令和8年度施政方針(令和8年2月阿部市長)
(注)本文書は筆記録ではございませんので、当日、市長が述べた文言と若干の相違点があります。
令和8(2026)年度に臨むにあたり、市政運営にかかる所信と基本方針を申し述べ、主権者である市民の皆さんと市議会の皆さんのご理解とご協力を賜りたいと存じます。
1 はじめに
(1)大激動の世界秩序と日本の立ち位置
いま、世界の秩序は大きく揺れています。最近、欧米では「World(ワールド)Minus(マイナス) One(ワン)」という現在の国際社会の混迷を象徴するワードが語られています。いうまでもなく「米国なき世界」です。トランプ大統領は、「自国ファースト」、さらに「ドンロー主義」という造語を自ら喧伝。南北アメリカと西半球はトランプ政権の支配下にあるかのごとき近代国家観で、帝国主義的専制君主のような発言と振る舞いです。
世界秩序はロシア、中国、イスラエルなど多極化。いずれの政権も主権国家や民族自決を蔑ろにし、石油やレアアースといった資源争奪など、19世紀に逆戻りの光景に、ただ驚愕するしかありません。
さらにトランプ政権は、国際気候変動枠組条約や国際貿易開発会議など、66もの国際諸機関からの脱退を指示し、人権、平和、福祉などヒューマニズムや多国間主義に基づく国際協調を基盤とする近代社会の枠組みから、帝国主義的覇権国家へと国際社会の価値観を大きく塗り替えようとしています。
特に「地球沸騰化」について、トランプ政権は、激化する気候変動を直視せず、「フェイク」との姿勢を崩していません。「資源小国」の日本として、格差・分断のない市場経済と国際協調を維持する立場から、気候変動をはじめ「米国なき世界」での多国間協力、そして平和外交を基軸にしたリーダーシップを明確にすべきと考えます。
(2)「地球沸騰化」は気候危機と命の危機に
ティッピングポイントを既に超えたのではないかとの専門家の声も聞くほど、世界では気候危機による大洪水、大規模な山火事などが多発し、国内でも相次ぐ大規模な火災や竜巻、さらには農業、漁業での高温被害など、かつてない事態に直面しています。
市では令和6(2024)年度に国の脱炭素に向けた「重点対策加速化事業」に都内の自治体として初めて選定され、市民・事業者の脱炭素化への取組を強化してきました。新たに設置された太陽光発電の設備容量は、令和7(2025)年度だけで1メガワットを超えるなど、まち全体での太陽光発電が進んでいます。また、清掃工場の余剰電力の活用などで、市が直接管理運営を行う公共施設についても、CO2実質排出ゼロ電力への切り替えを達成しました。
一方、地球沸騰とも言える酷暑への対応として、厳しい財政状況の中でも、小学校体育館や総合体育館第1スポーツホールへの空調設置の道筋をつけてきました。国際的には気候変動対策への足並みが揃わない厳しい状況もありますが、多摩市では、市民・事業者・行政が一体となって、取組を推進していきます。
(3)日本医科大学多摩永山病院の建替え協議のリスタート
市民の皆さんにご心配をおかけしていました、南多摩保健医療圏の要となっている三次救急病院の存続を目指し、これまで広域医療の観点から東京都に度重ねての要請活動を行ってきました。そうした中、令和6(2024)年12月には南多摩保健医療圏の五市による都知事への支援要望、あわせて多摩市議会や南多摩五市医師会からも病院建替えの支援に関する要望書の提出がなされたことは感謝の念に堪えません。
さる1月21日、東京都に間に入っていただき、学校法人日本医科大学理事長と私との間で、多摩永山病院の建替えに向けた協議を再スタートするためのテーブルに着けたことは、関係者の皆さんのたゆまぬ努力の結晶と感じています。特に東京都の小池百合子都知事をはじめ、関係者のご理解とご協力について深く感謝申し上げます。
日本医科大学多摩永山病院は、高度急性期病院として緊急な状況に対応する救命救急センターや集中治療室を備え、心疾患や脳血管疾患に対するカテーテル治療、緊急脳外科手術に対応しており、多くの市民の命を救ってきました。
また、東京都の災害時における医療・救護活動の拠点となる災害拠点病院であり、東京都がん診療連携拠点病院等、地域医療の中核的な存在でもあります。三次救急という救命救急を担う医療機関については、引き続き東京都の支援をいただきながら、建替えに向けた協議を丁寧に進めてまいります。
この建替えの機運は、現在進めている諏訪・永山まちづくりの起爆剤ともなり、永山駅周辺のまちづくりの夢も広がります。市民の皆さんが将来にわたり、安心して暮らし続けられる医療提供体制の確保に向けて引き続き邁進してまいります。
2 これまでの市政運営を振り返って
(1)「協創サポーター」で協創の実現へ
自治会、青少協、PTAなど、地域や学校を基盤とするコミュニティ組織は、これまで何とか維持・機能してきましたが、高齢化の進行、価値観の多様化、就業スタイルの変化などにより、持続可能な組織運営は危機に瀕しています。
このような中、令和6(2024)年8月、本市の定める最高規範である「自治基本条例」を改正し、目指すべきまちの姿として「協創」を掲げ、「協創」を実現するための環境整備、しくみ・しかけづくりに市として取り組むことを盛り込みました。私の公約として(仮称)地域委員会の設置、地域担当職員の配置といった「市民・地域と行政との新たな協働のしくみづくり」について自治推進委員会に諮問し、委員会での議論と、各エリアでの実践・仮説検証を丁寧に行い、実際に地域でのワークショップや庁内での議論を繰り返す中で、自治推進委員会での発意により、「協創」という考えにたどり着いたものです。
令和6(2024)年度には、協創推進室の新設に伴い、「協創職員制度」を導入し、協創スタッフのほか、若手職員や中途採用職員の能力育成の研修も兼ね協創サポーター研修制度に取り組んできました。地域イベントなどへの支援活動は、コミュニティセンター運営協議会をはじめとする多くの地域の皆さんからも評価いただいています。
また、本年1月には、第九期自治推進委員会から「多摩市らしさを活かした地域の多主体との連携、協力体制構築について」と題する中間答申を受けました。貝取・豊ヶ丘エリアをモデルに、「多活動マッチング型プラットフォーム」と「協議会型プラットフォーム」の試行を進め、「協創」の実現、そして市民主権のまちづくりに向けて、引き続き取り組んでいきます。
(2)市民とともに進める健幸まちづくり
健幸まちづくりの取組では、令和4(2022)年10月に、介護予防リーダーがけん引する本市の「地域介護予防教室」の取組が、厚生労働省の「私のまちの『通いの場』自慢コンテスト」優秀賞を受賞するなど、うれしいニュースもありました。本市では、今後も後期高齢者人口の増加傾向が続くことが見込まれますが、65歳以上健康寿命は、都内トップクラスを維持しており、要支援1では、令和5(2023)年に男女ともに都内1位となるなど、市民の皆さんの頑張りには頭が下がります。
議会の決算評価を受けて、令和6(2024)年度にモデル事業を実施し、令和7(2025)年10月にリリースしたアプリを活用した健幸ポイント事業「TAMAるんるん」は順調に登録を伸ばしています。ウォーキング、身体を動かすこと、生活習慣病からの脱却など引き続き、頑張る市民の皆さんをしっかりと支えて、ともに健幸まちづくりを進めます。
(3)子育て世代に選ばれるまちへ
魅力あるまちづくりに向けては、コロナ禍でも、未来への投資として蒔いてきた種が、着実に花開いたと考えています。
多摩センター駅周辺では、こどもひろばOLIVEの開設にはじまり、パルテノン多摩のグランドオープン、中央図書館の開館、パークPFIによる多摩中央公園の整備、グリーンライブセンターのみどりと環境の拠点へのリニューアルにより、賑わいを見せています。聖蹟桜ヶ丘駅周辺では、「聖蹟桜ヶ丘かわまちづくり」の取組が本格化し、令和6(2024)年度には「かわまち大賞」として国土交通大臣表彰を受けました。このエリアは人口も増加し、地域の理解も得ながら長く取り組んできた聖蹟桜ヶ丘北地区の面整備事業が結実したものと考えています。永山駅周辺では、諏訪4丁目の都営住宅の一部や、諏訪2丁目のUR賃貸住宅先行区で建替え後の入居が始まり、永山団地では旧東永山小学校跡地での建設工事が進められています。
令和6(2024)年度に実施した空き家等実態調査では、特に集合住宅の空き家が顕著に減少しており、別の統計では20~30代の子育て層の転入も増加しています。令和7(2025)年末に発表されたビジネス誌の「子育てしやすい」自治体ランキングにおいて、本市は東京圏で第5位にランクインしました。不動産価格の高騰が進む中、子育て世代がより快適な住環境を求めた結果、これまで進めてきたシティセールスの取組と相まって、多摩市が選ばれているものと考えています。
令和6(2024)年度から開催している「たまこどもフェス」では、市内の充実した幼児教育・保育環境とともに、全国に先駆けて取り組んできた多摩市こども誰でも通園事業をはじめとする子育て支援施策をアピールすることで、「子育てするなら多摩」を実感いただけていると手応えを感じています。また、令和7(2025)年末には、学習支援や読書活動の推進等を目的として、市内の小中学生と小学校入学予定の児童に対して、市内書店4店舗で使える書店利用券を配布し、好評を得ています。
今後も、一定の時間を要するハード面の整備とともに、関係機関とも連携したソフト面での取組を進め、より魅力的なまちをつくっていきます。
(4)市民の困難に寄り添う行政
貧困の連鎖を断ち切り、格差のない社会を実現していくため、生活が厳しい世帯でも、子どもたちの可能性を狭めてしまうことのないよう、学習支援の拡充や生活保護受給世帯へのクーポン券方式による通塾費用の支給、大学等及び模擬試験受験料助成金の創設などにも力を入れて取り組んできました。
また、不登校総合対策の一環として、令和5年(2023)10月に仮想空間を活用した「多摩市フレキシスクールOnline」を導入するとともに、令和6(2024)年4月にはチャレンジクラス「あたごSpace」を東愛宕中学校内に開設しました。令和9(2027)年4月には、諏訪複合教育施設内に中学校分教室型の学びの多様化学校を開設すべく、工事を行います。特別支援教育の推進という点でも、この4月には、聖ヶ丘中学校に自閉症・情緒障害特別支援学級を開設する予定で、現在準備を進めています。
このほか物価高騰対策として、令和7(2025)年度には、命にもかかわる猛暑が続く中、市独自に非課税世帯・生活困窮世帯等へのエアコン購入費助成を実施しました。健康福祉部の職員を中心に、全庁一丸となって訪問調査を行い、助成認定証をお渡しする際には、大変喜ばれたとのことです。こうした貴重な体験も原動力に、職員とともに「社会で弱い立場にある存在にしっかりと目を向ける」という姿勢を貫いていきます。
加えて、令和7(2025)年12月の国の補正予算で示された重点支援地方交付金を活用した取組として、食料品の物価高騰に対する特別加算分も活用し、市民1人につき4千円分のギフトカードの配布を行います。引き続き東京都の支援のない分野の事業所への支援も実施するとともに、今後も適時適切に状況を把握し、国や東京都の取組とも連動しながら物価高騰対策に取り組んでいきます。
3 市政運営の基本的な考え方
~変化の目まぐるしい社会に柔軟に対応しながら次のステージに向けて歩みだす年度~
世界情勢はトランプ政権に翻弄され、多国間が協力するというこれまでの国際協調の姿が見えない混沌とした状況となっており、国内においても「気候変動」の影響を受けた自然災害の多発化、人口減少に伴う担い手不足の深刻化など、これまでの知見や経験では乗り越えられない事態が相次いで発生し、不確実性が高まっています。
物価高騰の長期化が市民生活や事業活動に大きく影を落としている中、賃上げなどによる経済の底上げは急務となっており、本市においても社会保障関係経費の増加に加えて、近年の物価高騰や人件費の増加に対して税収の伸びが追い付かない状況が続き、予算編成は年々厳しさを増しています。
令和8(2026)年度当初予算編成においても前年に引き続き、各部からの要求段階で60億円以上の財源不足が生じましたが、様々な行政課題の解決に向けて、責任をもって年度当初から着実に施策を進めていくこととして年間総合予算編成としました。
令和8(2026)年度は、第六次総合計画が4年目を迎え、基本計画の改定を行います。また、本市では次の50年に向けて動くために、第六次総合計画の策定にあわせ、都市計画マスタープランの改定や産業振興マスタープランの策定など、まちの新たな魅力や基盤整備に向けた準備を進めてきました。こうした積み重ねを基礎にして、基本構想で定めた将来都市像の実現に向けた取組を着実に進め、市政を次のステージへとつなげていく年度にしていきます。
(1)持続可能な行財政運営
本市の人口はほぼ横ばいで推移していますが、自然減を社会増で補っている状況であり、将来的な人口減少は避けられません。右肩上がりの時代ではなくなっている中で、持続可能な行財政運営を維持していくことは不可欠です。依然として厳しい財政状況が続くことが見込まれており、とりわけ、歳入の大きな柱である市税は、中長期的には人口減少や高齢化の進行等により市民一人当たり納税額の減少が想定されるほか、ふるさと納税制度利用者の増加に伴い、他自治体への流出額が拡大傾向であることを踏まえると、先行きを厳しく見据える必要があります。
また、今後も想定される物価高騰や労務費の上昇、社会保障関係経費の増加に加え、公共施設の老朽化対応などに備えつつ、絶えず変化する社会動向や多様化する行政ニーズに対応していくためには、効率的で持続可能な行財政運営の確立を図っていかなければなりません。特に、令和10(2028)年以降に予定している複数の大型公共施設の更新・整備に際しては大きな財政負担が見込まれるため、事前に財政負担等の軽減を図りつつ、その先への備えをしていく必要があります。
そのため、既存事業の必要性の精査、事後検証の強化もしながら、業務の棚卸しなどの見直し、基金の積み増しや起債の抑制、新たな財源の確保等に努めていきます。
また、これまで高い財政力を背景に、各種の施策を強力に推し進めてきた東京都も、国の税源偏在是正の動きの中で、今後の財政運営に強い危機感を持っているとも伺っており、これまでのような規模での財政支出ができなくなる可能性もあります。数少ない不交付団体である本市においても、国や東京都の動向にも注視しながら、健全で安定的な財政基盤を築いていきます。
人財の流動化は、公務職場にも少なくない影響を及ぼしています。いざというときに頼れる市役所であるために、近隣の各市と連携した合同採用説明会を進めるなど、引き続き、職員の確保や定着に取り組みます。法改正や「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」の制定を受け、市として決定したカスタマーハラスメント防止対策に基づき、市民の皆さんに寄り添った丁寧な対応を行うとともに、電話での問い合わせ内容に関するトラブルの未然防止、対応の品質向上のため、本庁舎の電話交換機に通話録音機能を付加します。さらに、公正で円滑な市政運営を阻害する迷惑行為には、毅然と対応することで、組織を挙げて来庁者と全ての職員が安心できる環境づくりを進めます。
また、大型施設の建替えや改修が続く中での、これからの公共施設の方向性を定める「アセットマネジメント計画」については、中長期的な財政状況の見通しの検証や、目標設定、個別施設の方向性の検討など、庁内議論を深める必要があると判断し、策定時期を半年ほど後ろ倒ししました。これからの新たな学校のあり方について、引き続き検討を行いつつ、都市計画税の充当拡大などを含め、将来ニーズを見据えた公共サービス・機能を展開することを方針に、第六次総合計画を施設政策から支え、ミライにつなげていきます。公共施設の使用料については、負担の適正化やより柔軟な利用方法を可能とすること等を目的に、見直しを進めていきます。
そして市役所本庁舎の建替えに向けては、いよいよ基本設計に着手し、令和8年度内には市民説明やパブリックコメントを実施するほか、防災性の高い基盤整備に向けて土地区画整理事業の認可手続きに着手していきます。
一方で、現下の建築費高騰を受け、各市の施設整備事業においても入札の不調・不落などによるスケジュール変更などが余儀なくされています。アセットマネジメント計画、そして本庁舎整備については、ひとつずつ道筋はしっかりと定めていきながらも、情勢変化に応じた柔軟性も持ち合わせて臨んでいきます。
(2)デジタル技術の進展も踏まえた市民サービスの改善
令和7(2025)年度に実施した高齢者スマートフォン購入費助成事業も、多くの方に利用され、従来型携帯電話からの買い替えが進むなど、市民生活のデジタル化は進んでいます。これからの市政運営においても、デジタル技術を活用した事業実施手法の転換など業務改革が急務です。そのため、デジタル技術に知見を有する専門スタッフ「デジタル化推進支援員」の任用とオンラインで本人確認を行うための仕組みの活用により、市民の利便性向上に向けて行政手続きのオンライン化を推進します。このほか、市民との接点となる公式ホームページに、生成AIを利用したサイト内検索を導入します。24時間対応窓口として市民の利便性を高めるとともに、業務時間内の電話・窓口対応時間を減らし、職員の業務効率改善を目指します。中央図書館では、人気のあまり座席確保のために開館前から行列ができている状況等を改善し、公平にご利用いただくため、座席予約ができるシステムを導入します。
また、オンラインだけでなく、市役所窓口の改善にも取り組みます。ご遺族の負担を軽減し、スムーズな手続き等を実現するための「おくやみコーナー」を4月から開設するとともに、課税課・納税課ではキャッシュレス決済対応をはじめるなど、本庁舎での手続きの利便性も高めていきます。
さらに、本庁舎建替基本計画で掲げた駅近機能のほか、これまで検討を進めてきた窓口サービスの改善や出張所機能等について、それぞれの関係性を整理しながら、窓口業務全般に対する取組の考え方を示すための方針として取りまとめていきます。
(3)重点テーマへの取組
次に、第六次総合計画で掲げた3つの「分野横断的に取り組むべき重点テーマ」への取組についてです。
「環境との共生」に向けては、カーボンハーフの達成に向けた行動の実践として、申請件数の伸びている住宅用・事業者用創エネルギー・省エネルギー機器等導入補助金を通じて、市民・事業者の脱炭素化への取組を引き続き支援するとともに、リース方式による公共施設への太陽光発電設備設置を進めます。
また、給食センター調理室及び学校配膳室における熱中症対策や総合体育館第2スポーツホールへの空調設備の整備にも取り組みます。
このほか、保全活動とともに日常生活の中でも生物多様性からの恵みが実感できる取組として、(仮称)生物多様性フェスティバルを開催するとともに、暮らしと調和した安全・安心で持続可能なみどりの維持管理手法への転換を検討します。また、近年、降雪などによる倒木の見られた乞田川沿いのサクラについては、2区間において更新工事を進めていきます。
「健幸まちづくりの推進」に向けては、健幸ポイント事業「TAMAるんるん」の機能をさらに拡充するとともに、老いを学ぶ多摩市発のライフウェルネス・テキストをもとにしたデジタル版の「ライフウェルネス検定」を構築し、学びの機会を広く提供するなど、市民の健康寿命の延伸と健康増進を図ります。また、健幸!ワーク宣言企業と連携を強め、参加企業にもメリットとなる形で、行政以外の事業にもポイント付与対象をさらに広げていきます。
令和7(2025)年4月に施行した「多摩市みんなの笑顔が広がる歯と口の健康を推進する条例」を機に、26市初の試みとして妊婦・パートナー歯科健診を開始しました。歯科医会からは、その後の定期受診につながるケースも出てきているとの声も聞かれます。生まれてくるお子さんとともに家族の歯と口の健康を推進することで、市民の健幸的な生活の獲得を支えていきます。
「活力・にぎわいの創出」に向けては、都市計画マスタープランで目指すまちづくりの実効性を高める計画として検討を進めている立地適正化計画を、令和8(2026)年度中に策定します。
聖蹟桜ヶ丘駅周辺では、都市再生推進法人の指定を機に、公民の多様な人材が集積するエリアプラットフォームの構築や聖蹟桜ヶ丘エリアの未来ビジョン策定とその実現に向け、公民の連携を強化しながら取り組んでいきます。
ニュータウン再生について、これまで機運醸成、市民との情報共有の場として、毎年シンポジウムを開催してきましたが、令和8(2026)年度は、視聴型ではなく、市民の皆さんからより多くの意見を集めることを目的に、ニュータウン再生が先行して進む諏訪・永山地区のまちづくりについて、オープンハウス等の参加型企画を行うほか、引き続き貝取・豊ヶ丘地区での社会実験に取り組みます。
また、多摩センター駅周辺では、開館35周年を迎えたサンリオピューロランドとの体験型ワークショップ、駅北側へのナイトタイムの回遊促進に向けた乞田川のライトアップなどに取り組みます。
これらの取組を進めることで本市の魅力をより高め、SNS等で市内外に発信することで子育て世代を中心に住みたい、住み続けたいまちをさらに目指していきます。
4 令和8(2026)年度における分野別の目指すまちの姿の実現に向けた主な取組
第六次総合計画の推進にあたっては、限られた財源の中で、より効率的・効果的な事業選択を行うべく、行政評価の手法により、評価と予算の連動に取り組んできました。総合計画の基本構想に定めた「分野別の目指すまちの姿」の実現に向けた令和8(2026)年度の取組について申し述べます。
「子どもの成長をみんなで支え、ともに生きるまちの実現」に向けては、産婦や新生児が自治体の区域を越えて健診を受診できるよう、産婦健診、1か月児健診に都内共通受診券方式を導入します。令和7(2025)年度から母子保健部門と児童福祉部門が一体化したこども家庭センターでは、虐待の未然防止を目的とした都の支援を活用し、妊娠から出産、子育てまで切れ目ない相談支援体制のさらなる強化に努めます。国民健康保険税のうち未就学児にかかる均等割の免除による子育て世帯の負担軽減も令和8(2026)年度から始まります。また、幼児教育・保育の充実等のため、現在13施設で実施しているこども誰でも通園事業を19施設に拡充します。
放課後の子どもの居場所の確保に向けては、委託により実施している平日週5日及び学校長期休業期間中の放課後子ども教室について拡充するとともに、学童クラブについては、東京都認証学童クラブへの移行を進めます。
さらに、教育分野では、国が示している次期学習指導要領に向けた基本的な考え方を踏まえ、民主的で持続可能な社会の創り手をみんなで育むべく、学校教育の枠を超えた多層的な学びの機会を保障する観点から、『たまなびパスポート』の名称で、ラーケーションやデュアルスクールといった子どもたちの学校外での学びを支える制度を開始します。これによりESD(持続可能な開発のための教育)の更なる充実を図るとともに、多様な子どもたちの深い学びを確かなものにしていきます。学校給食については、子どもたちが将来にわたって健康で幸せな生活を送ることに資するとともに、栄養バランスのとれた食事の提供を通じて食育や社会性、文化や自然への理解を育み、給食の質と安全性を確保しながら将来にわたり安定して給食を提供していけるよう、学校給食センターの建替整備事業を推進します。
「支え合いのなかで、いつまでも安心して暮らせるまちの実現」に向けては、感染症流行期等における医療提供体制の整備という観点から、年末年始における休日診療体制を拡充します。障がいのある方の社会参加や社会交流を推進していく観点から、通学時の移動支援を求める声に対応し、通学区域外から特別支援学級に通う児童を移動支援事業の対象に追加するとともに、令和7(2025)年1月に施行した手話言語条例を踏まえ、障害福祉課窓口に週1回手話通訳者を配置します。医療的ケア児(者)の方への支援では、4月から医療的ケア児等のコーディネーターを配置するほか、発達支援を必要とする子ども・家庭への切れ目ない支援のために、令和9(2027)年度の発達支援センターの開設に向けた準備も進めていきます。
また、高齢者人口と困難事例の増加により、地域包括支援センターの業務が圧迫されている状況を少しでも改善するため、事務員を配置することで、高齢者を支える体制を充実します。このほか、新たなデイジー図書作成の担い手の養成講座を実施し、持続可能な図書館の障がい者サービスにつなげていきます。
「地域で学び合い、活動し、交流しているまちの実現」に向けては、富士見町との友好都市提携40周年を記念して、新たな交流事業に取り組むとともに、今定例会にアイスランドの首都であるレイキャビク市との姉妹都市提携の締結を提案します。本年12月にはアイスランド大使館との覚書締結から5周年であり、アイスランド、そしてレイキャビク市と、国境を越えた都市交流を進め、ジェンダー平等先進国であるアイスランドとの交流事業を通じて、本市のジェンダー政策や健幸まちづくりを深化させていきます。
令和7(2025)年度から試行を開始した部活動の地域展開については、毎年部員の数が変動するなど、難しい面もありますが、実情に合わせて各学校方式と拠点校方式を使い分けるなどにより、試行を拡充していき、将来にわたって生徒が継続的にスポーツ・文化芸術活動に親しむ機会を確保していきます。
また、本年のたま広報新春号では、矢島 聖蘭(やじま せいら)さんと渡辺 晃男(わたなべ あきお)さんに表紙を飾っていただきました。矢島さんは令和7(2025)年1月、競技かるたで高校生としては17年ぶりとなるクイーン位を獲得し、本年1月には2連覇を、そして渡辺さんは令和7(2025)年、市内在住者として初めての人間国宝認定という偉業を果たされたおふたりです。渡辺さんの木工芸における卓越した技術と研鑽の過程を広く伝え、日本の伝統文化の価値と魅力を市民の皆さんに再認識していただくため、市では4月に展示会や対談などの人間国宝記念事業を実施します。
「みんながいきいきと働き、集い、活気と魅力あふれるまちの実現」に向けては、令和7(2025)年3月に産業振興マスタープランを策定しました。令和8(2026)年度には地域の活性化と個性豊かな賑わいの形成を支える魅力ある店舗の出店を促す多摩市商店街活性化に資する出店支援事業の創設、市内事業者の人手不足を支援するための合同採用説明会の開催、市内事業者の販路開拓を支援するため、市として都心で実施される物産展等に出展する事業の実施など、同プランで掲げた各種の取組を推進します。また、令和7(2025)年度好評だった「アイスランド風まちバル」を引き続き開催するため、多摩市観光まちづくり交流協議会への支援を行います。
農政では、多摩市の農家が生産した農産物の販売促進のために、PR用シール及びのぼり旗を作成するなどのPR事業に取り組みます。このほか、産業振興の観点で取り組んでいるふるさと納税については、閲覧件数の多いポータルサイトを新たに追加し、さらに本市の返礼品をPRするとともに、ふるさと納税の増収も目指します。
「みんなが安心して快適に住み続けられるまちの実現」に向けては、災害時における市災害対策本部の各対策部や緊急医療救護所間の情報連絡を強化するため簡易無線機の更新・追加やIP無線電話機の増設を行うとともに、消防団ポンプ車の更新に着手します。また、災害時の現場確認にドローン活用の有用性が期待される部署の職員を対象として、ドローン国家資格取得を進めます。このほか、無料耐震診断の実施後、耐震改修に進む割合が低い現状を踏まえ、木造住宅耐震化促進事業の再構築を行い、耐震改修を推進します。
下水道事業では、埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故を受けて実施した特別重点調査の結果に基づく対策工事を行うほか、浸水シミュレーション、雨水管理方針の作成等を経て、検討を進めてきた多摩市雨水対策方針を策定、公表します。
また、交通ネットワークの維持・向上に向けては、本年1月に都内で初めて行った大型バスによる自動運転の実証運行の成果をレベル4の実現に繋げる取組や、東京都が行う空飛ぶクルマ事業にも積極的に関わるなど、本市の整った都市基盤を生かし、新しいモビリティが、いち早く実用化される、夢を現実にできる街となるよう取り組んでいきます。
「地球にやさしく、水とみどりとくらしが調和したまちの実現」に向けては、脱炭素に向けた取組のほか、(仮称)連光寺六丁目農業公園の整備も進めるとともに、里山保全地域の主旨を踏まえた環境保全型農法による栽培、農の体験や学びにつながる運営と公園施設等の維持管理を一体的に行えるような事業者選定を進めます。
また、リユース食器貸し出し事業では、長年使用しているタンブラーの更新を機に、素材を生分解性プラスチックのものに変更します。なお、ごみの問題については、特別区でも、家庭ごみの有料化の検討が進みつつありますが、本市を含む多摩地域の多くの自治体で、焼却灰の埋め立て問題なども考慮し、ごみ減量のためにいち早く有料化に取り組んできました。ごみの最終処分を行う東京たま広域資源循環組合では、エコセメント施設の更新が始まりますが、埋め立てゼロを支えるため、構成市の一員として、必要な負担を行っていきます。
5 むすびに
戦後の世界秩序が激流にさらされ、大きく変化していく中、多摩市においてアイスランドとの交流の輪が深まり、広がっていくことは未来への光明と希望と思っています。
令和7(2025)年、私はアイスランド外務省から名誉勲章をいただきました。これは私だけでなく、多摩市国際交流センター(T(ティー)I(アイ)C(シー))はじめ関係機関の協力によるアイスランドウィークの開催、学校給食でのアイスランド家庭食の再現、聖蹟桜ヶ丘や多摩センター駅周辺の飲食店の協力による「アイスランド風まちバル」など、アイスランドとの交流に尽くしていただいている多くの関係者、市民の皆さんを代表して受けたものと感謝しています。
また、その際に市内の小学校へのプレゼントとして、「本当にやる!できる!必ずやる!」という1975年にアイスランドの全女性が立ち上がった「女性の休日」に関する絵本を贈呈いいだきました。本年はアイスランドのレイキャビク市と姉妹都市の提携に向け踏み出す年となります。ジェンダー平等の先進国から多くのことを真摯に学んでいきたいと考えています。
本年2月には、多摩地域26市で構成する平和首長会議東京都多摩地域平和ネットワークによる広島に派遣した「多摩地域平和ユース」の若者たちと多摩地域の首長との「平和サミット」も行われ、被爆の実相の継承と核と戦争のない恒久平和を多摩地域から引き続き発信し、具体的なアクションを起こしていくことを確認しました。
また、旧統一教会による市内の土地取得問題に関しては、年度内にも想定される解散請求に関する高等裁判所の判決の推移を見守り、本市として、尾根幹線に面するこの土地が、早期ににぎわいや雇用の創出の場を実現する利用がなされ、市民の皆さんの不安が払拭できるよう、必要な対応や働きかけを引き続き市長である私が先頭に立って行っていきます。
令和7(2025)年は日本で初めてとなるデフリンピックが東京で開催され、多摩市在住の選手が大変な活躍と記録を残されました。スポーツを通してのまちづくりは、年齢を問わず、私たちの身体と意識にシビックプライドのDNAを呼び覚ましつつあります。本年からJリーグのシーズン日程が大幅に変わります。これも地球沸騰化への対応ですが、多摩市として東京ヴェルディの選手が全力で戦える環境と、サポーターの皆さんが応援できる環境をしっかりと支えていきます。東京ヴェルディには今季こそ上位への果敢なチャレンジを大いに期待しています。
結びに、市民そして市議会の皆さんのご理解とご協力を得て取り組んでいくことを宣言し、施政方針演説とします。
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