により、経済的な理由により就学困難と認められる学齢児童・生徒の保護者に対して必要な援助を与えなければならないとされているものです。
- 生活保護法に規定する要保護者のほか、要保護者に準ずる程度に困窮していると認める者に対しても援助することになっています。(就学困難な児童及び生徒に係る就学奨励についての国の援助に関する法律第2条第2号、同法施行令第1条第1項)
- 要保護者に準ずる程度に困窮していると認める者については、市町村の教育委員会において判断することとされており、「準要保護世帯認定基準」を設け、この基準に基づいて認定しています。
- 昨今の社会経済状況等から、準要保護世帯としての認定世帯数が増加してきています。
- 要保護者に準ずる世帯として各自治体においてその基準を定めることとされていることから、認定基準の設定がまちまちのため他市との比較が難しく、また、市の他の制度の基準等と比較しても妥当性の判断が難しい状況です。
- 今後、市として「低所得者層」の基準(ガイドライン)について、公平性の観点からも市の各施策における各基準のめやすとなるよう定める必要があります。
1. 準要保護世帯児童・生徒数の推移(過去5年間)
昨今の社会経済状況等により、生活保護法に規定する要保護者が増加してきている中、要保護者に準ずる程度に困窮している世帯(準要保護世帯)も年々増加してきています。
平成13年度の準要保護世帯児童・生徒数は2,073人、認定率は19.4%

要保護世帯の児童・生徒には就学援助費として学用品費、通学用品費、新入学児童・生徒学用品費、校外活動費、修学旅行費、移動教室費、給食費などについて支給されます。
図表2 就学援助費支給状況
| 年度 | 要保護者(人) | 準要保護者(人) | 支給合計(億円) | ||
|---|---|---|---|---|---|
| 小学校 | 中学校 | 小学校 | 中学校 | ||
| 9年度 | 39 | 21 | 1,219 | 498 | 1.14 |
| 10年度 | 48 | 24 | 1,222 | 512 | 1.22 |
| 11年度 | 48 | 28 | 1,241 | 567 | 1.29 |
| 12年度 | 59 | 28 | 1,293 | 589 | 1.35 |
| 13年度 | 74 | 30 | 1,460 | 613 | 1.48 |
(給食費援助含む)

2. 準要保護認定基準
多摩市の認定基準は、標準4人世帯の生活需要額につき生活保護基準額表を用い、生活保護基準額に対する倍率を1.599倍として算出し、この金額を収入とみなして市民税の所得割額を求め、この市民税の所得割額を基準として基準額(45,000円)以下の世帯を準要保護世帯として認定しています。この認定基準は、自治体によりまちまちで比較が難しくなっています。(図表4は所得額に換算しています。多摩市の基準は所得額にするとおよそ394万円です。)

(注)父35歳、母32歳、子14歳(中3)、子9歳(小4)、家賃10万円の試算
多摩市では、この準要保護基準をいくつかの施策に適用しています。
- 準要保護基準を用いているもの
就学援助費 給食費の援助 学童クラブ育成費 - 準要保護基準に準じているもの
奨学金の給付 私立高等学校入学準備金貸付
3. 低所得者層の認定基準
市として、低所得者の福祉向上に向け、様々な福祉施策を実施しています。これら福祉施策は、国や都の基準に基づいて実施しているものが多くあります。また、市独自の基準を設けて実施している施策もあります。法に基づいて、市で基準を定めているものの一つとして就学援助費の認定基準(準要保護基準)があります。
4. 福祉分野等の各種基準額と準要保護認定基準額の比較
低所得者層を認定するための準要保護基準を、福祉分野等の他の施策における基準と比較してみると以下のとおりとなります。
比較は所得額により行い、所得額が基準でないものについては所得額に換算しています。
(1)保育所保育料の徴収基準額(階層はA~D20まで24階層)との比較では、D5階層とD6階層の間に位置し、D5階層により近い額となっています。

(2)福祉措置費(補装具費用・更正医療等費用)の徴収基準額(階層はA~D19まで23階層)との比較では、D8階層とほぼ同額となっています。

(3)福祉措置費(老人ホーム扶養義務者費用・身体障害者援護施設扶養義務者費用)の徴収基準額(階層はA~D14まで18階層)との比較では、D3階層とほぼ同額となっています。


(4)児童手当特例給付の所得制限額との比較では、扶養一人の場合より低くなっています。

(5)児童育成手当の支給基準額との比較では、扶養一人の場合とほぼ同水準となっています。

(6)都(市)営住宅入居基準額との比較では、家族5人の場合とほぼ同水準となっています。

(7)7分位階層別1世帯あたり生計支出額との比較では、第5階層とほぼ同水準で、都平均よりやや低い水準となっています。

(8)平成14年度教育関係の補助金等交付基準及び認定基準との比較では、奨学金給付より所得額にして32万円程低くなっています。

このように、福祉分野等のそれぞれの基準と比較してみても、準要保護世帯基準が、生活保護法に基づく要保護世帯に準ずる世帯であるといえるかどうかの判断は難しくなっています。したがって、生活保護法に基づく要保護世帯に準ずる世帯層はどこかという市独自の基準(ガイドライン)の設定について検討する必要性があります。
5. 今後の方向性
生活保護法に基づく要保護世帯に準ずる世帯層はどこかという市独自の基準(ガイドライン)を定めるにあたっては、乳幼児、児童・生徒、障がい者、高齢者のように対象や制度等の目的が異なること、国や都の定める基準があることなどから、一律に一定のガイドラインというものではなく、ここでいうガイドラインとは、あくまで市独自の施策の場合のガイドラインということになります。
また、市独自の施策であっても同様に対象者や目的等が異なることから、すべてにあてはめることは困難と思われ、ガイドラインはそれぞれの基準を定めるにあたり、また、見直す場合に、市としての低所得者層ラインという一つの基準として位置づけ、このガイドラインをめやすに各施策の対象者、目的等に沿った基準で、それぞれの基準の設定根拠が客観性を持ち得るようにすることが適当と考えられます。
そしてこのガイドラインは、援助や給付等が必要な市民にとって、また、そうでない市民にとっても公平性という観点から充分納得され理解されるものであること、また、事務の簡素化に配慮したものであることが望まれます。
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