令和2年度施政方針(令和2年2月阿部市長)

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ページ番号1004528  更新日 2023年3月16日

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(注)本文書は筆記録ではございませんので、当日、市長が述べた文言と若干の相違点があります。

2020(令和2)年度の市政運営について、所信を申し述べ、主権者である市民の皆さん並びに市議会の皆さんのご理解とご協力を賜りたいと存じます。

施政方針に先立ち、新型コロナウイルス感染症への対応について申し上げます。

中国の湖北省武漢を中心とした新型コロナウイルスの感染拡大を受け、さる1月30日に私を本部長とする「多摩市新型コロナウイルス感染症対策本部」を設置しました。東京都においても同日付で小池都知事を本部長とする対策本部を設置しており、以来、国や都の情報を参考にしながら、市民に向けた情報発信、感染予防対策等の具体的対策の検討、庁内での情報共有などを行ってきました。

政府は、2月25日に「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」を発表、「この時期が、今後の国内での健康被害を最小限に抑える上で極めて重要な時期にある」ということを強調し、翌26日には、安倍首相から「全国的なスポーツ、文化イベント等については、大規模な感染リスクがあることを勘案し、今後2週間は、中止、延期または規模縮小等の対応を」との要請が示され、さらに昨日27日には、「全国の小学校、中学校、高校、特別支援学校について、来月2日から春休みに入るまで臨時休校とするよう要請する」と表明しました。

本市としては、これまで独自に検討を進めてきた経過や、国の基本方針を踏まえつつ、さらに一歩踏み込んだ形で、市が主催するイベントなどを基本的に延期または中止とすること、窓口職場での職員のマスク着用、医療福祉関連の事業所等へのマスク貸与などを進めることとしました。また、市民や職員がり患した場合の対応等についても検討を進め、できるところから取組みを始めています。

本日までのところ、感染経路が追えない感染者が発生している状況にあり、都内でも「発生早期」から、すでに次の段階の「感染期」に入りつつあるのではないかと考えています。
多摩市内でいつ感染者が発生してもおかしくない状況にある中、特にこれからの2週間が正念場であるとの認識のもと、地方自治体をあずかる首長として、組織を挙げて、この困難な事態に取り組んでいきます。

本定例会は、新年度の予算案をはじめ、次年度に向けて極めて重要な審議をお願いする機会ですが、幸いにして、市議会の皆さんのご英断により、議会日程を大きく変更していただきました。
コロナウイルス対策に執行機関としてしっかり取り組むようにというメッセージと受け止め、市民の皆さんの安全・安心を守るため、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の防止に全力を挙げて取り組んでまいります。

第1 はじめに

2030年までに1.5℃の気温上昇を抑えられるかどうか。
昨年末にスペインのマドリッドで開催されたCOP25ではスウェーデンの10代の環境保護活動家グレタ・トゥンベリさんは「明日はないものと思って行動を」と呼びかけました。
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を契機に本市がホストタウンとなったアイスランド共和国では、昨年8月に世界的大氷河の追悼式が行われました。高さ40m、面積16平方kmの大氷河が1平方kmに縮小したことを国家をあげて歴史に刻む意味での式典でした。多摩市の広さが約21平方kmですから、市域の三分の二近くの面積の氷河が消滅したことになります。その場所には「未来への手紙」として「オクヨクットルは、アイスランドで初めて氷河という肩書きを失った氷河です。私たちは、今何が起きていて、今何をなすべきなのか」と訪れる人に、このことの重みを訴える銘板が刻まれています。
このまま気温上昇が続けば、アイスランドの氷河が消滅するだけでなく、北極圏、南極圏の氷床やシベリアの永久凍土等が氷解・凍解し、海水温上昇、海面上昇、さらには気候変動の激化など地球環境に大変なダメージを及ぼすことは必至です。IPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)は「人類が地球に暮らせなくなる日が来る」と警告しています。ティピング・ポイント(臨界点)をいつ超えてもおかしくない緊急事態と指摘する学者もいます。
昨年の台風19号の際には、本市でも今までに経験したことがないような自然災害に襲われました。地球温暖化による異常気象は日本のどこで起こってもおかしくないと肌で実感し、多摩川、大栗川、乞田川の氾濫に備え、関戸・一ノ宮にお住まいの市民を中心に水防訓練を実施してきましたが、これが現実になりました。
地球環境問題はまったなしの状況です。
大型台風、長雨などで降水量が急激に増加した場合に備えた防災対策、地球温暖化を前提にした新しい対策に全力をあげて取り組まなければなりません。
多摩市においても、2030年、その先の2050年に向け、中長期的なビジョンのもと、今すぐできるところからアクションを起こす時期に来ています。
来年度には、「(仮称)気候非常事態宣言」を行い、「地球温暖化対策の取組み」、「災害に強いまちの形成」に特に注力して取り組んでいきます。この分野は、国連が採択した2030アジェンダに掲げるSDGsの17の開発目標でいう、7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」、11「住み続けられるまちづくりを」、13「気候変動に具体的な対策を」に特に結びつきます。
市の施策を進めることで、SDGsの達成に寄与していく考えです。

第2 国政・都政の状況

安倍首相は、先の施政方針演説で復興五輪の意義や、地方創生、成長戦略、一億総活躍社会、外交・安全保障などの各分野について、過去のオリンピックを引き合いに出しながら、これまでの実績、新たな政策について「国民とともに切り拓く」考えを打ち出しました。
一方で、IRをはじめ相次ぐ不祥事や政治不信につながる説明責任への言及、最大の課題である「全世代型の社会保障制度」の創設、気候変動をはじめとした地球環境問題への挑戦など、現在と未来の世代に向けて責任ある姿勢をもっと前面に打ち出すべきではなかったかという印象を受けました。
幼児教育・保育の無償化、マイナンバーカードの交付促進・利活用、児童・生徒へのタブレット端末の配備など、地方自治体と直結する政策にも関わらず、地方の意見が反映されているとは言えずに進められる政策が目立っています。ふるさと納税については、地方税制の趣旨が著しく損なわれており、あり方の抜本的な見直しが必要であると考えています。
このような中、最重要課題としている憲法改正論議をどこまで進めることができるのか、注視していかなければいけないと考えています。
都政では、来年度はいよいよ東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の本番を迎えます。この世界的な行事を、日本全体、全都で一丸となって成功に導かなければならないことは言うまでもありません。世界中からの人の流れがある中で、新たな感染症リスクへの対応、大会開催期間中の災害対策、サイバー攻撃への対応に万全を期す必要があります。
さらに、来年度の下半期からの、いわゆる「オリ・パラ後」を見据えていかなければなりません。
東京都では、昨年末に大きなビジョン・戦略を3つ公表しました。「『未来の東京』戦略ビジョン」、「新たな都政改革ビジョン」、「ゼロエミッションTOKYO戦略」です。
特に、「『未来の東京』戦略ビジョン」は、オリ・パラ大会の成功を跳躍台にして、その先の東京の持続的な発展への方向性を20の戦略から示したものであり、これを受けて長期戦略を策定するものとしています。戦略の中には、「多摩・島しょ振興戦略」も含まれており、その中には、市町村のコミュニティ・まちづくり施策に関する相談を一元的に受け止める「地域まちづくり推進部署(仮称)」を開設するとあり、本市の地域自治の推進の取組みを後押ししてくれるものと期待しています。
また、環境問題においても、「ゼロエミッションTOKYO戦略」と同時に、気候変動に対応するための防災や暑さ対策を盛り込んだ「気候変動適応方針」、「プラスチック削減プログラム」、「ZEV普及プログラム」が公表されました。本市でも都と協調しながら進めていきます。

第3 市政運営における基本的な考え方

1 市政運営の基本姿勢

(1)市民主体のまちづくりの推進

多摩市は、子育て支援や環境問題をはじめ、特定の目的をもって活動するNPO、公民館やコミュニティセンターなどで活動するサークルや団体が多く存在し、このような活動に参加している市民の皆さんにまちづくりの中で大きな役割を担っていただいています。
このことは、新たなまちを創り上げる中で、自分たちが身近に直面する課題や共通する問題意識に対して、相互の助け合いや連携により、また楽しみながら解決を図ってきた、市民の手によるさまざまな活動と深く関わっています。
また、こうした市民の力により、全国の中の先駆けとして、多摩市自治基本条例が誕生しました。その施行から15年が経過し、高齢化の進行など、地域自治を進めていく上での環境も大きく変化し、日々のくらしの中の課題も多様化、複雑化を増し、まちづくりの担い手不足が大きな課題となっています。
これを解決する鍵は、「シビックプライド」を大事にする市民の皆さんの力です。
これからは、これまでも活躍いただいている市民の方々に加え、次の世代の市民が、仕事や子育てをしながらでも、地域が抱えている課題解決につなげていくことができるしくみづくりが求められています。
市民主体でまちづくりを担い合い、支え合い、楽しみながら、豊かな地域社会を築いていくために、第五次多摩市総合計画に掲げてきた「(仮称)地域委員会構想」の実現に向けて、本格的に取り組んでいきます。

(2)持続可能な質の高い行財政運営の推進

第五次多摩市総合計画に掲げる「目指すまちの姿」の実現に向けて、政策・施策に取り組んでいくためには、下支えとなる、安定的で、持続可能な行財政運営が必要です。
中長期的にはさらに高齢化が進行し、人口減少に転じることなり、市の歳入の要である市税の減少が想定されます。また、今後さらに増加が見込まれる社会保障関係経費や公共施設・都市基盤の老朽化対応など、財政負担が増大する中では、より一層の財源確保や効率的・効果的な行財政運営が求められます。
そのためにも、引き続きソフト面の取組みとしての「行財政運営手法の転換」、ハード面の取組みとしての「都市基盤を含む公共施設等のマネジメント」、両者に係る取組みとしての「内部改革の推進」に取り組んでいきます。
高度な情報技術が身近な社会インフラとして普及する時代となり、Society5.0、5Gといった言葉を耳にする機会も増えました。新たな発想と行政、民間の垣根を超えた柔軟な取組みも課題解決のもう一つの鍵です。
手法の転換については、民間のアイデアやノウハウを計画の立案段階からとり入れるなど、公民連携の取組みをさらに広げるとともに、AI技術やRPAをはじめ最新のICT技術の研究・活用に取り組み、市民サービスの向上と効率的な事業運営の両立を図っていきます。
来年度からは、庁内会議の効率的な運営と紙資源の削減などを図るため、議会が先行して導入している会議システムを市側でも導入します。
都市基盤等を含む公共施設等のマネジメントでは、市民の財産を大切に長く使用するという視点を基本に、安全性を確保しながら、時代のニーズに合わせた施設への機能転換や資産の効果的な活用を図っていきます。
また、来年度から、市役所本庁舎の建て替えに向けた検討を本格的に進め、「基本構想」の策定に着手します。
庁内組織に係る内部改革の推進では、従来からのストレスチェックに加え、職員の意識調査等を行い、「意識」と「行動」の改革をさらに一歩進めます。さらには、職員の働き方にも目を向け、今の時代に求められる働く環境、若い職員がやりがいを感じられる職場環境への転換を図り、職員の働き方を見直します。
職員の大幅な入れ替わりにより、平均年齢は大きく若返る一方で、地域に精通した職員が減り、職務経験の浅い職員が増えていることから、複雑化する行政課題に対し、確実に対応することができる人財の育成・組織づくりを進めていきます。
また、職員一人ひとりが法令を遵守し、コンプライアンス意識を高め、公務員としての倫理観と使命感を保持して適正に業務を行い、公正で透明性の高い行政運営を継続していきます。このような取組みを進めていくことで、「一人ひとりがやりがいを持ってチーム多摩市として働く職場」にすることを目指します。
また、適正な事務執行に向けた体制の充実として、これまでの取組みに加え、来年度については、都道府県などで導入される内部統制制度などを参考に取組みを前進させていきます。
最後に、シティセールスの推進についてです。
平成30年4月に「多摩市シティセールス戦略」を策定し、さまざまな調査データから、世間一般が抱いている多摩市のイメージと実際との差異を分析し、「認知度は高いが、理解度・好意度が低く、多摩市の良さが伝わっていない」などの課題が明らかになりました。その課題に対し、「多摩市の魅力的な情報」をテレビ・新聞・雑誌・WEBニュースなどを通じて積極的に発信してきました。
来年度はこれらに加え、さらなる多摩市のイメージ基盤を創るために、「多摩市ならではの骨格となる価値」を発掘・検証し、将来に向けたシティセールスの方向性など重要な枠組みの検討をはじめます。

2 「健幸まちづくりのさらなる推進」

第五次多摩市総合計画第3期基本計画では、第2期計画の「3つの取り組みの方向性」の1つとしていた健幸まちづくりをさらに推進することを基本計画の「基盤となる考え方」に位置づけました。SDGsが掲げる「すべての人に健康と福祉を」「住み続けられるまちづくりを」などの目標は、多摩市が健幸まちづくりをさらに推進していく、すなわち基本計画で掲げる各分野別の施策を統合的に推進していくことにより、その達成に寄与できるものと考えています。
「健幸都市の実現」には着実な取組みが必要です。「ウォーカブル推進都市」など、国の新たな施策などとも連動させながら、これまでの取組みが各地域や一人ひとりの市民にとっての取組みとして根付き、発展していくことを目標にしています。
来年度からは、庁内のそれぞれの部署で行っている施策・事業を、健幸まちづくりの視点・要素を取り入れながら実施していくことを意識づけするためのしくみを導入し、すべての部署が健幸まちづくりの所管であることをさらに徹底していきます。
また、まちぐるみで進める健幸まちづくりの取組みの一環として、市内の企業・経済団体とともに、働く方の健康と幸せを実現するための働き方改革にも取り組んでいきます。
本市の持続可能なまちづくりを進めていくためにも、第3期の基本計画の重点課題に位置付けた「超高齢社会への挑戦」、「若者世代・子育て世代が幸せに暮らせるまちの基盤づくり」、「市民・地域と行政との新たな協働のしくみづくり」を強く認識し、取組みを進めていきます。

(1)超高齢社会への挑戦

多摩市の人口はこの20年間、概ね横ばいから微増傾向で推移していますが、65歳以上の老年人口の割合は、20年前と比較すると18ポイント増加しており、逆に、生産年齢人口の割合は16ポイントほど減少しています。
このような中にあっても、元気な高齢者がいきいきと活躍できる地域社会をつくっていくとともに、介護予防やフレイル(虚弱)予防をはじめとした健康づくり、安心して暮らし続けられる住まいや身近な居場所づくり、移動支援など、ソフト・ハード部門にまたがり、健幸を支える環境整備に取り組んでいきます。併せて、だれもが地域で安心した生活が送れるような支援体制づくり、地域の保健・医療・介護体制の充実にも取り組みます。
特に、本市では、これから75歳以上の後期高齢者が増加していくことから、この世代の方がいつまでも元気に暮らしていけるよう、さまざまな支援をしていきます。来年度から、歯科健康診査の中で口腔機能評価を自己負担なしで実施し、その結果を医療機関につなげるなど、必要な管理を行うことで、口腔機能低下の防止を図る事業を開始するのも、この一環です。

(2)若者世代・子育て世代が幸せに暮らせるまちの基盤づくり

本市の人口構成の特徴として、学生から社会人となって独身時期、結婚、出産を迎える時期までの世代の人口割合が低く、その後、保育園や幼稚園、小学校にお子さんが就園・就学する時期にかかる世代の人口割合は比較的高くなっています。0歳児人口は減少傾向にあり、合計特殊出生率も依然として低い状況にありますが、年少人口はほぼ横ばいで推移していることからも、良好な子育て・教育環境を求めて、多摩市に転入してくる市民が多く存在しているといえます。
子育て環境の整備や教育環境の充実を図り、若者世代・子育て世代が、多摩市で産み育てたいと思えるような、魅力あるまちづくりをソフト・ハードの両面から進めるとともに、多摩市には、子育て・教育にとっての非常に恵まれた環境があり、行政・地域でのさまざまな支援策・支援体制が充実していることを積極的に発信することで、この世代の人口流入や定住促進を図っていきます。
また、次世代を担う子どもたち・若者たちの健やかな成長とまちづくりへの参画を促すための基盤づくりの一環として条例制定を検討していきます。

(3)市民・地域と行政との新たな協働のしくみづくり

現在、地域住民が身近な圏域で主体的に地域生活課題を把握し、解決に向けて取り組めるよう、多摩市社会福祉協議会による地域福祉コーディネーターを配置し、コミュニティエリア単位で地域福祉推進委員会を運営するなど、「地域共生社会の実現」に向けて取り組んでいるところです。
今後、少子高齢化の進行、環境や防災に配慮したまちづくりを進めるためにも、さらに市民主体のまちづくりを進めていく必要があります。
これまで地域を支えてきていただいた世代に加え、若者世代・子育て世代を含めた幅広い世代が地域の活動に参加し、行政に参画してもらうしくみをつくることで、市民・地域と行政が連携・協働し、大学や企業などさまざまな地域資源を活用しながら、地域が抱える課題の解決を図ることができる地域社会を目指します。
特に、これまで3年間にわたって活動してきた多摩市若者会議は、市内外から延べ730人を超える若者が参加し、SNSでの発信やメディアへの露出により、若い世代に対するシティセールスの向上などにつながりました。さらにこのメンバーの中から地域での活動に自立して取り組む組織を設立する動きもあり、地域の担い手に育ってきています。来年度は、若者世代の地域参加・行政参画を進めていくためのパートナーとして活動してもらう予定です。

第4 目指すまちの姿の実現に向けて

新年度予算は、第五次多摩市総合計画第3期基本計画の2年目として、基本計画に位置付けた施策を着実に進める予算として編成しました。
健幸まちづくりをさらに推進する取組みをはじめ、基本構想に定めた「目指すまちの姿」の実現に向け、各分野の政策・施策に取り組んでまいります。
議会からの「平成30年度決算審査事業評価」については、議会の総意として受け止め、議論を深めながら市政運営に活かしてまいります。

1 子育て・子育ちをみんなで支え、子どもたちの明るい声がひびくまち

「子育て・子育ち」についてです。
昨年10月から始まった「幼児教育・保育の無償化」を契機として、これまで待機児童数のみに関心が集まっていた状況から、さまざまな尺度で各自治体の子育て支援策に注目が集まるようになりました。改めて、本市が進めてきた高い水準での子育て支援施策を市民にお知らせしていく必要性があると考え、PR冊子を作成し、広く周知を図っていきます。
待機児童への対策としては、年度当初から聖蹟桜ヶ丘駅周辺に認可保育所2園を開設するとともに、家庭的保育所の小規模保育所化や認可保育所の分園の認可化などを合わせて実施し、さらに令和3年度に向けて、多摩センター駅周辺に定員規模約100名の認可保育所を新たに整備し、ニーズの高い駅周辺エリアを中心に保育定員の計画的な確保を図ります。
併せて、保育人材及び質を確保するために、子育て支援員の研修を民間と連携して行います。
学童クラブは、これまでも定員拡大、小学校敷地への移設などの充実を図ってきましたが、来年度は、待機児が集中する東寺方小学童クラブの定員拡大のための増設工事に着手します。
昨今の子どもの貧困や8050問題と言われるひきこもりなど、これまであまり取り上げられることがなかった問題がクローズアップされるようになりました。次世代を担う子ども・若者に向けた施策の提言をいただいた懇談会からの報告書をふまえ、取組みの指針となる条例の制定に向けて市民委員も参加した検討委員会を設置し、不登校からひきこもり等困難を抱える方も含め、全ての子どもと若者の権利が保障され、幸せに暮らせるまちづくりを目指し、議論を進める予定です。
今も絶えない児童虐待への対応については、多摩中央警察署と協定を結ぶなど、関係機関との連携をさらに深めるとともに、「子育て総合センター」の名称を「子ども家庭支援センター」に改称することで、相談する場としての市民の認知度アップを図り、虐待の未然防止と早期発見に努めていきます。
さらに、妊娠期から子育て期にわたり切れ目のない支援をしていくために、「子育て世代包括支援センター事業」を開始し、ポピュレーションアプローチからハイリスクアプローチまでの各段階での相談・支援体制を整備・強化することで、乳幼児期からの健やかな育成、児童虐待の未然防止を図っていきます。
また、発達支援室と教育センターの相談窓口を統合することで、ワンストップでの相談体制を整えます。
「教育」についてです。
来年度は「第二次多摩市教育振興プラン」のスタートの年です。これまでの成果をもとに社会状況や教育をめぐる諸情勢の変化などを踏まえて、すべての市民の学びを支えるための取組みを進めます。
学校と家庭・地域が連携・協働するしくみとして現在、地域学校協働本部とコミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)への移行を進めていますが、来年度も計画的に移行を進め、地域の特色を活かしながら地域とともにある学校運営を目指します。
これまで、各学校のESD(持続可能な開発のための教育)の成果発表の場として開催してきた「子どもみらい会議」は、全ての学校の発表が一巡したことから、来年度に向けて、そのあり方を見直し、小中連携の視点やSDGsを踏まえたESDの実践を子どもも大人もみんなで共有する場に衣替えすることで、ESDの学びを実生活や社会の変容へつなげていく「持続可能な社会の創り手」の育成を推進していきます。
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会関連では、市内が競技コースとなる自転車競技ロードレースを題材に、事前学習、当日の競技観戦及び事後学習を通して、子どもたちにとってさまざまな学習効果と、多摩市への愛着や誇りを持てるシビックプライドの醸成、そして思い出に残る機会にしていきます。
不登校児童・生徒への対策としては、来年度、対策検討委員会を設置し、「不登校総合対策」を策定するとともに、eラーニングを導入し、多様な学習機会の確保と学び直しにつなげ、不登校児童・生徒の社会性・コミュニケーション能力の育成を含む学びをシステムとして確立していきます。
いじめの未然防止、早期発見・早期対応に向けて、来年度は、これまでの研究校での成果を活かし、教育・心理検査の実施、結果の分析を行うことで、教師の児童・生徒理解につなげ、いじめが起こりにくい学校・学級の実現を図っていきます。
また、障害の有無にかかわらず、誰もが多様な個性を尊重し、認め合える共生社会の実現に向けて、すべての学校で特別支援教育の充実を図るため、第二次多摩市特別支援教育推進計画を策定します。
学校の施設整備では、小学校では、聖ヶ丘小の大規模改修工事に向けた基本・実施設計を引き続き実施するとともに、中学校では聖ヶ丘中、和田中の大規模改修工事、鶴牧中の大規模改修工事に向けた基本・実施設計を実施します。併せて、小中学校の特別教室、中学校の体育館へのエアコン設置を計画的に進めるとともに、防災の観点を踏まえ、小学校全校の体育館にスポットクーラーを設置します。さらに、小中学校のトイレの洋式化を順次進めていきます。

2 みんなが明るく、安心して、いきいきと暮らしているまち

「健康福祉」についてです。
居心地がよく歩きたくなるウォーカブル推進都市の実現に向け、多摩センターを中心に設定したウォーキングコースを活用した街歩きを促進していきます。関連する部署が連携して、駅前にウォーキングマップを掲示し、コース上のポイントとなるトイレの洋式化を進めていくなど、多くの市民にとって歩きやすい環境整備を図っていきます。
人生を最期まで自分らしく生きる知識を広めるため、個人での学びを促す「ライフウェルネス検定」を実施してきましたが、地域で活動する市民が、その活動の中で知識を伝えられる教材を作成することで、市民主体による地域での知識の普及を図ります。
さらに来年度は、働く現役世代へのアプローチとして、健康と幸せを実現する働き方改革に取り組む市内の企業・経済団体と連携して、「(仮称)健幸!ワーク宣言式」を開催します。
昨年10月に施行した、多摩市受動喫煙防止条例について、正しい知識とマナー改善のための普及啓発に取り組むために、小中学生向けのリーフレットの作成、重点区域での指導員の巡回などを実施します。
3年度目となる「多摩市版地域医療連携構想事業」では、これまでの成果から本市の地域医療を分かりやすくまとめたリーフレットを作成し、ご当地医療のかかり方を支援します。
昨年、ベルブ永山に開設した「しごと・くらしサポートステーション」では、生活困窮者自立支援事業におけるひきこもり相談と、児童青少年課で実施してきた若者のひきこもり相談の窓口を一元化することで、年齢を問わず、いわゆる「大人のひきこもり」を含めた相談を受けられる体制をつくり、利便性の向上、継続的な支援体制の確立を図っていきます。
再配置を進めている地域包括支援センターは、北部エリアの第二拠点を愛宕地区に整備するとともに、同地区は高齢化が進行し、介護予防の取組みを地域で進めていく必要性が高いことから、高齢者見守り相談窓口も併設していきます。
また、新たな認知症対策として「もの忘れ相談事業」を実施し、認知機能の低下への不安に寄り添い、早期対応につなげていきます。
検討を進めてきた「(仮称)多摩市障がい者差別解消条例」は、パブリックコメントをふまえた原案を策定している段階にあり、本年6月の議会に上程していきたいと考えています。条例に規定する合理的配慮の提供を行政・事業者に義務化するとともに、当事者も含めた関係者で構成する地域協議会の設置等により、障害の有無にかかわらず、暮らしやすいまちづくりを進めていきます。
現在、多摩市地域福祉計画の中間見直しを行っていますが、この中で、複合的・複雑化したニーズに対応していくために、現在の高齢者や子育てなど、分野別に分かれた相談機関をネットワーク化し、地域の資源を活用しながら、ニーズに対応した支援体制を地域で構築するしくみづくりを進め、「多摩市版地域包括ケアシステム」を構築していきます。
さらに、これまでの地域福祉推進委員会の取組みと新たな地域自治のしくみづくりの動きを連動させることで、地域共生社会の実現を目指していきます。

3 みんなで楽しみながら地域づくりを進めるまち

「コミュニティ」についてです。
コミュニティセンターや地域複合施設など、地域のコミュニティ施設の老朽化対応等の工事を進めていくとともに、コミュニティの基盤である自治会等の活性化に向けて、自治連合会等と連携を図っていきます。
さらに、「(仮称)地域委員会構想」の実現に向けて、若い世代、子育て世代の地域参加を目指し、大学や若者会議が母体の組織との協働により、地域ごとの課題などについて協議する場づくりを、モデルエリアを指定して実践する取組みを始めます。
「文化、スポーツ、生涯学習」についてです。
大規模改修事業を進めているパルテノン多摩は、本年4月から全面休館となり、工事が始まります。施設の休館中についても、子どもたちや若年層を対象とした文化振興事業をアウトリーチにより展開することや市民の文化活動の支援、地域における芸術活動を担える人材の育成などを行うことで、リニューアル後のパルテノン多摩の運営につなげていきます。
このほかにもハード面では、図書館本館が、令和4年秋の中央図書館としての開館を目指して、年度の後半から建設工事に入るとともに、(仮称)旧北貝取小学校跡地施設も、市民活動・交流センター及び(仮称)文化財郷土資料室として令和3年10月の開設を目指し、改修工事に着手する予定です。
また、4月から、リニューアル後の多摩東公園内の陸上競技場・武道館では、指定管理者制度の導入による運営が始まります。
ソフト面では、今年度から進めている、第4次生涯学習推進計画及び第4次女と男がともに生きる行動計画の策定に引き続き取り組むとともに、パルテノン多摩のリニューアルオープンに向け、平成21年度にまとめた文化芸術振興方針の見直しについて、条例化も視野に入れた具体的な検討を進めます。
平成25年度に開始した子ども被爆地派遣事業は、今年度に引き続き、長崎に小・中学生を派遣し、現地の学校等との交流を進めていきます。
また、多摩市国際交流センターと連携して、引き続き外国人の生活支援を行うとともに、国際理解事業等に対する支援を通して、国際交流や多文化共生を推進していきます。
さて、まもなく東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されます。多摩市では、7月11日の聖火リレー、同25・26日の自転車競技ロードレースが市内で実施されることから、これに全力を傾けるとともに、昨年、事前キャンプの開催地としての覚書を締結し、さらにホストタウンとして正式に登録されたアイスランド共和国とさまざまな分野で交流を進めていきます。
聖火リレーでは、都内2日目のスタート自治体となることから出発式を開催します。自転車競技ロードレースでは、都内のコース自治体と連携して安全な競技運営にあたるとともに、開催当日の2日間、武道館・陸上競技場を主な会場としてコミュニティライブサイトを開催し、国内外の観戦者と一緒にレースをゴールまで楽しむ予定です。
アイスランド共和国の選手の皆さんの事前キャンプ受入れを、市を挙げて歓迎しながら着実に行うとともに、ホストタウンとしてアイスランド共和国の各種団体との交流の足掛かりをつくるため、事前キャンプの正式契約を兼ねて現地に赴く予定です。
この他、多摩市ゆかりの選手の応援事業、台湾バドミントンチームの練習受入れ、国士舘大学との連携事業の実施や銘板の設置、大会記録映像の制作などを通じて、この一大イベントを大いに盛り上げ、後世にレガシーを残していきたいと考えています。

4 働き、学び、遊び、みんなが活気と魅力を感じるまち

「産業振興」についてです。
本市の創業支援事業は、直営のインキュベーション施設を中心とした施策から、ソフト施策に軸足を置く形へと大きく転換しました。来年度からは、これまでの三者連携に民間事業者を加えたプラットフォームを構築し、民間事業者が行う事業の支援や連携事業を行うことで、新たな創業者・経営者の支援を図っていきます。また、中小企業の後継者不足が課題となっていることから、事業承継セミナーを行います。
都市農業の振興に向け、農業後継者への支援など「多摩市都市農業振興プラン」の重点施策の取組みを着実に進めます。
多摩市観光まちづくり交流協議会では、会員企業や団体等と連携して市内をめぐるツアーを実施し、来街促進につなげていきます。また、協議会から観光振興の方向性についての提言を受け、市として観光施策の方針を策定します。
多摩センター地区の活性化については、パルテノン多摩の休館中も含めた日常的な賑わい創出を図るため、パルテノン大通りを活用するイベントなどを公募し、来街者の回遊性やニーズ等の動向を調査するための社会実験を行います。
また、多摩センター地区の活性化構想の実現に向け、まずは多摩中央公園と公園内施設が連携して事業を展開できるよう、将来の組織設立に向けた準備会を開催するところから取組みを進めていきます。

5 いつまでもみんなが住み続けられる安全で快適なまち

「防災・防犯」についてです。
今後30年で70パーセントの確率で発生すると言われている首都圏直下地震等に対する備えを引き続き実施するとともに、昨年の台風19号の襲来に伴う水害や土砂災害に備えた避難所の開設や運営、資器材の備蓄や配置などで顕在化した課題の解決に努めていきます。
昨年の避難所開設を受け、市民への情報の発信や関係機関との間での円滑な連携を図るため、防災行政無線を補完するアンサーバックの改修や災害医療コーディネーターと緊急医療救護所との情報連携を図るための資器材を充実させます。
さらに、総合体育館をはじめとした避難所の避難状況の市民への発信や備蓄等を見直し、避難所における生活環境の改善を目指します。
これまでの水防訓練を見直し、従来の水防技術等の継承に加え、浸水地域に居住されている方々が安全に避難することに着目したマイ・タイムラインの作成など、個々の市民が災害時にどのように行動するかを考えるきっかけづくりに取り組みます。
また、災害時における高齢者など要配慮者への給水活動について、その手法等について研究します。
最後に、特殊詐欺対策として自動通話録音機の無償貸出しを行ってきましたが、いまもなお犯罪が収束していない状況から、来年度も貸出しを継続するとともに、多摩中央署との連携のもと一層の啓発活動に努めていきます。
「都市整備」についてです。
多摩ニュータウン再生に向けた取組みについて、第3期に入る再生推進会議の皆さんのご意見をいただきながら、さらに前に進めます。
都営住宅の建替えと並行し、諏訪・永山まちづくり計画に基づく、エリア内の住環境整備を進めるとともに、尾根幹線沿道の土地利用方針の検討に着手します。さらに、愛宕・貝取・豊ヶ丘地区等における次期まちづくり計画の策定に向けた検討を始めます。多摩センター駅周辺では、パルテノン多摩、中央図書館、多摩中央公園の改修・整備と合わせて、レンガ坂の改修を進めます。
また、聖蹟桜ヶ丘駅北側の地区は、多摩川河川敷を含めたエリアを一体的に整備することにより、賑わいと回遊性を醸成し、多摩市の玄関口にふさわしいまちづくりを進めていきます。
親世帯と同居または近居のために多摩市内に転入する子育て世代に対して、住宅の取得にかかる費用等の一部を補助する事業について昨年度に続き、対象となる若年層への周知を図りながら実施します。
中和田通り、和田中通りなどの道路拡幅整備、橋梁長寿命化修繕計画に基づく橋梁等の更新を計画的に行います。
市内の交通不便地域の解消に向けて、これまでエリアごとに地域の皆さんと対話を重ねた成果をまとめ「交通再編実施計画」を今年度中に決定する予定です。本計画に基づいて、来年度は、和田地区・桜ケ丘地区の2つのエリアで、地域の実情に合わせた形で、持続可能な交通手段の導入に向けた実証実験を行います。
下水道事業では、老朽化した施設の維持・更新を引き続き計画的に実施するとともに、「多摩市下水道総合地震対策計画」の改定を行い、下水道施設の耐震化を進めます。また、平成27年度に更新した「公共下水道事業計画」の見直しを行い、より適切な維持・管理・更新を行っていきます。なお、包括的民間委託については、今年の10月からの導入に向け取り組み、導入後は効果検証を行い、今後の方向性を検討していきます。

6 人・自然・地球 みんなで環境を大切にするまち

「環境」についてです。
本年1月、多摩市みどりと環境審議会から、地球温暖化の影響と気候変動による環境への危機に対応するため、「2050年二酸化炭素排出量実質ゼロ」に向け、多摩市としても早期に取り組むべきではないかとの投げかけがありました。
これを受け、国連が求める産業革命以降の気温上昇を1.5℃以下に抑える努力目標を達成すべく、公共施設だけでなく地域全体の脱炭素に向けた2050年二酸化炭素排出実質ゼロの取組みを加速させるため、市民、議会、行政が「気候危機」を共有しながら「(仮称)気候非常事態宣言」を行っていくことで、市民の皆さんの「スイッチ」を入れ、目標達成に向けて、身の回りのできるところから取り組んでいく全市的な動きをつくります。
来年度から、現行のみどりと環境基本計画、みどりの基本計画を再編し、新たに、生物多様性地域戦略、気候変動適応計画を包含した計画として、「多摩市みどりと環境基本計画」の策定に取り組みます。計画は、多面的な課題に長期的に取り組んでいく内容であり、事業者や市民など幅広い参画のもとに策定にあたります。
地球温暖化対策は、「第二次多摩市地球温暖化対策実行計画」をさらに積極的な取組みにするため、ハードとソフトの両面から見直しを図ります。特に、公共施設から排出される温室効果ガスを削減していくために、来年度からエコチューニングの手法を導入し、運用改善を図っていきます。水素エネルギーの導入の面では、都の交付金を活用して燃料電池自動車を購入します。
近年、問題となっている廃プラスチックの不適正処理や海洋ごみに含まれるマイクロプラスチックの問題などに対応するため、特に使い捨てプラスチックへの対策を、レジ袋の削減や脱プラスチックなど、身の回りのできることから取り組みます。
また、資源物の適正処理を確実なものにするため、資源化センターのプラスチックプラント設備等を長期的な修繕計画に基づき、改修を進めていきます。
多摩中央公園の改修にあたっては、改修後の公園内施設、周辺施設を含むエリア全体のマネジメントに民間活力を導入する方向で進めています。これまで実施してきたサウンディング調査においても、民間事業者の参加意欲が確認できたことから、Park-PFIの手法の導入を前提に、来年度は、事業者の募集、選定を進めていきます。
また、「愛でるみどり」から「関わるみどり」への転換を目指して取り組んできたみどりのルネッサンスには、さらなる挑戦が必要です。これまでの取組みを顧みながら、市民が主体となった動きをつくっていくことに力を注いでいきます。

第5 むすびに

10年後の2030年は、SDGsに掲げる17の開発目標を実現すべき年となります。
2030アジェンダの基本的な考え方の1つである「誰一人取り残さない社会の実現」は、理想ではなく、リアリティを持って政策として掲げ、実現していかなければなりません。
2020年は、2030年に向けて大きな一歩を踏み出す年にしていきます。

多摩市が進めている「健幸まちづくり」は、市民の誰もが健康と幸せを実感できるまち、未来に向けて持続可能なまちを目指して、行政だけでなく、市民、NPO、団体、事業者、大学等が、時に主体的に、時に連携して、まちぐるみで実施するものであり、「すべての人に健康と福祉を」「住み続けられるまちづくりを」といった、SDGsの目標を基礎自治体から実現していく取組みそのものです。
「地域共生社会の実現」は、これからの時代を切り拓く大事なキーワードです。これを実現していくためにも、高齢化の進行、社会環境の変化などで地域の力が弱まっている現状を新たなしくみをつくることで変えていきたいと考えています。
これまで前に進めることができていなかった「(仮称)地域委員会構想」の実現に向け、本格的に取り組んでいくための特命の組織をつくり、庁内の関連する部署をけん引しながら、多世代にわたる市民が、楽しみながら、継続して関わってもらえるような、多摩市の市民の力を活かせるしくみづくりに取り組んでいきます。

本年は東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の年です。聖火リレーや自転車競技ロードレース、アイスランド共和国選手団の事前キャンプなど、ワクワクする瞬間の目撃者となれる多摩市でもあります。また、6月には地域や企業などが連携し、共生社会の推進に向けた取組みであるボッチャ大会も開催されます。平和の祭典としてのオリンピック、あらゆる障害を乗り越えていくパラリンピックは、人類共生社会そしてSDGsを実現していく世界的なチャレンジととらえています。地球温暖化への対策と商業主義の色濃いオリンピックという現実も見据えつつ、多摩市として未来へレガシーを遺していけるよう取り組んでいきます。

さらに、2021年には多摩市の大きな節目となる多摩市制50周年を迎えます。併せて、多摩ニュータウンのまちびらきからも50年の年輪を刻む年となります。
市民の皆さんと一緒に50年の節目を祝い、新たな時代に向けて踏み出していくプロセスを大事にしたいと考えています。パルテノン多摩のリニューアル、中央図書館の建設、市内3駅を中心とした新たな街づくりへ具体的に動き出す年となるばかりでなく、多摩市というまちのあり方を身近な地域から変えていく、市民とともに新たな地域自治のしくみづくりにチャレンジしていく大事なステップになる年にしたいと考えています。
この時代に生きる私たちは、これまでの50年を振り返るとともに次の世代に引き継いでいく使命を担っています。市制50周年記念事業のキャッチコピーは、「くらし・たのし・たまし」に決定しました。このキャッチコピーを体現するようなまちを次の50年に向かって一緒に創っていきましょう。

世界は、分断と格差、支配と抑圧、富裕と貧困、平和と衝突、まさに二極対立の緊張の真っ只中にあります。自分が居住している国家や宗派、地域や階層などがよければといった狭量な思考、さらにはポピュリズムの跋扈が目立つ国際情勢に憂慮を覚えます。日本から、分断と対立ではなく平和と熟議を根底に、平和憲法を持つ日本だからこそできる世界平和への取組みを進めていく時と考えます。
そのような時代だからこそ、市民、企業、大学など広範囲な皆さんとともにSDGsの17の開発目標の実現に寄与できるよう、まずは多摩市から果敢にチャレンジしていかなければと想いを新たにしています。
来年度に掲げた多くの施策や事業が「誰一人取り残さない社会の実現」に結びつくものと確信しています。

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