平成21年度施政方針(平成21年2月:渡辺市長)
最終更新日:平成21年2月26日
(注) 本文書は筆記録ではありませんので、当日、市長が述べた文言と若干の相違点があります。
平成21年第1回多摩市議会定例会の開催にあたり、私の市政運営に関する所信を申し述べ、市議会並びに市民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。
第1 はじめに
「平成20年度」を振り返りますと、政治面では短期間での政権交代による麻生内閣のスタート、経済面では、年度の前半は原油価格の急騰に伴うガソリン代や鋼材物資の高騰による設備投資や個人消費の低迷、そして、9月のリーマンショックを境に、未曾有の金融危機と実体経済の急速な悪化に拍車がかかり、企業業績や雇用環境の悪化が深刻な状況にあります。また、地方制度面では、国・地方を通じた三位一体改革を経て、地方分権改革推進委員会から2度の勧告が行われるなど、国や都との役割分担を明確にしつつ基礎自治体の自主自立を益々進めていくことが肝要です。
多摩市は、市税が歳入の6割を占めるなど、依然として基礎体力はあるものの、景気悪化に伴う法人市民税や固定資産税償却資産分の減額など、これまで以上に厳しい財政状況下になることが見込まれます。そういった中、本市では、「ゼロ・ベースの原則」「市民協働の原則」「根拠本位の原則」の基本3原則に基づき、将来世代に負担を回すことなく、「新たな支え合いの仕組みづくり」と「スリムで変化に強い行財政運営」に取り組んでまいりました。
私は、悪化する景気への迅速な対応として、市内企業の資金繰りを支援するために、東京信用保証協会保証料の補助や7,700万円に及ぶ工事の前倒し発注など、市内の経済安定に向けた対策を、昨年12月議会でご承認をいただき、いち早く講じるとともに、建築資材の高騰による価格変動対応策として単品スライド条項の適用を行いました。
また、「2○1○
その結果として、昨年日本経済新聞社が実施した「第六回行政サービス調査」において多摩市は、市民参加度や行政運営の透明度などの行政革新度の総合順位で前回調査の全国53位から7位へと大きく順位を伸ばし、市民主体のまちづくりや行政内部の透明化が着実に進んでいることが評価されました。
第2 多摩市を取り巻く社会経済の動き
政府の経済見通しによれば、景気は急速に悪化しており、平成21年度の先行きについても、その状況が続くとみられ、企業活動の減速や更なる雇用環境の悪化などが懸念されています。加えて、世界的な金融危機や経済の深刻化、急速な円高・ドル安、株式市場の低迷など、景気をさらに下押しするリスクが存在することに留意が必要とされ、このことが市民生活に大きな影響を与えるものと危惧されます。
このような社会経済環境の下で、国においては10月30日に第二弾の緊急経済対策である「生活対策」を公表し、続く12月19日には、新たに「生活防衛のための緊急対策」を取りまとめ、さらに「経済財政改革の基本方針2008」に基づき、改革への取り組みを加速・深化するため、「平成21年度予算編成の基本方針」を閣議決定しました。
国の政策は、地方自治体の行財政運営及び市民生活に大きく関わるものであり、地方の自主性・自立性を尊重しつつ、市民生活の現実を十分に踏まえて構築される必要があります。このため、社会保障や医療体制の強化と景気回復を目指した多様な政策の効果的かつ迅速な実施、仕事と生活の調和の実現、明日を担う人材の育成と産業の創出、地球温暖化対策等について、市長会等を通じ、国としての役割と責任を十分果たすよう働きかけてまいります。
東京都の平成21年度予算案は、一般会計の総額が5年ぶりにマイナスとなりましたが、昨今の景気悪化に対応するとともに、都民生活の安定に着実に取り組むため、政策的な経費を増やし、積極的な予算編成となっています。
また、「10年後の東京」の実現に向けた施策の着実な推進として、平成21年度から23年度のアクションプランとして「『10年後の東京』への実行プログラム2009について」を明らかにし、多摩地域の振興も含め、3ヵ年の事業費として約1兆9,000億円、平成21年度の事業費として約5,900億円を計上し、394事業を推進するとしています。その中で、地球環境問題への対応、医師確保対策開始による周産期・救急医療体制の再構築、中小企業の経営体質改善、非正規雇用者への訓練機会の拡大などを掲げております。また、本年2月には、多摩地域の新たな振興策である「多摩振興プロジェクト」を策定し、多摩地域の更なる充実と発展を図るものとしています。本市では、これまでも実行プログラムを活用して、南鶴牧小学校校庭の芝生化や障がい者就労支援を充実してまいりました。引き続き、これらの諸事業とは積極的な事業連携と主体的な活用を図っていきたいと考えております。
さらに、国家的事業である多摩ニュータウン区域では、施設機能の再編強化など、これからも住みよい活力ある都市づくりを推進することが大きな課題です。開発の一端を担う施行者である東京都に対しては、ニュータウン再生をはじめ、広域的な諸課題を解決する上で、積極的に自らの役割を果たすよう、引き続き強く要請してまいります。
第3 平成21年度の位置付け
平成21年度は、戦略プランの4年目となります。予算編成の基本的な考え方は、「市民の暮らしの視点」を大切にし、暮らしの不安を解消するとともに戦略プランの推進を図り、財政の健全性も堅持することです。このため、まず行政評価と戦略プランの進行管理を踏まえた予算への連動というPDCAサイクルに基づき、各部における重点施策を明確にすることに本格的に取り組みました。
歳入においては、急速な景気悪化に伴い、市税や利子割交付金等の一般財源の対前年度比較では9億円を超える減額となりますが、市民生活に配慮し財政調整基金等の取崩しによる財源対策を講じます。
歳出においては、繰上げ償還やいわゆる赤字地方債を借入れしない等の努力により公債費は減少するものの、社会保障に係る扶助費や国・都の制度改正に伴う市負担分の増加等、避けては通れない経費増もあります。
減少する歳入と増加する歳出という傾向は、これからも続くと考えられるため、歳入の更なる掘り起こしと、ビルドアンドスクラップを基本に、ゼロ・ベースの原則に則り、限られた財源の効果的な重点配分に今後も取り組みます。また、緊急経済・雇用対策を講じます。
さらに、業務の見直しや効率的な執行に努め、権限の委譲、業務の効率化のための内部管理システムの更新、人材育成や活力ある職場づくりなど、小さくても優れた市役所を目指した行政内部の改革も推し進めてまいります。
そして、昨年から取り組みを始めた、平成23年度からスタートする「第五次総合計画」の策定も本格化させます。
以上のことを踏まえ、厳しい社会経済状況を市民とともに乗り越え、私たちのまちの夢を実現していくため、私は平成21年度を「暮らしの安心と夢の実現を目指す年度」と位置づけます。
今後の景気の動向に細心の注意を払いながら、市民の皆さんが心豊かに、笑顔で暮らしていただくことが出来るよう、市民の皆さんとのより一層の信頼関係を紡ぎ、着実に歩みを進めていく所存です。
第4 3つのまちづくりの優先分野の実現:重点施策の展開
1 I だれもが自分らしく、まなび、育ち、自立できるまちづくり
(1)子育て・子育ち支援
私は市長就任以来、子育て支援施策を重点的に推進してきましたが、その中で、東京都人口動態統計年報によると、本市の合計特殊出生率は平成15年の0.98から平成19年は1.12へと着実に上昇してきています。また、市政世論調査においては、「子育てをしやすいまち」という肯定的な評価をする市民の割合は、平成18年度以降半数を超えています。
子育て・子育ち支援につきましては、妊婦健康診査の拡充や赤ちゃん訪問の充実のほか、引き続き民間認可保育所の定員拡大、認証保育所の支援による定員増の促進など、多様な保育環境を整備し、待機児童の解消を図ります。また、秋には、子育て総合的施設を大学やNPO法人と協働で運営し、在宅育児支援機能や新たな子育て支援の人材育成の充実を図ってまいります。
児童の安全確保、育成環境の向上を図るために新設する南鶴牧小学校学童クラブについては、民間の力を活かした運営をしていきます。
それぞれの子どもの持つ力を引き出すことができるよう、「ひまわり教室」の諏訪複合教育施設への移転にあわせ、発達障害に係る総合相談担当を配置し、子ども家庭支援センター・教育センター・健康センター等との更なる連携強化により、発達障害の早期発見と早期支援に努め、子ども一人ひとりのライフステージに応じた支援を充実していきます。
(2)まなびの環境整備
小中学校においては、平成23・24年度の学習指導要領の完全実施に向け、円滑に移行するため、新学習指導要領に対応した教材の購入を行うとともに、小学校では、全校において英語の授業に取り組みます。さらに、小中学校の情報環境とセキュリティの向上を図ります。
また、多摩第一小学校の建替え工事を完了させるとともに、多摩第二小学校では、竜ヶ峰小学校との円滑な統合の実施のため、バス通学補助や施設整備、あわせて校舎建替えの検討を促進します。さらに、教育環境の充実のため引き続き通学区域の見直しに取り組みます。また、多様な教育課題に対応するため、教育委員会での活発な議論を行ってまいります。
生涯学習、スポーツ部門の市長部局への移管に伴う成果として、生涯学習から地域コミュニティへとつなげる市民大学事業を推進します。また、図書館においては、本館及び永山図書館で開館時間を延長し、サービスの充実に努めます。
他方、老朽化により閉鎖するやまばとホールと旧図書館本館については建物を解体し、来庁者駐車場として整備します。
(3)就労支援
就労については、現下の景気悪化に伴う急速な雇用の悪化に対応するためにも、緊急対策とともに、将来に繋がる雇用対策を実施します。
国、東京都との連携を図りながら創業支援、永山ワークプラザへの支援、生活安定応援事業を積極的に推進していくとともに、障がい者団体との連携や就労支援促進コーディネーターの活用による障がい者就労相談の充実等、低所得者、高齢者、障がい者の経済的な自立支援も含めた就労支援を進めていきます。あわせて、市役所における雇用の拡大も行います。
(4)健康づくりの推進
医療・健康面については、人生百歳時代を健康でいきいきと暮らせるように、本市のこれまでの取り組みの成果を活かし、「けんこう多摩手箱プラン」に基づき食育をさらに進展させ、市民主体の健康づくりを引き続き推進します。診療事業や健診事業では、障がい児(者)等にやさしい歯科医療体制を充実するとともに、歯科診療環境の改善を図ります。また、諸検診の効果等の検証を行い、施策を効果的に推進していきます。
学校においては、多摩市学校歯科医会と協働し、小学校1年生の希望者に対し無料でのフッ化物塗布を再開し、児童のむし歯と歯周疾患等の予防をさらに推進します。
2 II みんなが支え合い、安心して暮らせるまちづくり
(1)安全・安心施策の推進
災害に強いまちづくりをより一層推進するため、引き続き住宅の耐震化を地元事業者の協力を得て積極的に促進します。また、局地的集中豪雨などによる水害対策として、東寺方樋管等2箇所の改良に着手するとともに、防災行政無線のデジタル化工事を2ヵ年で実施します。
これまで優先的に進めてきた小中学校の耐震対策については、6校の体育館耐震補強工事を完了させます。
また、犯罪のない安全なまちを目指し、安全安心まちづくり推進協議会や関係機関との連携を図るとともに、地域の見守りを市民の方々と力を合わせて進めていきます。
(2)高齢者・障がい者施策等の推進
平成21年1月1日現在の総人口に占める65歳以上の方の割合は
19.2%で、昨年より1.2ポイント上昇しました。高齢社会にあっても、誰もが住みなれた地域で、健やかに安心して暮らすことができるよう、みんなで支え合う地域福祉を推進するとともに、保健、医療、福祉施策の一体的な展開に取り組みます。あわせて、平成21年度にスタートする新たな障害福祉計画、高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画を着実に推進していきます。
一人暮らし高齢者の引きこもり予防対策として、国の助成事業で作成した「評価シート」を活用し、地域と連携して見守り活動を充実していきます。
障がい者の自立と社会参加を促進するために、つくし作業所とどんぐりパンの自立支援法内施設への移行支援や自立支援給付の単価のレベルアップを行います。また、中途聴覚障がい者等のコミュニケーションを円滑にするために、要約筆記者の派遣を開始します。
また、地域福祉の新たな担い手として、民生委員協力員制度を導入します。さらに、多摩市犯罪被害者等支援条例を制定し、犯罪の被害に遭われた方等への支援を一層充実します。
(3)市民協働とコミュニティ施策の拡充
市民活動の更なる進展と市民協働による地域の課題解決のため、市民活動情報センター、NPOセンター、ボランティアセンターを核に、市民、市民団体、行政等が連携し、地縁・知縁による地域力の向上を目指していきます。
また、市民の主体的な活動によるコミュニティ形成の拠点施設として、唐木田コミュニティセンターの建設工事に着手するとともに、地域と連携しながら運営協議会を設立します。
さらに、寄附という資金面でのまちづくりへの参加・協働ができるよう寄附条例を制定し、その受け皿となる「いきいきTAMA基金」を設置します。
(4)都市基盤と交通環境の拡充
多摩市は、都市基盤が高水準に整備された街です。その都市基盤の維持管理には多額な経費を要するため、計画的かつ適切に整備をしていきます。また、長年の懸案である尾根幹線の整備に向け、東京都と調整を進めます。
交通環境の充実としては、市道2-1号線の整備の推進、バリアフリー化の実施、さらに、橋梁2橋の新設事業を推進します。また、ミニバスの車両の更新、ルートの見直しの検討や唐木田駅周辺の駐輪対策を推進するほか、愛宕地区での地域密着型交通の検討の支援を行います。
3 III 活気とやすらぎが調和するまちづくり
(1)経済対策と魅力あるまちの創出
現下の景気悪化に伴う地域経済の後退に歯止めをかけるため、市内企業者に対する緊急支援を引き続き実施するとともに、プレミアム商品券を多摩商工会議所と共同して発行します。
また、住宅都市から複合都市へと自立的なまちづくりを進めていくため、引き続き、企業誘致や創業支援に努めていきます。
魅力あるまちの創出に向けては、フィルムコミッション活動の本格化や観光マップの作成による地域活性化、多摩の歴史や文化のPRなど、観光資源の開発・活用に取り組みます。また、多摩センター地区活性化のため、回遊性の向上について検討・調整を行います。
良好な都市環境を将来に亘って保持するため、建築物の高さの制限等について取り組むとともに、初期入居地域を中心とした多摩ニュータウンの再生に向けた関係機関との調整や整備計画の策定に取り組みます。また、諏訪2丁目住宅の建替えを引き続き支援するとともに、学校跡地施設の活用方針の決定とその実現に向けた取り組みを積極的に推進していきます。
(2)環境と共生する循環型社会の構築
環境については、環境政策推進本部を設置し、庁内体制の強化を図ります。また、緑の確保とその維持管理や「街路樹よくなるプラン」による街路樹の適正な管理など、市民協働による全市的な取り組みをより一層推進し、将来に亘って豊かな環境を引き継いでいきます。
小学校全校では、CO2削減に向けた環境教育の充実のため、第5学年を中心に「省エネチェックシート」による実践行動に取り組みます。
また、資源循環型社会を目指して、地域での集団回収の推進をはじめ、NPO団体との市民協働による廃棄物の更なる減量啓発や再利用に取り組むとともに、学校給食の食用廃油をバイオディーゼル燃料として精製し、ミニバス等に使用するための実証実験を引き続き行います。
第5 むすびに
多摩市の強みは市民の皆さんの力です。引き続き、これまでの市民協働の取り組みと蓄積された市民力、地域力を生かし、市民、団体、事業者、行政など多様な主体が、対等な立場で役割を分担しながら、ともに知恵を出し合い、汗をかき、課題解決に取り組む「新たな支え合いの仕組み」を着実に構築していきます。
景気や雇用の悪化による、市民生活の不安感・負担感の増大や地域経済の低迷が大きく危惧されています。私は、厳しい社会経済状況を市民の皆さんとともに乗り越え、「暮らしの安心と夢の実現」に向け、市民の暮らしの視点を大切にしながら、機を失せず、スピード感をもって、的確な施策を講じてまいります。
そして、将来に負担を回すことなく、誰もが希望をもって安心して暮らし続けることができる多摩市を目指して、職員とともに、謙虚に、誠実に、信念をもって、市民の皆さんと手を携え前へ進む所存です。
市議会並びに市民の皆様のご理解とご協力を心からお願い申し上げます。
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