令和3年度施政方針(令和3年3月阿部市長)

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ページ番号1004527  更新日 2023年3月16日

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(注)本文書は筆記録ではございませんので、当日、市長が述べた文言と若干の相違点があります。

2021(令和3)年度の市政運営について、所信を申し述べ、主権者である市民の皆さん並びに市議会の皆さんのご理解とご協力を賜りたいと存じます。

第1 市政運営における基本的な考え方

1 市民の命、くらしを守りながら、次の50年に向けて

(1)令和2年度をふりかえって

新型コロナウイルス感染症への対応

私たち人類は、人と人との接触を通じて、文明、産業を発展させてきました。今回の新型コロナウイルス感染症は、まさにその接触を感染源として世界をパンデミックに陥れました。人の移動は止まり、経済をはじめ、あらゆる活動に影響を与えています。2020年は新型コロナウイルス感染症に始まり、翻弄された1年でもありました。今年に入り、国内でも二度目の緊急事態宣言が発出され、自宅療養者の急増、感染力の強い変異ウイルスの確認など、前途は今なお厳しい状況にありますが、期待されるワクチン接種については、ようやく動き出しました。
私は、感染の始まった当初から、未知のウイルスに対し、市民一人ひとりの総力を挙げて対処するためには「正しく恐れる」ことが重要であると申し上げてきました。データに裏付けされたエビデンス、そして正確な情報がなければ具体的な対策も立てられず、市民に行動変容を促す訴えもできません。新型コロナウイルス感染症が指定感染症と位置付けられ、2類同等とされた時から、保健所設置市でない本市には、具体的な対策を検討、実施するために必要な情報が十分には入ってきませんでした。
市町村は市民に最も身近な地方政府です。私は市長としてこの間、身を削がれるほどの疎外感と喪失感を覚えました。あらゆるチャネルを通じ、政府、東京都に、「事件は現場で起きている」ことを訴え続けてきました。多摩市議会からも声をあげていただき、昨年9月、東京都は「週報」の形で保健所設置市でない自治体でも情報を市民に提供できるようになりました。
多摩市医師会との連携のもと、独自のドライブスルー方式のPCR検査センターを昨年5月の連休明けに立ち上げることができました。保健所設置市、市立病院をもつ市以外では都内で初の試みであり、地元医師会長のリーダーシップと地域の医療機関との日頃からの顔の見える関係づくりの積み重ねが早期実現につながったと考えています。
また、市政運営の上では、いち早く多摩市独自で、またその後の国や都の臨時交付金を活用する形で、臨時議会、定例議会の場で度重ねての補正予算を計上し、市民の不安の声に応え、命、くらしを守る取組みにあたってきました。
しかし、「ステイホーム」はじめ感染拡大防止のための行動抑制は、経済活動の停滞状況を生み出し、店舗運営、雇用縮小など、くらしを支える生活基盤に大きな影響が出ており、市内経済への影響は計り知れません。
また、生活や雇用への不安から、しごと・くらしサポートステーション、社会福祉協議会などへの市民相談も後を絶ちません。その国の幸福度を表すとされる自殺率も、日本では昨年後半から、女性、若者に増加傾向があり、今後が懸念されます。家庭内DVの増加も指摘されています。

地球温暖化対策と「気候非常事態宣言」

さて、コロナ禍だからといって地球温暖化の進行は私たちを待ってくれません。専門家の中では、既に後戻りできない分岐点を超える危機的な状況にあるとの指摘さえあります。
昨年、市議会の皆さんと一緒に打ち出した都内初の「気候非常事態宣言」に基づく具体的なアクションを起こしていかなければなりません。2050年までにCO2の排出量を実質ゼロに。そのためには、ここ10年の取組みが非常に重要であり、果敢に施策を打って出る必要があります。
このような中、昨年、市内に水素ステーションが誕生。本市や地元バス会社などの身近な燃料補給拠点として、脱炭素社会に向けた大きな一歩が踏み出されました。
まずは、私たちにできること、小さなことでも構いません。聖蹟桜ヶ丘駅前広場での近隣の小学校の児童たちによる再生可能エネルギーによるイルミネーションは、地域から市内へ、さらに近隣自治体へと広がりつつあります。マイクロプラスチックによる海洋汚染、生物多様性の喪失などに対して、内外の英知を結集し、特に子どもたちの声や行動を大切に、私たちの手で未来の地球を危機から守りましょう。
また、地球温暖化は、台風、降雨、降雪などによる大きな被害を招いています。30年以内に発生するとされる首都直下地震も何時、東京を襲うか分かりません。まもなく迎える3月11日で、東日本大震災、そして福島第一原子力発電所の事故から10年が経ちます。いまだ、津波、原発の被害や影響から傷が癒えていない多くの市民がいます。
地球温暖化、気候非常事態、大地震など、私たちはコロナ禍だけでなく自然災害への備えにもしっかりと向き合っていかなければなりません。

(2)次の50年に向けて

市制施行50周年、多摩ニュータウン50年

この3月は、特別の感慨を覚える月でもあります。50年前、諏訪・永山団地への第一次入居がスタートしました。多摩ニュータウン誕生の歴史の幕開けでもありました。多摩村から多摩町、多摩市へと、まちは大きく変貌し、鉄道も延伸し、人口は大きく増えていきました。
本年11月、多摩市は市制施行50周年の節目を迎えます。市民の皆さんのさまざまなドラマも市制50年の歩みに凝縮されているのではないでしょうか。こうしたまちのあゆみや市民のドラマを、市制50周年記念誌、動画作品として作成しているところです。そこに加え、この一年、人と人との接触を媒介とする新型コロナウイルス感染症の出現により、くらし、仕事、生き方が大きく変化しようとしています。
多摩市は、これまで都心への通勤・通学可能な郊外都市として発展してきました。一方で最近、少しずつ、くらしやまちの変化を私たちは感じてきました。その動きがコロナ禍により一気に加速し始めたように思います。
都心のオフィスに通勤せず、自宅や自宅周辺でのテレワーク。痛勤とも呼べる通勤からの解放は生活のオン・オフだけでなく、自分が暮らしているまちへの再発見にもつながっているようです。
改めて、多摩市のもつ豊かな居住環境、自然環境、交通アクセスなどのハード面での優位性や、市民活動が活発であること、健幸まちづくりの取組みなどのソフト面での魅力などが再認識されることとなったと感じています。特に、コロナ禍においても、高齢者が主体となって、オンラインの活用、感染症対策をとった健康づくりやウォーキングへの取組みなど、元気な高齢者が生き生きと活躍できるまちであることも確認できたところです。
一方、2025年を目前にして、今後、団塊の世代が後期高齢期に移行していくことによるさらなる高齢化や、依然として出生率が低く推移しており、少子化の進行がさらに懸念されることなど、本市が抱える課題も顕在化してきました。
令和3年度は、多摩市にとって、コロナ禍による大きな社会の変革、市制施行50周年という節目を契機として、大きな転換点になるものと考えています。これを機に、行政の役割、地域のあり方を見直し、難局を乗り越え、持続可能なまちをつくっていく一歩をさらに踏み出す年度にしていきます。

「グリーン社会の実現」「デジタル改革」

国に目を転じれば、菅内閣は施政方針演説で、国民の命と健康を守り抜くとして新型コロナ対策を示すとともに、これからの日本の成長の原動力として「グリーン社会の実現」と「デジタル改革」を掲げました。
「グリーン社会の実現」では、脱炭素社会の実現を目指している点では「気候非常事態宣言」を掲げる本市の方向性とも合致するものと考えています。
「デジタル改革」では、DX(デジタルトランスフォーメーション)を進めるべく、デジタル庁が創設され、東京都も「スマート東京」を旗印に取組みをはじめようとしています。目まぐるしい速さで技術革新が続くなか、コロナ禍において、さらにその重要性が強く認識されるようになりました。本市でも、すでにクラウドサービスの利用、テレワーク環境の整備など、デジタル化に取り組んでおり、国や都の動きを踏まえた今後の展開に向け、この4月から、課の名称を情報システム課から情報政策課に変更することにしました。また、ICT活用の恩恵を市民の利便性としてもたらせるよう、行政手続のオンライン化を推進するなど、確実な一歩を踏み出していきます。
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会は、開催をめぐってさまざまな議論が出ていますが、本来は、「全員が自己ベスト」「多様性と調和」「未来への継承」の3つを基本コンセプトとし、史上最もイノベーティブで、世界にポジティブな改革をもたらす大会とすることを目指しています。「未来への継承」では、成熟国家となった日本が、今度は世界にポジティブな変革を促し、それらをレガシーとして未来へ継承していくことを掲げており、新しい社会への変革へ向けた取組みとも通じています。
いずれにしても、新たな時代に向けた価値の創造を図り、新型コロナウイルス感染症、自然災害、地球温暖化に立ち向かいながら、市民の皆さんとともに、次の50年に向け持続的な成長につなげられる施策を展開していく決意です。

2 令和3年度の予算編成にあたって

新型コロナウイルス感染症は、これまで本市が大切にしてきた、「人が集い・顔を合わせ・ともに活動する」ことを大幅に抑制せざるを得ない状況を生み出しました。このことにより、市政運営のさまざまな事務事業も、当初の予定からの変更や中止、延期を余儀なくされています。また、市民生活をはじめ、経済活動・市民活動などにもさまざまな影響が生じています。
令和3年度予算は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止と早期の収束を目指す取組みを最優先課題に位置付けるとともに、いわゆるコロナ禍の影響で生活が困難となる方々への継続的な支援、フレイル対策等の健康維持、地域経済の下支えなどを、令和2年度の補正予算と一体的かつ連動・継続する形で実施することを念頭に編成を行ってきました。
また、少子化・高齢化の進行や地球温暖化などの待ったなしの課題への対応、自然災害への備え、パルテノン多摩をはじめ、文化・学習・地域コミュニティなど、市民の皆さんと築き上げてきた「人と人のつながり」を将来につなぐための環境整備についても、可能な限り考慮しました。目下の懸案事項であるワクチン接種については、現在、開始に向けた準備を鋭意進めており、接種本体にかかる経費については、厳しさの増す市民生活・市内経済へのさらなる対策も含めて、本定例会中に追加の補正予算として計上します。
市税等の大幅な減少が見込まれる中、人件費や内部事務経費の徹底した見直し、すべての事務事業の精査を行ったうえで、各種基金や国・都補助金等の財源を活用しました。
まだまだ先行きの見通せない厳しい状況下にありますが、市民生活の下支えをしっかり行いながら、情勢変化への機動的かつ切れ目ない対応、コロナ禍の先も見据えた取組みを進めていきます。

3 健幸まちづくりのさらなる推進

市民の誰もが生涯を通じていきいきと暮らし続けることができる健幸都市(スマートウェルネスシティ)の実現のため、これまで、市民、NPO、団体、事業者、大学等と連携してまちぐるみで健幸まちづくりの取組みを推進してきました。市民の皆さん一人ひとりが意識し、行動してきたことが、健康寿命の延伸や、地域活動・ボランティア活動が活発になってきているなどの成果につながっています。
令和3年度は、第五次多摩市総合計画第3期基本計画の折り返しの年度になります。健幸まちづくりの次のステップとして、「地域共生社会」の実現に向け、多摩市版地域包括ケアシステムの構築と「(仮称)地域委員会構想」の取組みを一体的に進めるとともに、各部署において、健幸まちづくりの観点から所管する施策、事業に取り組んでいきます。

(1)超高齢社会への挑戦

本市では、後期高齢者人口が前期高齢者人口を超える時代がやってきました。今後、団塊の世代が順次75歳を迎え、さらに後期高齢者の割合が増えていきます。令和3年度から、第8期多摩市高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画がスタートします。後期高齢期にあっても、元気な高齢者の方が地域で活躍できる場づくりをさらに進めるともに、在宅医療を含めた医療サービスや介護サービスの連携を推進し、住み慣れた地域で最期まで暮らし続けることができる体制づくりを進めていきます。
また、コロナ禍で外出が自粛されている中、フレイル予防の重要性が一段と高まっており、地域介護予防教室や近所de元気アップトレーニングなど、地域の中での介護予防につながる活動が、感染予防対策をきちんと図りながら継続して行えるよう、市として支援していきます。

(2)若者世代・子育て世代が幸せに暮らせるまちの基盤づくり

毎年、全国的に出生数は減少しており、令和2年は、コロナ禍の中で少子化がさらに加速すると言われています。この傾向は、多摩市でも同様です。
今後の少子化、人口減少を見据え、まちの活力を維持するためにも、若者世代や子育て世代の流入と定住促進は重要な課題です。子どもを産み、育てるにあたって、やさしく、あたたかく、魅力的なまちづくりを進めるとともに、これを発信していく必要があります。
保育所や学童クラブの待機児童の解消など、子育て・保育環境の数量的な充実に加え、保育人材の確保など、質の面からの取組みも進め、保護者が安心して子どもを預けられる環境整備を進めます。
教育面からは、学校・家庭・地域が連携・協働して、全ての子どもたちに「生きる力」を育むための環境づくりと教育を推進します。
学校では、コロナ禍でも子どもたちの学びを保障し、継続して学習できるよう、ICT機器を適切に活用した効果的な授業を展開するとともに、ESDを柱とした環境教育や国際理解教育など、本市の特色ある教育内容の実践を通して、子どもたちが健やかに学び、成長できるまちであることを発信していきます。

(3)市民・地域と行政との新たな協働のしくみづくり

高齢化がさらに進行し、少子化による人口減少が今後見込まれる中、持続可能なまちづくりを進めていくためには、前述の2つの重点課題への対応に加え、地域の中で多様な主体による相互の支え合いがこれまで以上に重要となります。
多摩市自治基本条例に基づき進めてきた市民参画・市民協働のまちづくりをさらに発展させ、制度や分野ごとに活動している団体や市民が、地域の中でゆるやかにつながり・支え合う「地域共生社会」の構築を目指し、これまで進めてきた「(仮称)地域委員会構想」の取組みを前に進めていきます。
また、家族や地域が抱える事情が複雑・複合・多様化する中で、制度別・対象者別のこれまでの相談支援体制では、十分に対応できないケースが増加しています。
地域のつながりと専門機関のネットワークを重層的に構築することで、さまざまな困難を抱えた市民が取り残されず、包括的に支援されるしくみである、多摩市版地域包括ケアシステムの構築を庁内や地域の関係機関とともにさらに進めていきます。

4 このほかの重要課題への対応

昨年からのコロナ禍により、人々の働き方が大きく変化し、これまで進まなかったテレワーク、在宅ワークが大手企業などを中心に一般的になりつつあります。
また、行政機関への申請や届出・相談のあり方も、紙の申請や対面によるものから、電子申請やSNSなどの利用へと大きく変わりつつあります。
令和3年度からは、市役所本庁舎をはじめ、市の職員を配置する各業務施設に業務用Wi-Fiによるネットワーク環境を構築することで、執務場所の自由度を高めるととともに、職員の自宅を含むその他の場所からでも安全にシステムを利用できる環境を整備します。
さらに、令和3年度からマイナンバーカードを用いたコンビニ交付を戸籍証明や課税証明にも広げるとともに、保育所等の各種届出もオンラインでできるしくみを導入していきます。
このような環境変化の中で、市役所庁舎に求められる役割、機能も今後変化していくことが想定されます。
令和3年度は、コロナ後の時代を見据えた職員の働き方、窓口機能のあり方を含め、今後の庁舎のあり方について、庁内での検討、外部委員による有識者会議の開催、市民へのアンケート調査などを通じて、庁舎建替えにかかる基本構想の策定に向けて動き出します。
庁内組織に係る内部改革の推進についてです。
職員の大幅な入れ替わりにより、職務経験の浅い職員が増える中においても、時代とともに複雑化・多様化する行政課題に対し、持続性や正確性、柔軟性、スピード感を持ち、確実に対応することができる人財の育成・組織づくりを進めていかなければなりません。
そのため民間企業等との人事交流を含めた研修の拡充や、「リスク発生抑制のしくみ」の検討を進め、職員の知識や組織力の向上を図るとともに、昨年から実施している庁内報の作成や職員提案制度などを通じ、風通しが良く、活気に満ちた職場風土を醸成し、職員全員で多摩市をよりよくしていく機運を高めていきます。
日本医科大学多摩永山病院の移転・建替えにかかる課題です。
日本医科大学多摩永山病院は、昭和52年に多摩市で初めての総合病院として設立され、以来40年以上の長きにわたり、本市の地域医療を支える中核的な医療機関として、市のまちづくりの一翼を担い、三次救急医療機関として、近隣の医療機関では提供することが困難な医療サービスを提供しています。
日本医科大学とは、現在の建物の老朽化や狭隘化、さらには日進月歩の医療技術へ対応するために、令和元年7月に、市が都市再生機構から土地交換により取得する用地での移転・建替えに向けて双方努力する旨の確認書を締結しています。
コロナ禍の長期化により、医療機関を取り巻く環境は厳しさを増してきていますが、引き続き、日本医科大学と協力、連携しながら、移転・建替え事業の実現に向けて、努力してまいります。

第2 目指すまちの姿の実現に向けて

1 子育て・子育ちをみんなで支え、子どもたちの明るい声がひびくまち

「子育て・子育ち」についてです。
令和元年10月から「幼児教育・保育の無償化」が始まり、新たな制度の下、多様な保育サービスが提供されています。保護者の皆さんに、安定的に、また安心してご利用いただくためには、「保育人材と質の確保」がより重要となっています。
本市では、令和2年度から、「子育て支援員研修」の独自実施を始めたところですが、令和3年度は、この研修で子育て支援員の資格を取得した受講者を対象に、「バックアップ研修」を実施し、「みなし保育士」として活躍していただくとともに、研修を通じ、保育人材の確保と質の向上の取組みを加速させます。
市内の認可保育所では、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、令和3年度当初時点の申請者数は減少しましたが、依然として生じる待機児童の解消に向け、永山駅周辺エリアに新たな認可保育所を開所するとともに、多摩センター駅周辺エリアでは、認可保育所の整備や、新たな小規模保育所の設置、さらに認可保育所2園の大規模改修による利用定員の増加により、全体で156人分の保育枠を確保します。
また、令和2年度から医療的ケアが必要な保育園児への対応として、訪問看護師が保育所に赴き、医療行為を行う事業を始めていますが、令和3年度からは、学童クラブにおいても、必要な時間に訪問看護師が赴くことができるようにします。
待機児童数の多い東寺方小学童クラブは、4月から東寺方小第三学童クラブをオープンし、45人分の利用定員の増加を図ります。
コミュニティセンター、複合施設の大規模改修に伴い、落合・連光寺の両児童館の工事期間中の代替施設を確保し、サービスの提供を継続できる環境を整備します。
令和4年3月にプレオープンする予定のパルテノン多摩において、子育て世代の居場所や多世代交流を目的に、子どものエリア事業を開始します。子育てひろば事業のほか、相談や一時保育、イベントの開催などにより、パルテノン多摩の新たな顔として子育て支援の充実を図ります。
児童虐待への対応では、学校の一斉休校や保育所等の登園自粛などにより、見守り機能が低下し、家庭の状況が見えにくい状況となりました。そのため、関係機関がより連携を強め、情報共有と見守り強化を図ることで、必要時介入を行うことができました。令和3年度も引き続き、児童虐待の未然防止と早期発見に努めていきます。
令和2年10月から開始した、子育て世代包括支援センター事業は、妊娠期から支援プランを作成し、母子保健事業と子育て支援施策の一体的なサービス提供につなげるものです。さらに、地域子育て支援拠点に専門職を派遣し、身近な場所での相談機能を充実させました。令和3年度は、連絡会を設置し、事業の評価を行うことで、さらなるサービス向上につなげていきます。
また、令和2年度の補正予算で計上し、新たに始めたファーストバースデーサポート、多胎児家庭支援事業についても継続して実施します。加えて、母子保健事業では、不妊症、不育症についての講演会等を継続して開催してきましたが、今後も、国や都の動きに合わせて最新の正しい知識の普及啓発に努めていきます。
「(仮称)子ども・若者総合支援条例」は、令和4年4月の施行に向け、学識経験者を含めた委員会において検討を重ねています。困難を抱える子ども・若者への切れ目ない支援や、地域の一員としてまちづくりに参画・活躍する環境づくりを、この条例によって後押しできるよう、12月議会への上程を目指し、引き続き検討を進めていきます。
「教育」についてです。
令和元年度から2年度にかけて、小中学校の一斉休校を実施したことが契機となって、国がデジタル教育、GIGAスクール構想の実現に向けた動きを加速化したことにより、令和2年度には、1人1台のタブレット端末の整備、1クラスに1台の大型提示装置の整備、高速・大容量の校内ネットワークなどの環境整備を行いました。令和3年度には、これらのICT環境を効果的に活用し、子どもたちにとってよりわかりやすい授業の実現に向けて、主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善を推進するとともに、子どもたちの情報活用能力の育成を図っていくことで、これからの持続可能な社会を創り・支える人材の育成を進めます。
特に、英語教育では、「日本一英語を話せる児童・生徒の育成」をスローガンに、指導者用のデジタル教科書を活用して、音声や動画でモデルを示すことにより、子どもたちが英語の発音や表現を体感的に理解したり、外国語指導講師いわゆるALTや、オンライン英会話などを活用して、英語を使ってコミュニケーションを図る体験を数多くしたりすることで、「話す力」のさらなる向上を図ります。
安全な学校環境の整備については、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、立ち止まっていた聖ヶ丘中学校と和田中学校の大規模改修を再開します。また、急速な地球温暖化への対応として取り組んでいる、特別教室、中学校体育館への空調機の整備を完了させ、良好な学習環境を整えます。
昨今の地球温暖化による猛暑によって、学校プールの水温が上昇し、暑さで水泳指導が困難となる場面があります。この状況を改善する取組みとして、令和3年度は、市内の公営・民営の屋内プールを活用した通年でのプール指導を試行的に小学校3校で実施し、水泳指導にかかる時数の安定確保、教員と民間事業者の強みを生かしたチームティーチングによる水泳指導の充実を図ります。この取組みを検証しながら、段階的に他の小学校にも広げ、令和6年度からは、小学校全校での実施を目指していく考えです。
これまで、瓜生小学校を拠点校として先行実施してきた学校事務の共同実施については、都と市の事務職員の業務分担の見直しなどにより、学校事務の機能強化に加え、業務改善や教員の事務負担軽減につながったことから、令和2年10月からは本格実施に移行しました。市内の残る3つのグループにおいても、令和3年度からの移行期間を経た後、令和4年4月からは全校で本格実施する予定です。
近年、本市のみならず、全国的にも不登校児童・生徒数は増加傾向にあります。こうした状況の中で、本市においては昨年11月、「不登校総合対策」を策定しました。本総合対策には、児童・生徒の個々の状況に応じた支援策はもとより、令和3年4月から1人1台のタブレット端末環境となることを踏まえ、ICTを活用した学習支援策などを盛り込んでいます。今後、本総合対策の活用を通して、学校のみならず、児童・生徒の成長に関わる全ての人が互いのつながりを深め、学校を核とする地域全体が、児童・生徒にとって「魅力ある育ちの場」となるよう取り組んでいきます。
「市民活動・交流センター」に併設する「多摩ふるさと資料館」の開館に向け、市民の財産である文化財をより身近に感じることができるよう、収蔵する資料が鑑賞しやすい展示施設の整備や備品の購入などを行い、多摩市の未来を担う小中学生をはじめ市民の皆さんに、郷土の学習、多摩市の歴史や文化を学ぶ機会を持ってもらうことで、ふるさと意識の向上、地域の課題解決に役立つ施設にしていきます。
令和5年5月の開館を目指し、多摩中央公園内に整備する中央図書館の建設工事に着手します。「知の地域創造」の実現に向けて、収蔵予定の図書購入を進めるとともに、建設に際して伐採する木々の有効活用を図ります。また、非来館サービスとして令和3年1月に稼働した電子図書館・デジタルアーカイブの拡充も進めていきます。

2 みんなが明るく、安心して、いきいきと暮らしているまち

「健康福祉」についてです。
本市では、高齢者に限らず、子育て家庭、障がい者、ひきこもり、生活困窮者等、何らかの支援を必要とするすべての市民を対象とした多摩市版地域包括ケアシステムの構築を目指し、各相談部門の気づきや連携による取組みを進めてきました。そのしくみをさらに前に進め、制度や属性にとらわれない、何らかの困難を抱える人を包括的に支援する体制を構築すべく、引き続き庁内での検討を進めていきます。
新型コロナウイルス感染症の影響により、生活困窮に陥る市民が今後もさらに増えていくことが予想される中で、しごと・くらしサポートステーションでは、生活困窮に係る相談を受け付ける中で、個別の事情に応じて就労や生活改善につなげており、令和2年度からは、ひきこもりの相談窓口もここに一本化しました。令和3年度からは、相談員を1名増員し、さらなる相談体制の強化を図っていきます。
令和2年度から多摩市社会福祉協議会の権利擁護センターを、成年後見制度における中核機関として位置付けましたが、令和3年度は、相談や啓発の強化、関係機関のネットワーク構築、コロナ禍における成年後見人の支援のための人員を増員し、機能強化を図ります。
コロナ禍の影響もあり全国の自殺者数が増加傾向にある中、令和2年の本市の自殺者数は例年と比較し減少していますが、今後、社会不安の増大に伴う心のケアが一層求められます。このため、命の大切さやこころの健康に関する講座や小中学校の教職員向けの講演会を実施するとともに、民生・児童委員には「地域のゲートキーパー」としての役割も担っていただき、自殺防止に向けて取り組んでいきます。
PCR検査センターは、一定の役割を終えたことから、終了する方向で医師会と調整しています。今後は、発熱症状のある方や濃厚接触者は保健所による検査、濃厚接触者以外は医師による市独自のPCR検査、その他は検査キットによる簡易な検査の3段階の検査体制をとることで、検査手法の多様化を図っていきたいと考えています。
コロナ禍の中で令和2年度に実施できなかった、北部地域包括支援センターの第二拠点の愛宕地区への整備、高齢者見守り相談窓口の併設を行うとともに、新たな認知症対策として「もの忘れ相談事業」を令和3年度から実施し、認知機能の低下への不安に寄り添い、早期対応につなげていきます。
全ての市民が障害の有無によって分け隔てられることなく、一人ひとりの違いを尊重し合いながら安心して暮らすことのできる共生社会を目指し、「多摩市障がい者への差別をなくし共に安心して暮らすことのできるまちづくり条例」を令和2年7月に施行しました。令和3年度は、新たに設置した障がい者差別解消支援地域協議会において、差別を解消するために必要な取組みの検討を進めるとともに、講演会や出前講座の実施、条例の内容を踏まえた「心つなぐ・はんどぶっく」の作成、配布などを通して、広く周知を図っていきます。
重度の知的障がい者を対象としたグループホームの整備を行う社会福祉法人に対する助成を行うとともに、入居者に対しては家賃の一部を助成することで、障がいのある市民の地域における居住の場の確保、親元から離れ、地域で自立した生活を送ることを促進します。
「医療的ケア児(者)連携推進協議会」からの意見をふまえ、在宅での医療的ケアを必要とする重症心身障がい児(者)などに対し、訪問看護師が自宅に出向いて一定時間ケアを代替する「在宅レスパイト事業」を実施することにより、家族の休養を確保します。
健幸まちづくりについては、広く庁内各部署が、この視点に立って、それぞれの所管する事業を通して推進しているところですが、令和3年度は、地域共生社会の実現に向けた「(仮称)地域委員会構想」、多摩市版地域包括ケアシステムの構築に向けた一体的な取組みと併せて、「健幸まちづくり」を地域や市民一人ひとりの取組みとして定着させていきたいと考えています。健幸まちづくりに対する市民の認知度は着実に上がっており、令和元年度には4割近くにもなりましたが、まだまだ途上であるため、さらにすそ野を広げていくためにも、ウィズコロナ・ポストコロナの新しい健幸な働き方を市内企業や団体とつくっていく「健幸!ワーク宣言」や、オンライン開催などの新しい生活様式に対応したシンポジウムも実施していく予定です。

3 みんなで楽しみながら地域づくりを進めるまち

「コミュニティ」についてです。
コミュニティセンターや地域複合施設などの老朽化に伴う大規模改修については、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、令和2年度は見送りましたが、トムハウス、連光寺複合施設については、令和4年9月の開館を目指して改修工事を行います。工事期間中は、運営協議会、児童館の代替施設を確保し、これまでの事業運営の継続を図ります。
令和元年度から、「(仮称)地域委員会構想」の実現に向けた議論を、自治推進委員会の中で始め、令和2年度からは組織を設置して、庁内での議論も始めました。コロナ禍の中で計画通りにはいきませんでしたが、2つのモデルエリアを指定して、エリアミーティングの開催や地域福祉推進委員会への参画など、地域の中の横断的なつながり、新たに地域に参画する人材の掘り起こしにつなげる事業を始めました。令和3年度も、モデルエリアを追加して、試行的な取組みによる実践を積み重ねながら、構想の柱となる、地域の中を「つなぐ」、地域を「支える」、地域の中で「掘り起こす」の具体的な制度設計を進めます。
「文化、スポーツ、生涯学習」についてです。
「市民活動・交流センター」は、「多摩ふるさと資料館」とともに、令和4年4月の開館に向けた準備を進めます。この施設の管理運営をお願いする指定管理者の指定の議案についても、この3月議会に上程しており、開館に先立つ令和3年7月から、利用団体の登録や利用にかかるルールづくり、他の施設や機関とのネットワークづくりなど、市民の主体的な活動の支援や交流の促進につなげるための準備業務を行ってもらう予定です。
パルテノン多摩は、大規模改修工事のほか、オープンに必要な備品購入などを進めていきます。令和3年12月までの間は、パルテノン多摩共同事業体に対して、施設休館中に係る舞台芸術、博物館、市民活動支援などの文化振興事業等の業務を委託していますが、令和3年12月中旬からは、指定管理者として、施設のオープンに向けた準備業務などを行ってもらうことになります。
令和4年3月下旬のプレオープン後は、プレイベント、施設案内ツアーなどを行い、令和4年7月には、全館グランドオープンを予定しています。その際には、開館式典、記念公演、市制50周年の記念イベントなどを開催する予定です。
また、パルテノン多摩のリニューアルオープンを契機に、多摩市における文化芸術の振興について、改めて市民の皆さんと共有し、推進していくために、令和2年度から検討を始めている「(仮称)文化芸術の振興に関する条例」の制定に向けた取組みを進めていきます。
平成25年度から行ってきた子ども被爆地派遣事業は、令和2年度の長崎への派遣は新型コロナウイルス感染症の影響で中止しましたが、令和3年度は広島に派遣し、平和展などの事業も含め、戦争の悲惨さと平和の尊さを次世代に継承できるよう取り組んでいきます。派遣と同時期に開催される平和首長会議の総会には私も出席し、その際に「2021年からの世界恒久平和のための新たなビジョンと行動計画」が策定される予定です。
男女平等に係る施策については、この4月からスタートする予定の「第4次多摩市女と男がともに生きる行動計画」に基づき、一方または双方が性的マイノリティである2人の関係をパートナーとして証明する、いわゆる「パートナーシップ制度」の導入を検討します。
新型コロナウイルス感染症の影響で、室内プールや体育館などの屋内施設の利用が制限されたことから、屋外の体育施設や公園などを使った事業の展開を考えています。令和2年度に開催して好評だったパークヨガなど、多世代にわたって人気があるスポーツイベントなどを、民間事業者としての指定管理者の工夫が活かされるよう、効果的・効率的に開催できるようにします。
1年延期された、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会がいよいよ開催されます。オリンピック聖火リレーは、7月10日のスタート自治体として出発式を開催します。
アイスランド選手団の事前キャンプ、台湾のバドミントンオリンピック代表チームへの練習施設の提供にあたっては、新型コロナウイルス感染症対策に万全を期してお迎えします。
7月24日、25日に開催されるオリンピック自転車競技ロードレース当日は、コース沿道で競技運営を支えるとともに、多摩東公園ではコミュニティライブサイトを開催し、車列通過後も競技中継を観戦でき、オリンピックの祝祭感を感じられる環境を整えます。
新型コロナウイルス感染症が、大会運営や多摩市の取組みに、今後どのような影響を及ぼしていくか予測が難しいところですが、市民、選手の安全を第一に、感染症対策を十分に図りながら、関係する皆さんと協力して、この世界的なイベントを通じてレガシーを残していきたいと考えています。

4 働き、学び、遊び、みんなが活気と魅力を感じるまち

「産業振興」についてです。
新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けている市内事業者に向け、令和2年度は、飲食店応援事業の他、感染予防対策促進事業、キャッシュレス決済ポイント還元事業など、国の交付金や都の補助金を活用するなど、独自の経済対策を行ってきました。
令和3年度は、コロナ禍を契機にして、特に都心の郊外に位置する多摩地域でニーズが高まっているサテライトオフィスの設置を後押しし、職住近接のまちづくりをさらに進めていくために、市内にサテライトオフィスを設置する事業者に対して、整備や改修にかかる費用の一部を補助する事業を行います。補助する事業者と協定を結び、ニーズ把握のためのモデル事業を協働して実施することで、都心への通勤と自宅近くでのテレワークの両立という働き方ができる地域として、本市をアピールしていくことにつなげていきたいと考えています。
事業者グループ連携支援補助金は、令和2年度から継続して令和3年度も行う予定です。この事業は、市内の中小事業者等、3者以上が連携、補完し合いながら、地域の活性化や相乗効果を生み出す事業に対して補助するものであり、令和2年度には、広告代理業と飲食業という異業種同士が提携して、デリバリー事業を開始し、販路拡大の足掛かりとして活用された実績があり、その他にも、業態転換などに取り組む事業者からの相談も多く寄せられています。令和3年度も、令和2年度に開始した事業への補助を継続するとともに、新規事業も募集し、事業者同士が連携した新たな取組みを支援していきます。
観光の分野では、コロナ禍でインバウンドや国内旅行の需要が大きく低減している中で、ニーズが高まっているマイクロツーリズムに注目し、都心部から本市を含む多摩地域への人の移動を促進し、経済効果を生み出すことを目的に、官・民・学での連携により、マイクロツーリズムコンテストを開催し、応募のあったアイデアを観光ツールへと結びつけていきたいと考えています。
多摩センター駅周辺地区の活性化推進では、改修後の多摩中央公園の管理運営と、パルテノン多摩や中央図書館など公園内施設が一体となったマネジメントの手法として、キャンパス・マネジメント・アソシエーション(CMA)を導入していく予定です。令和3年12月の組織設立に向け、令和2年度に引き続き、準備会において、多摩中央公園、公園内施設が連携し、まちのにぎわいを創出していくしくみの構築に向けて検討していきます。
また、聖蹟桜ヶ丘駅周辺地区の活性化推進では、駅北側エリアの土地区画整理事業による基盤整備と民間開発事業を契機として、駅近接にある河川空間を有効資源として活用する「かわまちづくり」に取り組んでいるところです。昨年12月にはコロナ禍におけるイベント開催の実験も兼ね、野外映画祭を行いましたが、こうした社会実験を重ねるなど、街のにぎわいや魅力、回遊性の向上に向け、市民や市民団体、民間事業者との協働を進めます。
都市農業の振興では、「多摩市都市農業振興プラン」の実現に向け、都市農地を保全する取組みとして、宅地等を農地に転換する際に必要な整備費の一部を支援し、新たな農地の創出を図っていきます。また、引き続き、農業後継者セミナーを開催するなど、プランに掲げた重点施策の取組みを着実に進めます。

5 いつまでもみんなが住み続けられる安全で快適なまち

「防災・防犯」についてです。
これまで、5月に水防訓練、9月または10月に総合防災訓練を開催してきましたが、コロナ禍での避難所の運営のあり方を、一昨年の台風19号での教訓をふまえて見直す必要があることから、令和3年度は、地震発生を想定している総合防災訓練に、水害による避難想定という要素を取り入れた形で開催し、効率的な訓練の運営についても検証していきます。
「都市整備」についてです。
多摩ニュータウンの再生については、東京都による諏訪・永山地区、愛宕地区、中沢地区での都営住宅の建替え、南多摩尾根幹線道路の4車線化等の工事が着実に進行している一方で、これと歩調を合わせて実施している住宅市街地総合整備事業などは、コロナ禍での影響を受け、優先順位をつけながら、予定を後ろ倒ししている状況です。
諏訪・永山地区では、設計を実施している歩行者専用道路や公園などの改修についても工事時期を延期せざるを得ない中で、令和3年度は、諏訪北公園の実施設計を行い、令和4年度以降に、延期した歩行者専用道路や公園と併せて工事に入る予定です。
次期のまちづくり計画策定を予定している、愛宕・貝取・豊ヶ丘地区では、令和4年度末の計画策定に向け、令和3年度は、計画策定に必要な情報収集、住民意向アンケートの実施、当該エリアでのリーディングプロジェクト案の抽出などの準備作業を進めます。
尾根幹線沿道土地利用方針の策定に向け、令和3年度も引き続き、関係機関との協議を進め、具体的な検討に入ります。
親世帯と同居・近居のために市内に転入する子育て世代に対し、住宅の取得にかかる費用等の一部を補助する事業については、対象となる若年層へのさらなる周知を図りながら、令和3年度も実施します。
中和田通り、和田中通りなどの道路拡幅整備、南多摩尾根幹線道路の4車線化等の工事に伴い、これにかかる橋梁などを中心に、橋梁長寿命化修繕計画に基づく橋梁等の更新を計画的に行います。
中央図書館の開館に向けて、隣接する自転車歩行者専用道路である通称「レンガ坂」について、歩道幅員の拡幅、自転車道との分離、街路樹の更新、舗装の打換えや街路灯の更新など、多摩センター地区の周辺施設・公園の一体整備に合わせた全面改良工事に着手します。
下水道事業では、老朽化した施設の維持・更新や多摩川右岸堤防道路雨水管整備工事については、引き続き計画的に実施しますが、公費で賄うこととされている雨水関連経費に係る諸事業については、令和3年度は先送りすることで、一般会計からの繰出金の削減を図ることとします。

6 人・自然・地球 みんなで環境を大切にするまち

「環境」についてです。
令和2年6月に、市と市議会で「気候非常事態宣言」を行いました。都内で初となったこの宣言では、2050年までに二酸化炭素排出実質ゼロを目指すこと、使い捨てプラスチックの削減を推進すること、生物多様性の大切さを共有すること、この3つを目標に掲げました。
令和3年度は、多くの市民の皆さんのハートに火をつけるきっかけとして、「わたしの取組み エコアクション宣言」を表明してもらい、この問題を自分事として捉え、行動に移してもらいたいと考えています。
みどりと環境基本計画の改定時期は先送りしましたが、議会、環境に関わる市民団体、民間事業者や大学とも連携しながら、「気候非常事態宣言」の3つの目標ごとに、市民の皆さんが参加しやすい、具体的な活動につなげ易い事業を、計画改定に先立って始めていきます。
地球温暖化対策では、市民、事業者、専門家など、さまざまな視点から地球温暖化問題を考えるYouTubeによるトークリレーを行います。使い捨てプラスチック対策では、プラスチック削減方針の策定、市民と一緒に川ごみ清掃のモデル事業を行います。生物多様性の保全では、市内の動植物の変化から気候の変化を知る「多摩市生きもの気象台」や連光寺・若葉台里山保全地域の活用をはじめ、みどりと水の保全を地域が主体となって考える取組みをモデル事業として行う予定です。こうした取組みをきっかけにして、日頃から環境問題を意識したライフスタイルへの変革を促していきます。
この他、地球温暖化対策として、市役所が率先して脱炭素・省エネルギー対策を進めていくために、公共施設等で使用する電力を、順次再生可能エネルギー由来電力に切り替えることで、電力のCO2ゼロを目指します。また、市庁舎のエコチューニング事業等にも引き続き取り組みます。
多摩中央公園の改修では、Park-PFI制度の導入に向けた取組みを進めます。民間事業者から公園整備計画の提案を募集し、プロポーザル審査で優先事業者を決定した後、Park-PFIの計画認定、実施協定の締結を行いながら、指定管理者の指定も同時に行っていく予定です。併せて、グリーンライブセンターについても、同一事業者による改修工事を行うことで、工事の効率化、経費削減に取り組んでいきます。
連光寺・若葉台里山保全地域の拡張に向けては、都市計画事業認可を受けるための準備を進め、用地取得を行います。また、課題整理を進めながら、当該エリアの活用方針の策定に向け、外部委員を含む検討会を立ち上げ、市民にとって利用しやすく、持続可能なスキームの構築を目指します。
大栗橋公園は、令和3年度に用地取得を行い、今後の公園のあり方を地域の皆さんと一緒に考えながら、整備計画を策定していく予定です。
この2か所の用地は、これまで長く生産緑地として個人の方の営農により、自然環境が保たれてきた場所です。新たな形での維持・活用に向け、対話と工夫を重ねながら、より良い環境を継承していきます。
最後に、資源化センターの古紙プラント設備については、令和3年度に選別コンベアと供給コンベアを分ける改修を行うことによって、工程の円滑化、古紙の分別向上を図っていきます。

第3 むすびに

新型コロナウイルス感染症を経験した世界は、この後の歩みを大きく変えていくと思っています。併せて、地球温暖化に対しては、国境を越えた喫緊の対策も求められています。

人類は、かつてないスピードでワクチン開発を進め、世界各地でワクチン接種が開始されています。国内でも医療従事者を皮切りとした大枠の接種スケジュールが示されてきました。
接種そのものはお一人お一人の判断に委ねられますが、政府に対しては、ワクチン接種の安全性に関する国民への分かりやすい説明、自治体へのワクチン供給量の早期明示、そして、現場である市町村に財政負担の心配をかけることなく、ワクチン接種事業が実施できるよう改めて要望申し上げます。
私は、新型コロナウイルス感染症にり患された方、不安に感じている方、そして医療従事者、高齢・障がい者施設をはじめ各種生活インフラなど、日々のくらしを支えていただいている全ての皆さんと力を合わせ、この難局を乗り越えていく決意です。
市民の皆さん。必ず春は来る。そのことを信じて、ともに頑張りましょう。そのためにも、美味しく食べる、体を動かす、笑顔を大切に、免疫力を高める行動を心がけましょう。そのうえで、必要な場所でのマスク着用、手指消毒を心がけ、飛沫を飛ばしての会話・会食は慎みましょう。
常にご自身が無症状感染者かもしれないという気持ちを忘れずに。よろしくお願いいたします。

市制施行50周年を迎える本市が、次の50年に向け、都心へ通勤することが主体であったまちから、自宅や自宅の周辺でのテレワークも可能となり、暮らすこと、働くことに適した、職と住が身近であるまちに進化し、そして、市民がこのまちで暮らしていることに誇りがもてる、そのようなまちづくりを進めていきます。

本年1月22日、核兵器禁止条約がベトナムや南アフリカなど50の国や地域での批准を受け発効しました。私は、非核平和都市宣言を行った自治体の長として、核兵器の使用は非人道的であり、開発、製造、保持、使用を禁じるという核兵器禁止条約を唯一の戦争被爆国である日本国政府として批准していたただきたいと心から願っています。

結びに、改めてコロナ禍だからこそ、また先行きが不透明な時代だからこそ、SDGsに掲げる17の目標の達成を目指し「誰一人取り残さない社会」の実現に向けて全力を尽くすことを宣言し、施政方針演説といたします。

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