平成30年度 市長コラム「多摩の風」

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ページ番号1004489  更新日 2023年3月16日

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多摩の風75 桜が咲いたら1年生(たま広報平成31年2月5日号掲載)

ここ何年か、4月初旬の「桜まつり」当日には肝心の桜の花が散っていると感じませんか。
気象庁によれば1953年以降、日本列島の桜の開花日は10年当たり1.0日の割合で早まっているそうです。つまり既に1週間程度、開花が早くなっていることになります。地球温暖化が生態系に大きな影響を与えていることは確かなようです。
日本の年平均気温も、100年当たり約1.21℃の割合で上昇しているそうです。35℃以上の猛暑日も増えており、昨年は気象庁が「災害」と呼ぶほどの夏でした。
市内の愛和小学校では、児童がサワガニの住む湧水や、果樹のなる木など自然の恵みを活かした森づくりを行っています。今後の気候変動の影響も見届けてほしいと思います。
また、昨年のクリスマスには聖蹟桜ヶ丘駅前で多摩第一小学校・連光寺小学校の児童が、自分たちの足や風で生み出したエネルギーなどを使いイルミネーションを灯しました。こちらはまさにクリーンなエネルギーによる地球温暖化防止作戦でした。
どうしたら地球温暖化を食い止めることができるのか、私たち人類の姿勢が問われています。「サクラ咲いたら一年生(※)」と歌い続けていくためにも。

(多摩市長 阿部裕行)
(※作詞:伊藤アキラ氏「ドキドキドン! 一年生」より引用)

多摩の風74 ボヘミアン・ラプソディ(たま広報平成30年12月5日号掲載)

伝説のバンド「クイーン」を描いた映画は、涙無くしては見ることができませんでした。
学生時代、私は福祉関係のボランティアサークルで、重度障がいのある子どもたちのキャンプや、鉄道・バスなど「公共交通機関に車椅子での乗車を目指す運動」に参加していました。
今でいう同行支援、介助ボランティアを通じて、まだ二十歳そこそこの同年齢の障がい者と出会いました。
その一人に進行性筋ジストロフィーの方がいました。私が新聞の世界で働くようになってからも交流は続き、彼の趣味だったイラスト・絵そして詩の創作活動を応援していました。
当時はまだインターネットはおろか携帯電話もないような時代。車椅子で電車やバスを乗り継ぎ、公園やコンサートなどよく出掛けましたが、階段昇降・トイレ介助・レストラン入店など、試練の連続でした。40年も前の話ですから。
ちょうど米国スリーマイル島での原子力発電所の事故もあり、科学技術の進歩と安全神話などを論議したことを覚えています。
その後、私は仲間たちと彼の絵や詩を盛り込んだ本を出版し、両親にお渡ししました。祭壇に飾られた写真の笑顔が今でも忘れられません。
彼が好きだった「ボヘミアン・ラプソディ」は私にとっても思い出の曲です。

(多摩市長 阿部裕行)

多摩の風73 プラスチック海洋汚染の衝撃と私たちの暮らし(たま広報平成30年11月5日号掲載)

ちょうど1年前、京都大学の田中周平准教授らの研究チームが東京湾や大阪湾、琵琶湖など本州各地で採集した魚の4割の消化器官などから極小のマイクロプラスチックが検出されたとの衝撃的な報道がありました。
浜辺がビニールやプラスチックで覆われている光景や深海でプラスチックのごみが浮遊している様子などをテレビ報道でご覧になった方も多いでしょう。
国際連合広報センターによれば、年間800万トンのプラスチックが海に流れ込み生き物・漁業・観光に大変な損害を与えているとのことです。海を漂うプラスチックのごみの総量は1億5千万トン。世界では毎年5兆枚ものビニール袋が使われ、1分間に100万本のプラスチックボトルが販売されているようです。
何気なく使っている身の回りのものに何とプラスチック製品が多いことか。
EU(欧州連合)は、2030年までにすべてのプラスチック容器包装のリサイクルを目指す方針を打ち出し、本年6月にカナダで開催されたG7首脳会合では海のプラスチックごみを減らす数値目標を盛り込んだ「海洋プラスチック憲章」を発表しました。
この問題は、早急な取り組みが必要だと認識しています。回りまわって私たちの体内に入ってしまうのですから。

(多摩市長 阿部裕行)

多摩の風72 東京2020オリンピック自転車競技ロードレースが多摩市を走ります!(たま広報平成30年9月5日号掲載)

サイクリストの間で「世界のONEKAN」と称されている市内の南多摩尾根幹線やモミジバフウの美しい上之根大通り、さらには聖ヶ丘・馬引沢の一巡も加わった多摩市を疾走するルートが、東京2020オリンピック自転車競技ロードレースのコースに決定しました。
武蔵野の森公園をスタートし、多摩ニュータウンをはじめ多摩地域8市や相模原市、道志みちを走り抜け、アップダウンの激しい富士山周辺を周回するという、国際自転車競技連合からの評価も高いコースとなったようです。
この決定に至るまで紆余曲折がありましたが、東京都をはじめ関係機関への要請行動など地道な努力を重ねた結果と感慨深く受け止めているところです。ご支援いただいた関係各位に感謝です。
今後、沿道の安全管理や応援などについて、多くの市民の皆さんにご協力いただかなければなりません。市内にある大学の学生の皆さんなどにも協力をお願いしたいと考えているところです。
夏の猛暑対策や交通アクセス、大会ボランティア募集などすべてはこれからですが、原点を忘れず政治やナショナリズムに左右されない平和の祭典としてのオリパラを共に盛り上げていきましょう。

(多摩市長 阿部裕行)

多摩の風71 命を守るための行動(たま広報平成30年8月5日号掲載)

皆さん、体調はいかがですか。7月下旬の猛烈な暑さは、経験したことのない異常な事態でした。西日本豪雨に見舞われた地域の皆さんには、復旧作業を進めるに当たっても過酷な状況となりました。改めて心よりお見舞い申し上げます。
夏の高校野球も、ナイターあるいは午前中のみなど、さまざまな工夫が凝らされています。観光地では行事の中止、市内でも学校の部活動・イベントの見直しや夏祭り行事の短縮など、命を守ることを最優先に対応いただいています。度を超えた暑さは、もはや「災害」と言えるかもしれません。
今年も8月から、省エネを目的として市内のショッピングセンター・飲食店・レジャー施設などを活用していただくための「多摩市版クールシェア」がスタートしていますが、まずはご自身の体調を優先してください。
40度を超す酷暑などの異常気象には、地球温暖化が大きく関係ありそうです。北極海に面しているグリーンランドの港では、巨大な氷山が崩落するという事態も起こりました。また、海水面の温度が高いこともあり、台風の巨大化や線状降水帯などによる局地的集中豪雨の頻発も予想されます。
いざという時は、安全な場所に避難してください。熱波・水害などから「命を守るための行動」をよろしくお願いいたします。

(多摩市長 阿部裕行)

多摩の風70 青空が見ていた多摩(たま広報平成30年7月5日号掲載)

もう20数年以上も前の話、多摩市青少年問題協議会のキャンプで多摩市と稲城市の市境にある在日米軍の「多摩サービス補助施設」を利用した時のことです。
多摩丘陵の自然がそのまま残されていることに大いに興奮。そこにはツタに覆われたコンクリートの建物が残されていました。
後に多摩市平和展の講演で、その建物は旧日本陸軍が弾薬を製造・貯蔵した「多摩火工廠(かこうしょう)」の一部であるということを、高校教諭の中田均(ひとし)さんや多摩市平和展市民会議の皆さんから教えていただきました。
「多摩火工廠」を多摩市平和展で紹介し始めたのは平成12年からです。このほど関係者の皆さんの地道な努力により、DVD「青空が見ていた多摩」が完成しました。多摩市に住む中学生が、戦時中に多摩火工廠で働かされていた女学生の絵日記を見て衝撃を受け、火工廠の歴史を調べるというストーリーで、多摩市平和展の初日7月22日(日曜日)が初お披露目となります。
また、多摩火工廠は浅田次郎さんの小説「日輪の遺産」の舞台でもあり、平成23年には堺雅人さん出演で映画化され、改めて注目されました。
9・11同時多発テロ以降、米軍施設のセキュリティが強化され、出入りは困難となりましたが、多摩の戦争の記憶を次世代につなぐ作品です。ぜひご覧ください。

(多摩市長 阿部裕行)

多摩の風69 ありがとう 高畑勲さん(たま広報平成30年6月5日号掲載)

4月、アニメ映画監督の高畑勲さんが82歳で亡くなりました。私たち多摩市民にとって高畑さんの作品と言えば、やはり「平成狸合戦ぽんぽこ」。
多摩丘陵を住処に平和に暮らしていた狸たちが、自在に姿を変化できる化け学を駆使し、ニュータウン開発を進める人間たちに立ち向かうというストーリー。自ら原作を手がけ、1994年に公開され、日本国内で上映された邦画作品の興行収入ランキングで第1位に輝いた作品です。
高畑さんは、多摩市和田にある日本アニメーションで活躍された時期もあり、監督として「母をたずねて三千里」「赤毛のアン」を演出されました。里山で豊かに暮らしてきた多摩の人々が高度経済成長のうねりと人口急増の中でニュータウン開発に巻き込まれ、丘陵地帯も大いに変貌していく姿を身近に感じていたのでしょう。
その多摩ニュータウンも2021年に諏訪・永山団地第一次入居から50年の節目を迎えます。高畑さんは、映画に登場する正吉、おキヨ、鶴亀和尚らに狸たちの誇り=里山を愛する心を語らせているように感じます。
私は、三期目の課題として、市民の誇り=まちを愛する心を大切にシビックプライド溢れる多摩のまちを皆さんと共に進めてまいります。高畑さんそして狸たちや動植物の想いも込めて。

(多摩市長 阿部裕行)

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