令和5年度 市長コラム「多摩の風」

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ページ番号1011525  更新日 2024年3月25日

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市長コラム 多摩の風 第120回 地震は、ある日突然…。

「想定外は許されない」とはいえ、正月に地震が発災するとは。故郷に帰省し、一家だんらんのその時、能登半島は激震に見舞われました。

正月は、自治体にとっても対応が一番脆弱な時です。自然災害はいつ発生するか分からない、そのことを改めて認識させられました。また、地震の全容が明らかになるにつれ、多くのことが分かってきました。

半島の日本海側の海岸線では、1分間で4mを超える大規模な隆起に見舞われ、85キロメートルにわたって港や海だったところが陸地に変貌という、想像を絶する事態が起きていました。

住宅の耐震化、断水によるトイレや飲料水の確保、交通遮断地域への救援など、課題もみえてきました。

1月24日に、大雪が降る中、市職員が水や食料など救援物資を能登町に搬送しました。現地では被災者は勿論、町の職員も被災者であり、私たちにできる支援を息長く続けていかなければと痛切に感じたところです。

さて、桜ヶ丘商店会連合会は 毎年、「せいせき桜まつり」で福島県浪江町など東日本大震災の被災地支援に取り組んできましたが、3月20日㈷、関戸公民館ヴィータホールで東日本大震災、そして能登半島地震復興支援のトーク&ふれあいコンサートを開催するそうです。

関東大震災から、今年で101年。首都直下型地震など、イザという時に備え、避難路・備蓄品など確認しておきましょう。

(多摩市長 阿部裕行)

市長コラム 多摩の風 第119回 すべてのドライバーの皆さんへ

「愛するふたりの命を無駄にしない」2019年4月19日に発生した池袋暴走事故の被害者ご遺族である松永拓也さんの言葉です。先月、多摩市が東京都と共催で「犯罪被害者週間行事」として松永さんを招き、講演会を開催しました。

愛する松永真菜さん(享年31歳)とお嬢さんの莉子さん(享年3歳)との日常。特に、真菜さんとの出会いから事故当日、そして現在に至るまで話をしていただきました。

真菜さんとは、親族の集まりで沖縄に行った時、従兄弟が紹介してくれ、ご自身が一目ぼれしたこと。さらには遠距離恋愛となっても、なかなかOKを頂けなかったこと。子どもを授かった時の喜び。立ち合い出産した時に分娩室で「かわいい」と涙を流した時のこと。

さらに、父の日の帰宅直後、莉子さんから手作りのケーキをプレゼントされる、という真菜さん撮影の動画も見せていただきました。

事故当日も玄関で、3人抱き合いながら「いってきます」「いってらっしゃい」と言い合い、仕事に向かわれたそうです。「3人でのこの人生が、ずっとずっと続いていくものだと思っていました」と。

交通事故は、突然私たちを襲い、幸せな日々を奪い、悲しみのどん底に。アクセルとブレーキの踏み違い、飲酒・わき見運転などで車は凶器に激変します。

松永さんは必死にご自身の体験を訴えます。このようなことが二度と起こらないようにと。

(多摩市長 阿部裕行)

市長コラム 多摩の風 第118回 戦争は最大の人権侵害です

いつの時代でも和平交渉は命がけです。特に中東のアラブ諸国とイスラエルとは数千年にも及ぶ激しく厳しい戦い、そして和平への模索を続けてきました。

ちょうど30年前、イスラエルのラビン首相とパレスチナのPLOアラファト議長はパレスチナ暫定自治協定を締結し、オスロ合意が成立。1994年にノーベル平和賞を受賞するという歴史的快挙を成し遂げました。

しかし、ラビン首相は1995年、このオスロ合意を面白く思わない過激なユダヤの青年により暗殺されます。和平プロセスは暗礁に乗り上げ、現代に。

当時、ラビン首相はパレスチナへの強硬姿勢をとるタカ派でしたが、ハト派への劇的な変身に私も驚愕したことを覚えています。

その後を継いだのが、現在のネタニヤフ首相です。三度、首相に就任し、パレスチナ人が住むパレスチナ自治区ヨルダン川西岸への入植地拡大を進めるなど国際法を無視したタカ派政策を強化し、追い込まれたハマスが残虐なテロ行為に及んだともいえます。とはいえ、武力による激しい暴力は許されません。

さて、12月10日は「世界人権宣言」の日です。二度にわたる世界大戦の反省から、この宣言は生まれました。

テロや軍事的制圧は、憎悪の連鎖しか生みません。戦争は最大の人権侵害です。「世界人権宣言」の言葉を噛み締め、為政者は人々の命と尊厳を守り、未来を担う子どもたちを守ってほしい。即時停戦を心から願います。

(多摩市長 阿部裕行)

市長コラム 多摩の風 第117回 次は38年ぶりの「アレ」!?

「阪神18年ぶりV」虎党にとって歓喜の「アレ」正夢に。

この夏、多摩の子どもたちも頑張りました。FC多摩ジュニアユースは、北海道で開催された「第38回日本クラブユースサッカー選手権(U−15)大会」で見事、日本チャンピオンに輝きました。優勝候補のヴィッセル神戸はじめ並いるクラブチームをなぎ倒しての勝利です。本当におめでとう!!

さて、私の中で、阪神と言えば、昭和60年4月17日の対巨人戦の試合です。バース・掛布・岡田によるバックスクリーン3連発は忘れられません。

ですが、その年の夏、阪神タイガースの中埜肇球団社長は、御巣鷹山に墜落した「日本航空123便」に搭乗していました。

吉田義男監督は「動揺するのは分かる。しかし、こういう日だからこそ、何が何でも勝とう」と選手に檄を飛ばしましたが、社長を失った阪神ナインの衝撃は大きく6連敗。当時、選手会長だった28歳の岡田彰布は、全選手による緊急ミーティングを開き、選手たちの猛虎魂に火をつけました。

あの年、ランディ・バースは三冠王に輝き、MVPに。岡田はシーズン35本塁打。そして四番の掛布雅之が阪神を日本一に牽引。

あれから38年。バスケットボール日本男子はパリ2024オリンピックへの出場権獲得、ラグビー日本代表は予選突破目指し、ワールドカップで奮闘、東京ヴェルディもJ1昇格を目指し激闘、ともかく一戦でも勝ち抜いてほしい。日本シリーズも「アレ」!?

(多摩市長 阿部裕行)

市長コラム 多摩の風 第116回 戦後78年目の夏

終戦から78年目の夏が過ぎました。壮絶な戦火を潜り抜けてきた方々のお話しを直に聞く機会もめっきり減ってきました。

私の父は、17年前に79歳で亡くなりましたが、一度、戦争の話をきいたことがあります。 父は学生時代に、現在放映されているNHKの連続テレビ小説「らんまん」のモデルとなった牧野富太郎博士の薫陶を受け、牧野門下の道を進みました。

私は子どもの頃、父が採集した植物の標本作りを手伝ったりしていました。新聞紙に水分を吸わせ植物を乾燥させるのですが、その新聞紙を用意し、交換するのが私の仕事。そのうち、私は四コマ漫画や新聞記事の方に目がいってしまって(笑)。

その父は、戦時中に、現在の武蔵野市にあった中島飛行機武蔵製作所に学徒動員として派遣され、「零戦」「隼」など戦闘機のエンジン製作現場で働くことに。

同工場は、昭和19(1944)年11月24日、東日本地域では初のB29爆撃機の空襲を受け、その後9回もの爆撃により、工場や街全体が破壊されました。

激しい空襲の中、艦載機の機銃掃射を受け、傍らにいた友人を亡くしたそうです。

この夏、JR線武蔵境駅近くにある「武蔵野ふるさと歴史館」の資料展「戦争と武蔵野」で、昭和20(1945)年2月17日の5回目の空襲は、航空母艦の艦載機によるものであり、大変な被害だったことを知りました。

もう話をきくことはできませんが、押し黙り、遠くを見る父の顔を今でも思い出します。

(多摩市長 阿部裕行)

市長コラム 多摩の風 第115回「こどもまんなか」多摩市から

「えっ!」と驚くニュースが多いと思いませんか。特に幼児虐待はじめ子どもに関わる悲しい事件の数々には「なぜ?」そして発する言葉が続きません。

子どもは大人たちが思っている以上に感受性豊かです。そのことを改めて気付かされたのは、2022年に上映された「こどもかいぎ」というドキュメンタリー映画です。保育園に通う子どもたちが「こどもかいぎをはじめます」と、テーマを自分たちで決めたり、その日のノリで会議を行ったりしています。

「どうして生まれてきたんだろう」「ケンカしないようにするにはどうすればいいの」「宇宙って誰が作ったの?」「鼻くそって、きなこ味がするんだよ」など中には笑ってしまうような話題も。ナレーションはコピーライターの糸井重里さん。

この映画を製作したのは多摩市で生まれ育った映画監督の豪田トモさん。2010年には「うまれる」という、妊娠・出産・育児をテーマに、命の尊さ・人とのつながりを考える映画を制作しています。この映画のナレーションは、イクメン俳優のつるの剛士さん。

豪田トモさんは、本年4月に子ども家庭庁が発足した時、「こどもまんなかにGO!GO!の会」を開催し、どう盛り上げていくか、熱い「おとなかいぎ」を開いたとご自身のブログで紹介しています。

今号の表紙は市内の幼稚園・保育園、児童館に通う子どもたちの笑顔です。「こどもまんなか」。より熱く進めていきます。

(多摩市長 阿部裕行)

市長コラム 多摩の風 第114回「旧統一教会」にモノ申す

「私はあなたの意見には反対だ。だが、あなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」と言ったのは、フランスの哲学者ヴォルテールです。

この言葉は、民主主義、そして言論の自由の大原則としてよく知られている名言です。しかし、この言葉は、相互にその考え・思想・哲学に敬意を払うからこそ発せられると思います。

私たちのまちで発生した旧統一教会(世界平和統一家庭連合)による土地取得問題について、一言、申し上げます。

今、国は、6回に及ぶ質問権を行使しています。この質問権は、あなた方が起こしてきた組織的な不法行為や使用者責任と多額の損害賠償を認めた多くの判決が、宗教法人法の定める「解散命令」事由に該当する疑いがあるとの観点から国が重大な決意で行使しているものです。

令和4年12月には、霊感商法や高額寄付など悪質な寄付勧誘の未然防止などを目的とした「被害者救済法」も異例のスピードで成立しました。

国が、宗教法人法に基づく質問権行使を重ねている中で、あなた方の拠点になると思われる施設の工事などが進められるとすれば、地元行政として、また近隣に市民の財産である公有地を預かる者としても容認するわけにはいきません。

「自由」を声高に主張する時、誰かの権利が軽んじられることはあってはなりません。「命をかけて」守る主張なのか。あなた方の言動が国内外の耳目を集めています。

(多摩市長 阿部裕行)

市長コラム 多摩の風 第113回「銀河鉄道」の旅への誘い

どこからともなく「銀河ステーション、銀河ステーション」という声が。私が小学6年生の頃、図書館で借りた宮澤賢治の小説「銀河鉄道の夜」で記憶に残っているシーンです。

その後、何回も何度もこの小説を読み返しました。その度に見える景色は変わってきました。ますむらひろしさんによる漫画版の「銀河鉄道の夜」も読みました。ますむらさんは猫をキャラクターに賢治の世界を描いています。びっくりしました。

銀河を旅することになったジョバンニとカムパネルラは、黒曜石でできた銀河の地図を見ながら、鳥捕りなど奇妙な人物たちと出会いますが、この不思議な世界への感想は人それぞれかなと思います。

さて、いよいよ、7月1日(土曜日)多摩市立中央図書館が多摩中央公園内にオープンします。

かつて多摩市にお住まいになり「マッハの恐怖」「ガン回廊の朝」など数々の受賞に輝くノンフィクション作家の柳田邦男さんに基本構想の委員長をお願いし、「知の地域創造」としての考えをおまとめいただきました。

私も、子どもの頃、図書館と書店で過ごした時間の多さを実感します。牧野富太郎の「原色牧野日本植物図鑑」は家の書棚にありましたが、図鑑・年鑑・辞書・百科事典など時間を忘れ、図書館で読みふけっていたことを想い出します。

あなたも「銀河鉄道」のように、中央図書館で空に輝く星を探す旅に出てみませんか。ご来館をお待ちしています。

(多摩市長 阿部裕行)

多摩の風112 蘇った黒澤明監督の「生きる」

黒澤明監督の不朽の名作「生きる」のリメイク版がノーベル文学賞作家カズオ・イシグロの脚本により、第二次世界大戦後の英国を舞台に蘇りました。

どのように描かれたのか、無類の映画好きの私としては、矢も楯もたまらず、映画館へ。

1952年に映画化された黒澤監督の「生きる」は、志村喬演じる市役所の市民課長が主人公。30年無欠勤でとにかく真面目だけが取りえの公務員。

机上は稟議と書類の山。黙々とはんこを押すだけの日々。各課のたらいまわしも日常茶飯事。まさにお役所仕事。ところが、ある日、病院で病魔に蝕まれ死期が近いことを知る…。

カズオ・イシグロはノーベル賞受賞講演で大の映画好きを告白していました。また、子どもの頃、英国のテレビで「生きる」を観て大きな衝撃を受け、ご自身の成長に影響を及ぼしたとの話を、今回知りました。

リメイク版で、英国紳士然としている俳優のビル・ナイは、ロンドン市役所の市民課長を実直にコミカルに演じています。余命を知り、生の呪縛から解き放たれ、最期の人生を自分の力で切り開こうと動き出します。

全編違和感なく引き込まれるように視聴しました。第95回アカデミー賞で主演男優賞にノミネートされたビル・ナイと、脚色賞にノミネートされたカズオ・イシグロによって、見事に黒澤映画の世界が描写されています。私も、小さい大きいではなく先送りせず、魂のこもった仕事をしたい、そう思いました。

(多摩市長 阿部裕行)

多摩の風111 人生の節目でのサポート

4月は、進学・進級・就職など新たな門出を祝う春です。また、お引っ越しいただいた皆さん、ようこそ、多摩市へ。

本市は、市制施行50周年を記念し、令和3年11月以降に出生届・婚姻届を出された方に、日本アニメーション株式会社が手がけた「世界名作劇場」に登場するキャラクターがデザインされた記念証と証書ファイルを差し上げています。

同社は「ちびまる子ちゃん」でも知られていますが、本社スタジオが多摩市にあるご縁でこの取り組みは始まりました。

婚姻届は、市役所にお越しいただければ提出は可能です。ぜひ、本市で婚姻届を出していただき、末永くお付き合いいただけると幸いです。

また、本年1月には「おくやみハンドブック」を発行しました。

お身内の方の負担を少しでも減らしたいとの想いから作成したもので、市役所での手続きを少しでも分かりやすく進めていただけるよう、持参いただくものなどを記載しています。

とはいえ、ご不安な方も多いと思います。市は、生を受けてから人生を終えるまで、人生の節目、節目でしっかりと寄り添い、サポートさせていただきます。

多摩市に長くお住まいの方、新たにお引っ越しされてきた方、一期一会を大切に、今後ともよろしくお願いいたします。

なお、4月23日(日曜日)には多摩市議会議員選挙も行われます。有権者の皆さん、貴重な一票をお忘れなく。

(多摩市長 阿部裕行)

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