令和元年度 市長コラム「多摩の風」

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ページ番号1004488  更新日 2023年3月16日

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多摩の風85 川ごみから見える海洋プラスチック汚染の危機(たま広報令和2年2月5日号掲載)

今年の1月5日、「よみがえれ、大栗川を楽しむ会」が行った川の清掃活動に参加しました。
靴を胴長にはき替え、ライフジャケットを着用し、ごみを採取するトングとごみ袋を持ち川の中へ。新年早々とあってか透明度は高く、子どもたちも含め総勢8人で1時間半。ペットボトル・空き缶の他、レジ袋に包まれた紙オムツ、葦に絡まったビニール、風化したプラスチック製品の破片などが川岸に漂着していました。収集したごみの総量は20L袋で燃えるごみ5袋、燃えないごみ4袋。これらのごみが海洋プラスチック汚染につながっているかと思うと、遠い世界の話ではないと肌身で感じた次第です。
2018年、カナダで開催されたG7(主要国首脳会議)で「海洋プラスチック憲章」が採択されました。そこでは、2030年までに100%のプラスチックをリユース・リサイクルできるようにすることが求められています。日本と米国は加わりませんでしたが。
レジ袋・ペットボトル・包装類・ストロー・たばこフィルターなどが、河川・道路・公園に不法投棄され、下水や側溝から河川を伝わり海洋へ。極小のマイクロプラスチックとなり魚類や哺乳類の体内に。
身近な川ごみの行く末を想像してみませんか。
(多摩市長 阿部裕行)

多摩の風84 もう一つの「オリンピック」(たま広報令和元年12月5日号掲載)

障がい者スポーツの歴史を追っていたら「みんなちがって、みんないい」という童謡詩人・金子みすゞさんの詩の一節を思い出しました。
皆さんは、聴覚障がいのあるアスリートが「デフリンピック」という4年に一度開催される国際スポーツ大会を目標に、練習に励んでいることをご存じでしょうか。私は、「パラリンピック」が障がい者スポーツの頂点にあると思っていましたが、聴覚障がいの方にとっては全く違うようです。「デフリンピック」は1924年にパリで第1回大会が開催され、2017年にトルコのサムスンで第23回大会、次回は2021年に夏季大会という歴史ある大会です。一般財団法人全日本ろうあ連盟は、「『デフリンピック』はろう者自らが運営する大会で、国際手話で親睦が図られる特徴がある」と説明しています。
現在、多摩市は「(仮称)多摩市障がい者差別解消条例」の制定を目指し協議を進めていますが、「聴覚障がいの皆さんからは『手話言語条例』を制定してほしい。」また、条例検討市民委員会の皆さんからは「『分かりやすい条例』を。」と強く望まれています。
知的障がいの皆さんのオリンピックは「スペシャルオリンピックス」として4年に一度夏季・冬季に世界大会が開催されています。目が見えない、音が聞こえない「みんなちがって、みんないい」のだと思います。目標は差別のない共生社会の実現です。よいお年を。
(多摩市長 阿部裕行)

多摩の風83 地球温暖化対策 いま私たちにできること(たま広報令和元年11月5日号掲載)

台風第19号は東日本各地で甚大な被害をもたらしました。堤防は71河川・135カ所以上で決壊し、80人を超える方が亡くなりました。
多摩市でも、多摩川周辺の約1万5千人の皆さんに避難勧告・指示を出し、公共施設などに避難された方は2千500人を超えました。
暴風がさらに強まる中、消防団をはじめ病院・介護事業所・そして家族の命を守るため行動を起こされた多くの皆さんに敬意を表します。
課題も見えてきました。高齢の方、障がいがある方への対応や医療的ケア。避難所でのプライバシー保護、簡易ベッドなど体調に合わせた対応。ペットとの同行避難の事前周知など。
さらに実際に浸水被害が発生した際の災害ごみの仮置き場、ある程度の期間避難できる住居の確保など。
そして、50年・100年に一度の災害が毎年来襲すると懸念される地球温暖化をめぐる対策です。
世界では千を超える自治体・政府が「気候非常事態宣言」を出し、具体的行動を呼びかけています。
市は12月7日(土曜日)、永山公民館ベルブホールで気象学者であり国立環境研究所の江守正多さんに、「激甚化する気象災害 温暖化の脅威を知る」を講演していただきます。ぜひお出掛けください。地球の非常事態です。
(多摩市長 阿部裕行)

多摩の風82 歓迎 アイスランド共和国オリンピック選手団が多摩市にやってくる(たま広報令和元年10月5日号掲載)

東京2020オリンピック競技大会の開会まで、残すところ300日を切りました。
今年7月には自転車競技ロードレースのテストイベントが開催され、一団となって走る自転車に感動を覚え、本番への期待感も大いに盛り上がりました。
さらに朗報です。本市は、北極圏に近い火山と氷河の国、アイスランド共和国オリンピック選手団の事前キャンプ地に決定しました。陸上・水泳・柔道・ゴルフそしてハンドボールなどが期待される種目のようです。
オリンピック直前の練習拠点には、国士館大学の全面協力を得て、市内の体育学部の各種施設が使用されます。
8月23日、駐日アイスランド大使館でアイスランド国立オリンピック・スポーツ協会、学校法人国士舘そして多摩市の三者で覚書締結式を行いました。
アイスランドは、北海道と四国を合わせた位の広さで人口は約35万人。漁業が盛んなので、日本も多くの魚介類を輸入しています。また、アイスランドは世界男女平等ランキングで10年連続世界一という実績。エネルギーも地熱をはじめ自然エネルギー100%という先進国です。世界平和度指数ランキングでも世界一。平和で安心・安全な国。もっと知りたいですね。
(多摩市長 阿部裕行)

多摩の風81 平和祈念「長崎の鐘」(たま広報令和元年9月5日号掲載)

8月9日午前11時2分、「長崎の鐘」は「平和祈念式典」会場に厳かに響き渡りました。猛暑の中での式典でしたが、一瞬のうちに7万人余の命を奪うという人類史上最悪の殺人兵器が投下されたこと、未だに世界9カ国がおよそ1万4千発の恐怖の核兵器を保有していること、日本は核兵器禁止条約に批准していないことなどを念頭に、鎮魂と一刻も早い「核なき世界」の実現を想い、祈りを捧げました。
今回の「子ども被爆地派遣」は、被爆者救護と平和教育に力を注いだ医者であり敬虔なクリスチャンでもあった永井隆博士の足跡と、世界遺産にも登録された250年余にわたって隠れキリシタンとして信仰を守ってきた信者と弾圧の歴史、その浦上地区に原爆が投下されるという、悲劇の歴史を追う旅でもありました。多摩市の中学生6人は、長崎にある純心中学校・純心女子高等学校の皆さんとのワークショップや、長崎純心大学の学生による原爆資料館や永井隆記念館のガイド、そして恵の丘長崎原爆ホームでの入居者との交流など、長崎であの日、何が起こったのか話を伺い大切な時間を過ごしました。
自身も白血病と闘いながら17冊もの著作を著し原爆の恐ろしさを伝えた永井博士。「長崎の鐘」の響きと信仰を命がけで守ったキリシタンの叫びが伝播した長崎の三日間でした。
(多摩市長 阿部裕行)

多摩の風80 早期避難で命を守る行動を(たま広報令和元年8月5日号掲載)

「寒さに震えた者ほど太陽の暖かさを感じる。人生の悩みをくぐった者ほど生命の尊さを知る」米国の詩人ウォルト・ホイットマンが記したと言われている言葉です。前途に厳しさを感じた時、被災の境遇に置かれた時、勇気と希望を感じさせるメッセージです。
昨今、気候変動による河川氾濫、土砂災害など短時間での降雨量の増加による災害が全国、そして全世界で相次いでいます。毎日新聞の報道によれば、気象庁気象研究所チームは死者200人を超える被害となった西日本豪雨について、地球温暖化による気温上昇により総雨量が6・5%増えた可能性があると報告書をまとめたそうです。また、「線状降水帯」というこれまで経験のない波状的局所豪雨も各地で発生しています。しかし、豪雨は地震と異なり、早期避難することで命を守ることができます。それには首長の冷静な判断と決断力も必要です。
私はこの6月、800を超える市長で構成される全国市長会の監事という大役を担うこととなりました。現在会長を務める立谷秀清相馬市長は、就任以来、災害対応を喫緊の重要課題とし、それぞれの市長が現場指揮官として最大限の力を発揮できるよう動いています。
ホイットマンは「我あり、あるがままにて十分なり」とも記しています。皆さんも一人ひとりが命を守る行動を心掛けましょう。

(多摩市長 阿部裕行)

多摩の風79 「脱プラ生活」への挑戦(たま広報令和元年7月5日号掲載)

いやはや驚きました。国連環境計画(UNEP)によると、使い捨てプラスチックごみの1人当たりの廃棄量は、世界第1位がアメリカの約45kg、日本は第2位で32kgだそうです。
プラスチックごみの7割は過剰な容器包装といわれています。そこで環境省はプラスチックごみの減量を目的に、早ければ来年までにすべてのレジ袋を有料化するとの考えを示しました。
考えてみれば、私たちの身の回りはプラスチック製品であふれています。安くて便利で耐久性もあり、資源として排出すればリサイクルされるから大丈夫、という印象があるのではないでしょうか。
しかし、レジ袋などのプラスチック製品が、海辺に打ち上げられたクジラの胃から大量に発見されたとの悲しいニュースを見たことはありませんか?実はペットボトルのリサイクル率は80%を超えているそうですが、廃プラスチックの国内での再生利用率は20%程度に留まっているのです。
国際的な動きとして、中国は海外からの廃プラスチック輸入を禁止。フィリピン、マレーシアも続いています。
生産者に責任を求め、国内での循環システムを作ることも喫緊の課題ですが、まずはレジ袋を断りマイバックを持ち歩くなど、できることから始めませんか。「脱プラ生活」への挑戦です。

(多摩市長 阿部裕行)

多摩の風78 自転車競技と歴史秘話(たま広報令和元年6月5日号掲載)

先月開催した「健幸まちづくりシンポジウム」の中で、講師の千葉大学の近藤克則教授は、AI(人工知能)で分析した結果、健康寿命増進の秘訣は、1本や雑誌を読む 2一人暮らし 3地域の治安を良くする、という意外な事実だったとの話を披露されました。
1日30分以上歩く人が多いまちは認知症リスクが少ない、公園の近くに住む人は1.2倍の運動頻度がある、など数々の例を示していただき、多摩市の健康寿命が東京でトップクラスなことも納得できるように感じました。
キーワードは「エビデンス」。資料の調査で裏付けられた歴史秘話の、刀鍛冶だった貝取村の濵田兄弟のグローバルな活躍の記録、ご存じでしたか。兄の濵田吉之は、鋤・鍬・斧などで有名な「ひょうたん鍛冶」となり、弟・正行は何と明治30年に開催された欧米人と日本人との「合同自転車遠乗り会」に関わりました。その後、正行は神田に自転車店を開業。自転車を通し日本の近代化を推し進めたという、偉人伝です。
時は巡って、2020年のオリンピックという世界的大舞台で、自転車競技ロードレースが武蔵・相模の国で開催されるのも何かの奇縁かなと。特別展「刀鍛冶と文明開化」は、7月15日(祝日)までパルテノン多摩で開催。お勧めです。ぜひ、歩いてのご来場を(笑)

(多摩市長 阿部裕行)

多摩の風77 令和元年を迎えて(たま広報令和元年5月5日号掲載)

「平成が戦争の無い時代として終わろうとしていることに心から安堵しています」。これは上皇陛下が在位中最後の会見で述べられたお言葉です。
上皇陛下は皇太子時代から上皇后陛下とお二人で広島赤十字・原爆病院、広島平和記念資料館を訪問するなど、「昭和」と「戦争」に向き合う旅を続けてこられました。アジア・太平洋地域の戦跡、特に多くの犠牲を払った沖縄には10回を超えて訪問し、戦没者の慰霊と鎮魂を重ねられました。
振り返れば平成元年の1989年は世界を揺るがす衝撃的な出来事がありました。ベルリンの壁の崩壊です。私は当時仕事で西ドイツを訪問し、その後東ベルリンに入る時、東ドイツ兵の検問を受けた記憶があります。
「平成」の時代は、国内外でテロや紛争がありましたが、世界を二分する戦争や日本が直接関わる戦闘は発生しませんでした。一方で、地震・噴火・水害など自然災害や原発事故に見舞われた時代でもありました。
国際社会はグローバル化・ネットワーク化など、空間的・時間的な差異は小さくなりましたが、国家間の分断と対立など緊張した時代となっています。
地球温暖化・海洋プラスチック問題など地球規模の課題はありますが、「令和」がその言葉通り穏やかで平和な時代になってほしいと思います。

(多摩市長 阿部裕行)

多摩の風76 子どもたちを虐待から守ります。電話は189番(たま広報平成31年4月1日号掲載)

4月は入園・入学・進級など、子ども・若者にとって新しい出会いに夢と期待を膨らませる季節です。
しかし、皆さんが出会う大人の中には皆さんの心や体を傷付ける残念な大人もいます。親や身近な人に気付いてもらえず、ただおびえている子もいるでしょう。
皆さんは、自分自身や友達が親から体罰を受けたり、食事を食べさせてもらえなかったり、性的嫌がらせを受けているけれど、どうしたらよいか分からないという悩みを抱えていませんか。
多摩市は、皆さんの安全を徹底的に守ります。学校・幼稚園・保育所などの先生方は皆さんの声を必ず聞いてくれます。
保護者の皆さん、「しつけ」と称し手をあげることは暴力です。子育てでお悩みの方は地域子育て支援拠点や保育所・幼稚園などにご相談ください。
ご近所の皆さん。子どもの泣き声が絶えない、腹をすかせている、あざがあるなど、「これは変だ」と感じたらご一報ください。
通告は多摩市の子育て総合センター電話番号(355)3777。24時間・365日つながる児童相談所全国共通ダイヤルは電話番号189(いちはやく)、緊急時は警察です。
私も「児童虐待防止全国ネットワーク」のオレンジリボン運動に参加しています。児童虐待は重大な人権侵害です。

(多摩市長 阿部裕行)

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