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平成20年度施政方針(平成20年2月:渡辺市長)

最終更新日:平成20年3月31日

(注) 本文書は筆記録ではありませんので、当日、市長が述べた文言と若干の相違点があります。

 平成20年第1回多摩市議会定例会の開催にあたり、私の市政運営に対する所信を申し述べ、市議会、並びに市民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。

第1 はじめに

 「平成19年度」を振り返りますと、政治面では参議院議員選挙後のいわゆるねじれ国会の中での福田内閣のスタート、経済面では緩やかな景気回復の一方、個人所得は伸びない実感なき景気回復が続いています。地方制度面では国・地方を通じた三位一体改革を経て、第2期地方分権改革の新たな胎動とともに、地方財政健全化法が制定されるなど、自治体の経営力が益々問われる時代となっています。
 多摩市は、市税が歳入の6割を占めるなど、基礎体力はあるものの、経常収支比率の高止まりなど、厳しい財政状況下にあります。平成16年、行財政再構築プランに定めた「ゼロ・ベースの原則」「市民協働の原則」「根拠本位の原則」の基本原則を踏まえつつ、将来世代にツケを回すことなく、平成18年度からの後期基本計画「2○1○(ニイマルイチマル)への道しるべ 多摩市戦略プラン」の実現を目指した市政運営を進めてきました。
 主な取り組みとして、一つには、子育て・教育に対するきめ細やかな途切れのない支援、二つ目には、一人ひとりの健康づくりに取り組むための全庁あげての健康まちづくり、食育計画の策定、三つ目には、明日の活力あるまちづくりを見据えた企業誘致奨励措置制度による企業立地の促進、四つ目には、まったなしのごみ減量への取組み、将来に亘って緑豊かな環境づくりのための緑地の確保・保全などを進め、「私たちのまちの夢」を形にしてまいりました。

第2 多摩市を取り巻く様々な動き

 政府の経済見通しによれば、平成20年度も実質経済成長が続くとされていますが、アメリカのサブプライムローン問題を背景とする金融資本市場の変動や原油価格の高止まりなどの懸念材料も多く、低成長や物価高など実体経済や国民生活への大きな影響が危惧されます。
 このような社会・経済環境の下で、国においては「(仮称)新分権一括法案」の3年以内の国会への提出や補助金、交付税、税源移譲を含む税源配分等の一体的な改革、UR都市機構を含む独立行政法人等の見直し、地球環境問題への取り組み、少子化対策の推進、社会保障制度分野での様々な制度改革等が進められています。
 いずれの施策も地方自治体の行財政運営及び市民生活に大きく関わる問題であり、真に地方の自主性・自立性を高めるべきものであるとともに、市民生活の現実と負担を十分に踏まえた持続的、安定的な制度として構築される必要があります。市民が将来にわたり安心して暮らせる社会の実現に向けて、持続可能な社会保障制度の再構築、仕事と生活の調和の実現、明日を担う人材の育成等について、市長会等を通じ、国としての役割と責任を十分果たすよう働きかけてまいります。
 東京都においては、平成20年度予算案の中で、「10年後の東京」の実現に向けた施策の着実な推進や更新期を迎える社会資本ストックへの対応など、今後の膨大な財政需要に真正面から取り組むことが必要であるとしています。
 そして、平成20年度から22年度のアクションプランとして「『10年後の東京』への実行プログラム2008について」を明らかにしました。多摩地域の振興も含め、3か年の事業費として約1兆7,000億円、平成20年度の事業費として約4,700億円を計上し、334事業を進めるとしています。
 それらの中で、地球環境問題への対応、大地震に備えた建物・インフラの耐震化、高齢者のケア、障がい者の雇用、保育所待機児童の解消、再チャレンジ応援奨学金、生活安定化プログラム、そして多摩地域を中心に開催される東京国体に向けた市町村競技施設の整備促進などの諸事業については、本市の施策・事業と連携できる方向性を探り、主体的な活用を図っていきたいと考えております。
 さらに、国家的事業である多摩ニュータウン区域では、住宅や都市施設のバリアフリー化、施設機能の再編など、これからの時代に対応できるニュータウンへと再生することが大きな課題となっています。開発の一端を担う施行者である東京都に対しては、ニュータウン再生をはじめ、広域的な諸課題を解決する上で、積極的に自らの役割を果たすよう、引き続き強く要請してまいります。

 多摩市の人口は、微増傾向にありますが、平成20年1月1日現在の総人口に占める65歳以上の方の割合は18.04%で、昨年より0.84ポイント上昇し、これまでよりは緩やかになったものの、引き続き高齢化が進行しています。一方、私は市長就任以来、子育て支援施策を重点的に推進してきましたが、その中で、東京都人口動態統計年報によると合計特殊出生率は平成15年の0.98から平成18年は1.05へと毎年上昇しています。
 このような基礎的要件をもとにした本市における財政の見通しは、新規住宅や企業の設備投資により固定資産税や法人市民税は増加するものの、個人市民税については平成19年度当初予算との比較では減少となることから、市税全体としては前年度を下回るものと考えています。なお、ガソリン税などの暫定税率の存廃についての国会の動向もあり、地方道路譲与税等については不透明な要素があります。
 歳出面では公債費や物件費は減少するものの、高齢者や障がい者、少子化対策に係わる扶助費は年々増加傾向にあるほか、医療制度改革に伴う繰出金の増加など、内部改革による歳出抑制を上回る増加があります。また、多くの公共施設を維持していくために多額の改修・更新費用が必要となることから、歳入の更なる確保のほか、事業そのものの見直しを実施し、財源の効果的な重点配分による健全で持続可能な行財政運営を進めていく必要があります。

第3 平成20年度の位置付け

 平成20年度は、「2○1○(ニイマルイチマル)への道しるべ 多摩市戦略プラン」の折り返しとなる3年目です。平成20年度予算編成にあたっては、戦略プランに掲げた個別目標の達成度を評価し、目標年次に向けた施策展開につなげるため、行政評価と戦略プランの進行管理を踏まえた予算への連動というPDCAサイクルに本格的に取り組みました。戦略プランの特長である「市民の暮らしの視点」を大切にしながら、これまでの成果と課題を踏まえ、財政健全化の努力を継続し、将来世代にも責任をもつまちづくりを進めてまいります。
 また、経営改革推進計画2年目の年として、税収の減少と社会保障費の増加の中で持続可能な市政運営を推進する上でも、組織改革と権限の委譲、業務の効率的な執行、窓口サービスの向上、人材育成や活力ある職場づくり、新しい公会計制度導入の検討等、行政内部の改革をさらに進めてまいります。
 そして、平成23年度からスタートする「第五次総合計画」の策定にも着手してまいります。
 以上のことを踏まえ、私は、平成20年度を「私たちのまちの夢の実現に向け、市民とともに歩む年度」と位置づけ、「2○1○(ニイマルイチマル)への道しるべ 多摩市戦略プラン」の3つのまちづくりの優先分野の実現を目指します。市民負担に留意しながら、新たに編成した効率的、機動的な組織の下で、職員とともに市民の皆さんとの信頼関係を紡ぎながら、着実に歩みを進めてまいる所存です。

第4 3つのまちづくりの優先分野の実現:重点施策の展開

1 I だれもが自分らしく、まなび、育ち、自立できるまちづくり

(1) 子育て・子育ち支援
 大人も子どもも自分らしく、いきいきと暮らしていけるよう、子育てを通して柔らかな人のつきあいを紡ぎ、支え合うまちをめざし、子育て・子育ち支援を進めていきます。
 保育需要が増加している状況から認可保育所の移転及び改築への支援による定員増の促進や多様な保育の受け皿整備を図り、待機児童の解消を図ります。また、在宅育児支援機能も含む子育て総合的施設の設計・改修、及び具体的運営手法・事業の検討を行います。
 児童の育成環境の向上に大きな役割を果たしている学童クラブについては待機児童が増加していることから、平成20年4月に(仮称)永山小学童クラブ、21年4月に(仮称)南鶴牧小学童クラブを新設します。新たな学童クラブについては、学校敷地内へ設置するとともに、多様な主体が公共サービスを担い合う「新しい公共」の理念を踏まえ、これまでの保育水準を確保・向上することを念頭に置き、運営に民間の力を活用します。
 就学前からの途切れのない支援により、それぞれの子どもの持つ力を引き出すことができるよう「ひまわり教室」の諏訪複合教育施設への移転とともに発達障がい児等への早期療育・支援体制を充実します。また、子ども家庭支援センター・教育センター・健康センター等との連携を強化していきます。
 本年4月1日の組織改正により教育委員会から放課後子ども教室事業を子ども青少年部に移管し、子育て支援に関する業務を一元化した体制づくりの下で、さらに組織力を生かした対応を進めます。

(2) まなびの環境整備
 適正な教育環境を整備するため、引き続き多摩第一小学校の建替え工事を進めるとともに、貝取中学校と豊ヶ丘中学校の統合により新たに開校する青陵中学校に、新校にふさわしい環境づくりのための施設改修や備品等を整備します。児童の増加が著しい連光寺小学校では校舎の増築を、多摩第二小学校では地域住民・PTA・教職員等の検討委員会を設置し、校舎建替えの検討を行います。南鶴牧小学校においては、校庭の芝生化と地域住民、学校、市の協働による芝生の管理を行います。
 就学への切れ目のない連携を進めるため、就学支援シートを活用します。一人ひとりの個性を尊重し、障がいの種類・程度に応じた教育を進めるため、新たに和田中学校に特別支援学級を開設します。
 図書館本館については旧西落合中学校跡地での業務を3月22日から始めるとともに、4月からは京王線沿線7市の図書館の相互利用を始めます。
 組織改正により、子どもたちの教育環境充実に向けた学校教育と社会教育の一体的取り組みを強める体制が整いました。教育企画部門が中心になり、地域、家庭、学校の連携による家庭・地域の教育力の向上を目指し、公民館、図書館とも連携した取り組みを行っていきます。
 また、生涯学習、スポーツ部門の市長部局への移管に伴い、地域コミュニティと地域課題や健康づくりの連携の取り組みをこれまで以上に進めてまいります。

(3) 健康づくりの推進
 健康寿命の延伸、生活の質の向上に向け、健康づくりや疾病予防を積極的に推進します。このため医療制度改革等により保険事業者として特定健康診査、特定保健指導を行うこととなった保険年金課を保険課として再編し、健康福祉部へ統合することにより国民健康保険、後期高齢者医療制度及び健診事業を円滑に実施し、市民の健康づくりを総合的に進めていきます。また、「けんこう多摩手箱プラン」に基づき、健康まちづくりキャンペーンを継続して実施していくとともに、食育の推進に積極的に取り組みます。さらに介護予防や生活習慣病対策をはじめ、命の大切さなどについても市民との協働による健康なまちづくりを進めてまいります。

2 II みんなが支え合い、安心して暮らせるまちづくり

(1) 安全・安心施策の推進
 安全安心施策のより一層の推進に向け、東京都防災計画における新たな被害想定に基づく地域防災計画を更新します。庁内の横断的な組織により、地震等の災害時における高齢者、障がい者、外国人等、災害時要援護者の支援方策の検討を進め、被災時の避難支援を強化します。また、防災行政無線のデジタル化を計画的に進め、性能の向上を図っていきます。さらに、AED(自動体外式除細動器)を新たに小学校及び体育施設等へ配備します。
 これまで小中学校の耐震対策を優先的に進めてきましたが、平成20年度も引き続き東寺方小学校、瓜生小学校、和田中学校、及び東愛宕中学校の体育館の耐震補強工事を行います。そのほか、教育センターのある諏訪複合教育施設や市役所本庁舎の耐震補強工事も進めていきます。
 また、木造住宅の耐震改修の促進のために、診断助成から診断士の派遣制度への変更や耐震改修助成の拡充により耐震化の促進に努めます。
 水道事務の平成20年度末の東京都への円滑な業務移行に向けて、東京都と綿密な連絡調整を行い、万全な対策を期すとともに地元業者の育成及び災害に強いまちづくりにも十分配慮して進めます。
 防犯対策につきましては、自主防犯活動の輪を広げ、地域間の連帯感を高めるとともに、地域の防犯環境を整備し、全市的な防犯力の向上を図っていきます。引き続き、地域防犯ネットワークモデル事業の拡大や街路灯照度アップ、街路樹の整備による安全性の向上及び公園等の環境改善を庁内の各部門が連携して取り組んでいきます。また、犯罪被害者支援相談窓口の設置や犯罪の被害に遭われた方への付き添い等の支援を充実してまいります。

(2) 高齢者・障がい者施策の推進
 平成20年度は高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画及び障害福祉計画の仕上げの年であるとともに改定を進める年でもあります。急速に進む高齢化や障がい者の増加のなかで、特にニュータウン住民の高齢化への対応として、一人暮らしの高齢者や高齢者のみの世帯の在宅生活を支援するため、地域の見守りや居場所づくりを推進するとともに、介護予防の充実や後期高齢者医療制度の円滑な実施を進めます。また、シルバー人材センターの事務所移転を支援します。
 さらに、本年4月の組織改正に伴い高齢者への支援を介護、福祉の両面から、より一体的に取り組む体制づくりを進めます。
 障がい者の自立と社会参加を促進するという障害者自立支援法の理念にそって、計画的にサービス基盤の整備に努め、心身障がい児通所訓練施設である「ひまわり教室」の諏訪複合教育施設への移転、障がい者や被保護者の就労支援、生活支援の促進や鉄道駅周辺のバリアフリー化を促進します。

(3) 支え合いの輪の拡充
 市民ニーズが多様化し、行財政環境の変化が激しい中だからこそ、協働の輪による新たな支え合いを拡充するチャンスと捉え、市民協働による市民サービスの展開を進めます。
 市民主体のまちづくりや地域づくりの重要な拠点となる唐木田コミュニティセンターの整備を進めるとともに竜ケ峰小学校統廃合後の地域づくりの一環として百草団地会館の整備・あり方の検討を行います。
 また、市民活動情報センターを中核とした多様な担い手による協働のネットワークづくりを推進するとともに、多摩NPOセンターの今後のあり方について、市民の皆さんとともに検討していきます。
 市民提案型まちづくり事業補助金についてはさらに応募しやすい制度への改善を進めます。
 さらに、多摩市社会福祉協議会が地域福祉の推進役としての役割を発揮できるよう、引き続き適切な支援を行ってまいります。

3 III 活気とやすらぎが調和するまちづくり

(1) 魅力あるまちの創出
 住宅都市から住み、まなび、働き、憩う複合都市へと自立的なまちづくりを進めてきた本市にとって、雇用や賑わいの創出などの地域経済の活性化を促すことは不可欠であり、将来の税収と雇用を確保する上からも引き続き企業誘致に取り組みます。このため多摩市企業誘致条例を更新し、多摩ニュータウン区域の業務用地に、事業所を新たに設置する企業に対して引き続き奨励措置を講じていきます。
 また、企業誘致とあわせ、魅力あるまちの創出に向け、就労、創業、中小企業、商店会への支援等による地域活性化、観光資源の開発・活用に取り組みます。
 まちは常に変化しています。誰もが安心して生活できる都市環境の創出と初期入居地域を中心とした多摩ニュータウン再生への取り組みとして、道路・公園などの基盤施設をリニューアルするための整備計画の策定、老朽化した諏訪2丁目住宅の建替えを引き続き支援していきます。また、長期的観点からの庁舎のあり方、学校跡地活用の推進、公共施設の配置の適正化とストックマネジメント計画に基づく保全計画の策定等を本市の新たな局面への挑戦と捉え、推進してまいります。

(2) 環境と共生する循環型社会の構築
 地球温暖化による気候変動や気温の上昇が懸念されているなかで、将来に亘って豊かな環境を保全し、自然と共生する循環型社会の構築に向け、産業界だけでなく、市民生活においても現在よりさらに環境にやさしい生活スタイルへの転換を図り、市民協働による廃棄物のさらなる減量や再利用に取り組んでまいります。
 本年4月からの有料指定袋による家庭系ごみの収集やプラスチックの資源化の円滑な実施等とあわせ、ごみの分別と減量化の推進に向けて市民の皆さんへの周知を図り、ご協力をお願いするとともに、有料化に伴う歳入の一部をごみ減量補助制度の拡充や地球温暖化対策等に活用します。
 資源循環型社会を構築するため、学校給食の食用廃油をバイオディーゼル燃料として精製し、ミニバスに使用するための実証実験を行います。
 また、「美しく綺麗な多摩市」を推進するため、環境美化条例について検討します。
 さらに、本市の豊かな都市環境を形成するみどりの確保のため和田緑地保全の森等、既存地域に残る樹林地の保全と市民協働による保全の仕組みづくりを進めます。
 これら環境施策のより一層の推進のために、関係課及び関連業務を再編した新たな組織の下で全庁的に取り組んでまいります。

第5 むすびに

 団塊の世代の皆さんが地域に戻ってきつつあります。多摩市の強みは市民の皆さんの力です。これまでの市民協働の取り組みと蓄積された市民の力、地域の力を生かし、市民、団体、事業者、行政など多様な主体が、対等な立場で役割を分担しながら、ともに知恵を出し合い、汗をかき、課題解決に取り組む「新たな支え合いの仕組み」を着実に構築してまいります。
 将来にツケを回すことなく、誰もが希望をもって安心して住み続けることができる多摩市を目指し、市民本位のまちづくりを進め、私たちのまちの夢の実現に向け、市民の皆さんとともに謙虚に、誠実に、信念をもって歩んでいく所存です。
 市議会並びに市民の皆様のご理解とご協力を心からお願い申し上げます。

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