日本医科大学多摩永山病院の移転・建替え

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ページ番号1004767  更新日 2024年6月4日

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日本医科大学多摩永山病院の移転・建替え計画の検討終了に関する市長コメント

多摩市は、平成20年以降、学校法人日本医科大学(以下「日医大」)との間で、主として日本医科大学多摩永山病院(以下「多摩永山病院」)の建物の老朽化対策として、新病院建設に向けた移転・建替えの協議を行ってきました。
しかしながら、日医大においては、昨今の建設業界、医療業界を取り巻く社会環境や経済情勢などの影響から、新病院移転・建替え資金の調達の目処が全く立たないことに加え、多摩永山病院単独の収支が厳しい状況にあることから、市内での新病院建設に向けた、移転・建替え計画の検討を終了することとなりました。
熟慮のうえとは言え、この間十数年に渡って多摩永山病院の建替えに向けて協議を積み重ねてきたことを考えると、私としても痛恨の極みです。
なお、多摩永山病院は、引き続き現在の場所で診療を継続していくことを確認していますので、是非とも安心してご利用いただければ幸いです。

【これまでの経緯】
本市では、多摩ニュータウンの初期入居が始まった昭和46年以降、急激な人口増加が続き、社会インフラの整備、とりわけ市民の命を守る地域医療の確保が喫緊の課題でした。また、隣接する八王子市、町田市、稲城市を含む広大なエリアが一体的に開発される多摩ニュータウンエリアにとっても、高度医療を提供する総合病院の開設は待ち望まれていました。
そうした中、日本医科大学多摩永山病院は、昭和52年に、多摩ニュータウンにおける地域医療の基幹病院として開院しました。 多摩永山病院は開院から50年近くが経ち、施設の老朽化や狭隘化への対策のほか、最新の医療技術への対応や複雑で多様化する医療ニーズにこたえる必要があることから、本市と日医大との間で、多摩市内での移転・建替えの実現に向け協議を進めてきました。
令和元年には、「旧多摩ニュータウン事業本部跡地」を移転候補地とする「確認書」を締結したものの、その後、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、病院経営は厳しい状況に置かれ、本建替え計画の協議を進めることができない時期もあり、また、コロナ禍を経て、病院の患者も戻りつつある中で、ようやく協議の再開となりましたが、今度は、物価高騰など社会経済状況の急変の影響等を受け、新病院移転・建替え資金の調達目処が全く立たなくなったことに加え、多摩永山病院の単独収支も厳しい状況が続いていました。
そうした状況から、日医大としては、仮に新病院を建設しても、その収支を黒字に転換し、経営を長期間継続することは不可能であることから、多摩市内での新病院の移転・建替え計画の検討を終了するとの判断をされました。
熟慮のうえとは言え、この間十数年に渡って多摩永山病院の支援、そして建替えについてお互いに協議を進めてきたことを考えると、私としても痛恨の極みです。
本市としても、多摩永山病院の移転・建替えに向け、当初の移転・建替え先であった「旧東永山小学校跡地」から、日医大からの要請を受け、移転先が「旧多摩ニュータウン事業本部用地」へと変わり、市議会への説明や、関係者との調整を行うなど、可能な限りの支援を行ってきたと自負するところですが、昨今の物価上昇など、病院を巡る様々な環境変化により、新病院の建設見込み額が高騰し、厳しい状況にあることは理解いたします。
また、日医大からは、新病院建設費約 280億円の半額程度の財政支援のほか、年間の運営費の一部も含めた巨額の財政支援の要望を受けましたが、これは14万8千人の人口規模である自治体の能力を超えた負担であることから、本市にとって苦渋の選択として、「確認書」の解約の申し出は受け入れざるを得ないと判断しました。
なお、日医大としては、今回このような判断をされましたが、引き続き、多摩永山病院は、現在の場所で多摩市民をはじめ、八王子市及び町田市、日野市、稲城市で構成する「南多摩医療圏」にお住まいの皆さまの命を守るため、高度・専門医療を提供していただくことを確認しております。
是非とも、多摩永山病院を安心してご利用いただければ幸いです。

多摩市長 阿部 裕行

市の取り組み経過

  • 令和3年5月から8月末まで、旧多摩ニュータウン事業本部用地の北側(市道4-3号歩線内)で法面対策工事を行いました。これにより、令和4年2月8日東京都告示第136号で土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)の指定が解除され、新病院建設への支障を取り除きました。
  • 令和4年3月14日付で、多摩市とUR都市機構との土地交換が成立し、旧多摩ニュータウン事業本部用地を取得しました。
  • 日本医科大学は、度重なる新型コロナウイルスの感染拡大に対し、大変なご尽力をされています。本市としては、新型コロナウイルス感染症患者が急増している中、新型コロナウイルス感染症対策事業に対する補助や、出産を控えた新型コロナウイルス感染者及び感染が疑われる妊婦に対して、必要な周産期医療を提供している日医大多摩永山病院に対して、分娩室個室化に対する補助等を行ってまいりました。
  • 令和4~5年度にかけ、旧多摩ニュータウン事業本部の建物等の解体工事を実施しました。

これまでの協議内容

  • 平成20年10月、学校法人日本医科大学から多摩市に要望書が提出されました。
    日医大多摩永山病院の建物の老朽化が深刻で対策が急務であること等から、「東永山小学校跡地(東永山複合施設)を病院として使用すること」について、要望書が提出されました。
  • 平成23年1月、学校法人日本医科大学と多摩市で確認書を締結しました。
    救急医療の拠点、地域医療の核である日医大多摩永山病院の存在は重要であることから、東永山小学校跡地に病院を開設することに向けて双方努力する「確認書」を締結しました。
  • 平成30年5月、学校法人日本医科大学から多摩市に要望書が提出されました。
    平成23年1月の確認書を見直し、東永山小学校跡地ではなく、永山駅周辺での用地の確保を要望する「要望書」が提出されました。平成23年に締結した確認書以降、少子化・高齢社会や将来の人口減少などを踏まえ、改めて地域医療の発展を考えると、より利用者の利便性が高く、人の集まりやすい用地が必要との趣旨でした。
  • 平成30年12月、独立行政法人都市再生機構(UR)と多摩市で確認書を締結しました。
    永山駅周辺で唯一、総合病院の建設が可能な独立行政法人都市再生機構(UR)が保有する旧多摩ニュータウン事業本部用地と、多摩市が保有する東永山小学校跡地との土地交換の可能性について協議を進め、土地交換契約の締結に向けた前提となる基本的事項についての到達点及び今後の対応方針等について定める「確認書」を締結しました。
  • 平成31年3月、多摩市とURとの間での土地交換契約締結と土地交換差額の負担に関する補正予算が市議会で可決されました。
    土地交換についての協議が整ったことから、多摩市からURへの土地交換差金の負担に関する補正予算を平成31年第1回多摩市議会定例会(平成31年3月)に上程し、可決されました。(交換差金は、180,271,820円)
    また、補正予算可決後、市議会最終日(平成31年3月28日)に財産の交換に関する議案を上程し、原案どおり可決されたことから、多摩市とURとの間で、東永山小学校跡地と旧多摩ニュータウン事業本部用地との土地交換契約の契約締結が成立しました。
  • 令和元年7月、多摩市と学校法人日本医科大学で確認書を締結しました。
    平成23年1月に締結した「確認書」の見直しを行い、病院の開設用地を東永山小学校跡地から旧多摩ニュータウン事業本部用地に変更する「確認書」を締結しました。
  • 令和2年11月、学校法人日本医科大学から多摩市に「日本医科大学多摩永山病院建替えに伴う支援について(依頼)」の文書が提出されました。
    7つの事項についての依頼文書が提出されました。移転予定地は東京都から土砂災害特別警戒区域の指定を受けるなど斜面地が多く、平坦な敷地へ整備、造成するには多額の費用がかかり、さらに、昨今の新型コロナウイルス感染症拡大は想定外の事態で病院経営を著しく窮状に陥れ、新病院への建替えを困難な状況にしています。これまで40年の長きに渡り地域医療に貢献し新病院となった次の50年も多摩市と共にこの地で医療の面からまちづくりの一翼を担い、地域医療の安心を支えていくため新病院の建替えに向けて、特段の配慮をお願いしたいとの趣旨でした。
    1. 2026年度の新病院開院を努力目標とし、最速のスケジュールに沿った諸調査・工事等の実施及び協力
    2. 新病院の建設に滞りなく着工するための旧多摩ニュータウン事業本部跡地に係る一切の造成・平坦な土地への整備等の負担(測量・地盤調査、土砂災害特別警戒区域解除工事を除く20億円相当)
    3. 旧多摩ニュータウン事業本部跡地の無償貸与
    4. 新病院の建設にあたり、建設費に対する財政的支援(補助金)
    5. 旧多摩ニュータウン事業本部敷地の約50%が斜面地であり、駐車場整備が困難であるため、隔地駐車場(附置義務駐車場台数の半数)確保に関する支援及び協力
    6. 永山駅から新病院への患者動線整備(西側都道からのエレベーター、エスカレーター設置等のバリアフリー動線等)、また、公共交通機関(バス等)の新病院敷地内への引き込みに関する支援及び協力
    7. 新病院建設を一つの契機とし、現多摩永山病院跡地の利活用を含めた諏訪・永山まちづくり計画の着実な進展
  • 令和3年2月、学校法人日本医科大学から多摩市に「日本医科大学多摩永山病院の建替えについて」の文書が提出されました。
    令和2年11月に新病院の建替えに関し種々の依頼をしましたが、現在、24時間体制で新型コロナウイルス感染症の重症者の治療に当たっています。外来、入院ともに来院する患者数が昨年と比較して約3割も激減するなど、病院経営は今もなお非常に厳しい状況が続いています。このような状況下において、諸般の事情を再度慎重に検討するため、11月の依頼文書中、1の2026年度の新病院開院を努力目標とする点について再考しています。現在進行中である新型コロナウイルス感染症が病院経営に与える影響を見極めつつ、引き続き、日医大多摩永山病院が地域医療に貢献していくにあたり、どのような方策があるか検討するため、当面の間、時間を賜りたいとの趣旨でした。
  • 令和4年6月、学校法人日本医科大学から多摩市に「日本医科大学多摩永山病院建替えに関する協議の再開について」の文書が提出されました。
    多摩永山病院は令和2年度から令和3年度半ばまでの病院経営は大変厳しい状況でした。法人と多摩永山病院が一体となっての努力が功を奏し、コロナ前の水準とまではいきませんが、令和3年度後半からの同病院の状況は改善傾向となっています。この間も、多摩永山病院職員の地域貢献への士気は非常に高く、改めて、多摩市を含めた多摩地域において救命救急病院としての役割を果たしていく必要があること、そのためには病院の施設・設備を整えていく必要があることを再認識した次第です。再考の結果、多摩永山病院の建替えについては、できるだけ早い時期を目指したいと考え、令和8年度(2026年度)に病院工事に着工することを努力目標とし、多摩永山病院の建替えについての議論を再開していただきたいとの趣旨でした。
  • 令和5年3月、多摩市から学校法人日本医科大学に「日本医科大学多摩永山病院の移転・建替えについて」の文書を提出しました。
    本市から提出した文書の概要については、次のとおりです。
    1 多摩永山病院の移転・建替え事業に関する本市の基本的な考え方
    多摩永山病院は、開設以来、40年以上にわたり、多摩市内の医療機関として中核的な役割を果たされてきました。
    多摩市内で唯一の三次救急医療機関として、脳卒中などの緊急治療が必要な疾病に対応しており、最近では、令和2年初頭から現在に至る、新型コロナウイルス感染症の感染拡大においても、最重症患者の治療に当たっていただいております。
    また、南多摩医療圏で有数の周産期医療体制を確保しており、周産期医療連携システム「母と子のネットワーク」を構築し、地域連携の基幹病院として、リスクの高い妊産婦と新生児への対応を行っていただいています。
    災害拠点病院の指定を受け、24時間、消防機関と連携した緊急対応が可能な体制を構築されており、平成30年7月の唐木田における大規模火災においても、最前線で負傷者の治療に当たっていただきました。
    東京都がん診療連携拠点病院として、緩和ケアの提供、セカンドオピニオンの実施、がんに関する相談など、質の高いがん医療も提供していただいております。
    その実績は、非常に高いものであり、市内のみならず、広く南多摩医療圏、東京都において、なくてはならない医療機関であると認識しており、引き続き、この地で、他の医療機関には実施できない高度な医療を担っていただきたいと考えています。
    このため、貴法人からの多摩永山病院の移転・建替え事業に関する支援の要望については、本市としても、市民、市議会の理解、協力を得ながら、できる限りの対応を行いたいと考えています。
    2 本市の財政支援について
    令和2年11月による7つの要望事項は、本市からの財政支援を中心に、多岐にわたる要望が示されました。
    貴法人が、収益追求以上に、公益性の高い政策医療を中心に取り組まれ、多摩永山病院の移転・建替えについて支援を要していること、また、他の地方公共団体においては、医療機関の誘致等に伴い、多額の支援が行われた事例があることについては、本市としても、承知しております。
    多摩永山病院の移転・建替え事業に対し、諸条件を考慮の上、できる限りの支援を検討していく所存ですが、地方公共団体ごとに、その財政状況は全く異なっており、必ずしも他の地方公共団体の事例と同様の支援を本市で行うことができないことについては、御理解いただけますようお願いいたします。
    本市の規模では困難な支援に関しては、国や東京都の補助金活用など、他の方策も並行して御検討していただくようお願いいたします。
    3 各要望事項に関する現時点の本市の基本的な考え方について
要望事項と基本的な考え方
日医大からの要望事項 多摩市の基本的な考え方
1.2026年度の新病院開院を努力目標とし、最速のスケジュールに沿った諸調査・工事等の実施及び協力 令和8年度の病院工事着手に向けて、市も最大限の努力をしていきたいと考えておりますので、最新の計画及びスケジュールを御検討の上、御協議願います。
2.新病院の建設に滞りなく着工するための旧多摩ニュータウン事業本部跡地に係る一切の造成・平坦な土地への整備等の負担(測量・地盤調査、土砂災害特別警戒区域解除工事を除く20億円相当) 貴法人において、造成、擁壁、病院本体の工事を発注していただき、市が、造成、擁壁部分に係る費用を支援するという方法に関し、必要な予算を市議会に提案することを念頭に検討しています。
今後、市議会に提案し、議決を得ていくためには、当該支援の必要性について、説明が必要となるため、令和8年度の病院工事着手に向けた最新の計画をお示しいただくなど、御協力をお願いいたします。
この支援に当たっては、敷地北側遊歩道の高低差解消は、地域の長年の課題であるため、新病院建設に併せて昇降機(エレベータやエスカレーターの整備)設置及び運営について、御協力をお願いいたします。
3.旧多摩ニュータウン事業本部跡地の無償貸与 無償貸与を市議会に提案することを検討しております。今後、市議会に提案し、議決を得ていくためには、無償貸付の必要性について、説明が必要となるため、令和8年度の病院工事着手に向けた最新の計画をお示しいただくなど、御協力をお願いいたします。
4.新病院の建設にあたり、建設費に対する財政的支援(補助金) 人口14万人の本市においては、2.の支援のみでも、相当な負担となります。加えて建設費の支援をすることは、困難と考えております。
5.旧多摩ニュータウン事業本部敷地の約50%が斜面地であり、駐車場整備が困難であるため、隔地駐車場(附置義務駐車場台数の半数)確保に関する支援及び協力 候補地を市より御紹介したところですが、貴法人より、御希望に沿わないとの回答をいただきました。現時点では、永山駅周辺において、隔地駐車場の候補となる物件は他に存在しないことから、今回の候補地をお断りになられる場合、隔地駐車場に関するこれ以上の支援は困難と言わざるを得ません。
6.永山駅から新病院への患者動線整備(西側都道からのエレベーター、エスカレーター設置等のバリアフリー動線等)、また、公共交通機関(バス等)の新病院敷地内への引き込みに関する支援及び協力 土地の接道状況とT字交差点による周辺交通へ与える影響やバスの運行に関する課題、敷地内でバスと緊急車両が支障なく往来することが困難であることから、新病院敷地内へのバスの引き込みは大変厳しい状況です。
7.新病院建設を一つの契機とし、現多摩永山病院跡地の利活用を含めた諏訪・永山まちづくり計画の着実な進展 令和元年に「諏訪・永山まちづくり計画」を作成し、2040年代のまちの将来像を示しています。このため、同計画に掲げているリーディングプロジェクトの1つである永山駅周辺拠点の再構築に向けて、貴法人を含めた周辺地権者による勉強会を、令和元年12月からスタートしました。コロナの影響で令和2、3年度は勉強会を開催することができませんでした。令和4年度からの再開後は、東京都や大手不動産事業者にオブザーバーとして参加いただくことで、民間事業者や広域の視点での示唆を受けながら、再構築に向けた地権者間の合意形成に努めています。その議論の過程では駅周辺のバリアフリー対応や現病院用地の利活用は大きなポイントになると考えますので、貴法人に引き続き勉強会等へご参加いただき協議を継続していただくことが重要であると考えています。

 

  • 令和5年4月、学校法人日本医科大学から多摩市に「日本医科大学多摩永山病院の移転・建替え計画について」の文書が提出されました。
    昨今の建設資材価格の急激な高騰により、旧多摩ニュ-タウン事業本部跡地での新病院の建設費は、令和2年12月当時と比較すると令和5年2月時点では約70億円も上昇しています。このような状況下においては、市が要望事項を受け入れることが新病院建設計画の要となるほかはない状況です。市にて要望事項の受入れが難しい場合、既存計画の推進努力の継続はこれ以上困難であるため、旧多摩ニュ-タウン事業本部跡地での新病院移転・建替え計画を一旦保留し、国や東京都などの行政機関を始め、様々な機関に対して新病院建設に係る建設費及び新病院運営資金などの支援の相談や、デべロッパ-参入による現多摩永山病院敷地の活用、さらには多摩市以外の市区町村への病院移転の検討をも含め、早急に別途の方策を探らざるを得ないと考えていることや、さらには、他のどこからも支援を得られない場合は、廃院し、撤退するほかないと考えています。ただ、大学病院の使命として万策尽きるまで市や周辺地域の住民の皆様のため、南多摩医療圏の地域医療の継続に最大限の努力を尽くし、多摩永山病院の建替えの方策を可能な限り模索していく所存です。現時点では、本法人のみの力による旧多摩ニュータウン事業本部跡地への移転・建替えは財政的に非常に難しく、サステナブルな経営を維持し、本法人が設置する私立大学における質の高い教育、研究及び診療の運営基盤を今後も保持するうえで、建設費の調達及びその元利金返済を含めて新病院の採算の見通しが立たない限り、移転・建替え事業の開始を決定することはできません。従って、要望事項についての市の現時点でのお考え、特に令和5年3月付市文書の4~6に記載の市のお考えについて、早急に再考をお願いしますとの趣旨でした。
  • 令和5年5月、多摩市から東京都に「日本医科大学多摩永山病院の移転・建替えに係る支援について(要望)」の文書を提出しました。
    日本医科大学多摩永山病院の東京都において果たす役割に鑑み、同病院の建替えに特段の配慮をお願いするため、次のとおり要望しました。
    多摩永山病院の移転・建替えの検討状況について、都内の医療提供体制の確保及び病院指導監督権限を有する東京都に於かれても、多摩市と連携して対応いただきたいこと、及び現在の多摩永山病院の建替えに関する考えについて、東京都からも聞き取りをお願いしました。 また、広域に役割を果たす多摩永山病院に対し、本市で十分な財政支援を行うことは困難であり、東京都において活用可能な補助金や資金調達に関する助言、同病院の東京都において果たす役割に鑑みた財政支援の可能性について、検討をお願いしました。
  • 令和5年5月、多摩市から学校法人日本医科大学に「「日本医科大学多摩永山病院の移転・建替え計画について」について」の文書を提出しました。
    市として再考するためにも、各種資料の提出を依頼しました。また、旧多摩ニュータウン事業本部跡地における新病院の移転・建替えを前提に、国や東京都などを含む各種機関に資金調達等を御相談いただくことは、市としても差し支えないことを伝えています。一方で、同地への移転・建替えとは別に、各種機関に対する相談や他の市区町村への病院移転等を含めて検討されることについては、市議会を通じ、民意の下、実施した土地交換及び各種工事の趣旨を没却し、また、同地での新病院開設に向け、双方努力すると定めた確認書(令和元年7月31日)にも抵触すると考えていることから、市が依頼している資料の提出すらない中で、了承することは困難であることをお伝えしています。
  • 令和5年6月、学校法人日本医科大学から多摩市に「日本医科大学多摩永山病院の移転・建替え計画に係る別途の方策の検討開始について」の文書が提出されました。
    7つの要望事項の包括的な受入れは困難という市の考えを変更いただけませんでしたが、旧多摩ニュータウン事業本部跡地における新病院の移転・建替えを前提に、国や東京都などを含む各種機関に相談することは差し支えないとの回答をいただきました。また、4月付本法人の文書の記載内容について改めて説明するとともに、現在の情勢を踏まえた今後の展開や可能性をお示ししたところ、市から「引き続き多摩市の中で建替えていただきたい。」、「外来は是非残していただきたい。」、「日本医科大学が良い解決策を見出すことを縛るものではなく、相談して活路を開くことに異論はない。」とのご発言をいただきました。これらの事情から本法人としては、これまでの計画を一旦保留し、多摩永山病院の存続をかけて本法人が別途の方策の検討に着手するのはやむを得ないこととして、市も一定のご理解を示してくださったものと受け止めました。法人としては、今後も、旧多摩ニュータウン事業本部跡地の活用を最優先として検討していくが、同跡地を最終的には使用しないという選択や、多摩市以外への移転・建替えの選択も含めた、別途の方策の検討も、同時並行にて進めること、多摩永山病院の財務上健全な存続を優先した場合、旧多摩ニュ-タウン事業本部跡地を使用しない可能性や、多摩市以外への移転・建替えの可能性も、十分にあり得るということ、それでも、多摩市以外への移転・建替えは最後の手段であり、また、廃院は万策尽きて何の手段も取り得ない状況に陥った後の最終選択肢であって、そういう事態にならないよう、多摩地域の皆様の医療を支えられるよう、最大限の努力を今後も惜しみません。法人としては、令和元年7月付確認書を尊重し、旧多摩ニュータウン事業本部跡地での新病院建設計画の実現に向け、最大限の力を尽くして鋭意検討を重ねるとともに、市に対しても適時の連絡、説明、状況報告など常に誠実な対応をさせて頂いたと自負しております。このような従前の対応にて、確認書第1条に基づく本法人の努力義務は、既に十分果たしたものと思料しており、別途の方策の検討は確認書第1条の努力義務の違反と批判されるべきところは全く無いということを、ご理解願います。市が再考するにあたり各種資料が必要とされていますが、これらは令和5年3月に再度提出させていただきました資料一式が最新のものになります。「多摩永山病院事業活動収支計算書(消費収支計算書)(昭和52年度~令和3年度)」「新病院の構想」をご確認くださいという趣旨でした。
  • 令和5年8月、多摩市から学校法人日本医科大学に「「日本医科大学多摩永山病院の移転・建替え計画に係る別途の方策の検討開始について」について」の文書を提出しました。
    市としては、多摩永山病院の移転・建替えが多摩市内で実現するよう、今後も最大限の協力をするので、法人との良好な関係のもと、未来志向で多摩市民はもとより、南多摩医療圏における地域医療を守るため、鋭意検討を進めていくことや、旧多摩ニュータウン事業本部跡地を使用しないこと、多摩市以外への移転・建替えを是認することはできないことを伝えています。また、法人が多摩地域の医療を支えられるよう最大限の努力を惜しまないとされている点については、地域医療の確保の観点から、市としても歓迎するとしています。
  • 令和5年8月、学校法人日本医科大学から多摩市に「日本医科大学多摩永山病院の移転・建替え計画について」の文書が提出されました。
    法人としては、新型コロナウイルスをはじめとした社会環境・経済情勢の変化及びそれによる建設費の高騰、また、「7つの要望事項の包括的な受入れは困難」という見解を受け、旧多摩ニュータウン事業本部跡地での建替え案を念頭に置いたこれまでの計画を一旦保留せざるを得なくなり、多摩永山病院の移転・建替えのために、別途の方策を開始したこと、多摩永山病院の移転・建替えのために別途の方策の検討を開始した段階ですので「基本計画案」や「施設規模」等の資料を現時点で提出することは出来かねます。また、「別途の方策」による移転・建替え計画に目途が立ち次第、多摩市に対して、改めて「別途の方策」についての具体的な説明をさせていただきます。8月付市の文書では、市と本法人との間に、これまでの事実関係等に関する認識と対応に係る見解に相違があることが示されました。これらについて本法人が現時点で逐一意見を申し述べることは、「市と良好な関係のもと、未来志向で、多摩市民はもとより、南多摩医療圏における地域医療を守る」という基本的な考え方にそぐわないものと考えますので、保留することといたしますという趣旨でした。
  • 令和5年12月、学校法人日本医科大学から多摩市に「日本医科大学多摩永山病院に対する運営費の補助について(依頼)(「別途の方策」に伴う関連事項)」の文書が提出されました。
    法人としては、建設費に関する「別途の方策」について検証を進めているところですが、病院事業に係る運営費についても「別途の方策」を検証した結果をお伝えします。南多摩医療圏内の市立病院を有する三市と比べると、多摩市は医療に対する財政的な貢献度が少なく、市立病院を持たない八王子市と比べても同様であることがわかります。現在、新病院建設費が高騰する一方で、現状のまま計画を遂行した場合、赤字が重くのしかかり、将来の収支状況の改善は長期間見込めないこととなります。地方財政措置は、使途を特定しない一般財源として措置されていますので、医療について現状把握とそれに基づく適切な予算措置を講じていただき、普通交付税・特別交付税措置を利用した運営費の補助など、あらゆる財政支援の方策の検討をお願いしたたく、旧多摩ニュータウン事業本部跡地での多摩永山病院移転・建替えを最優先として場合の「別途の方策」の一環の第二弾として、ご依頼させていただきますという趣旨でした。
  • 令和5年12月、多摩市から学校法人日本医科大学に「日本医科大学多摩永山病院に対する運営費の補助について(回答)」の文書を提出しました。
    本市は、基準財政需要額に対し、基準財政収入額が超過していることから、地方交付税の不交付団体となっています。公立病院の設置自治体は、公立病院に係る経費が基準財政需要額に算定されますが、公立病院以外の病院に対する補助は、基準財政需要額には算定されないため、本市が貴法人に運営費補助を行うことで、普通交付税が交付されるようなことはありません。また、南多摩医療圏内に属している多摩市以外の4市と同程度の繰出金または補助金を支出したとしても、本市の行った試算からは、特別交付税の対象にはなるものの、普通交付税の算定により、基準財政収入額が基準財政需要額を上回っていることにより、特別交付税の交付額が差し引かれるため、特別交付税は交付されないと捉えています。そのため、貴法人からのご依頼に対する対応は難しい状況にありますが、本市としては、まちづくりや、まちの賑わい創出の観点等から、旧多摩ニュータウン事業本部跡地や現病院用地を含め、永山駅周辺地域のポテンシャルを高める方策等の検討を進める中で、効果的な支援の可能性を模索し始めているところですと回答しました。
  • 令和6年3月、学校法人日本医科大学から多摩市に「確認書(令和元年7月31日付締結)の解約について(「旧多摩ニュータウン事業本部跡地」及び「多摩市内」での新病院移転・建替え計画の検討終了について)」の文書が提出されました。
    新病院移転・建替え資金の調達の目処が立たないことに加え、多摩永山病院の単独の収支状況も厳しい状況が続き、新病院建設後、新病院の経営を長期間継続することは不可能との判断から、多摩市内での移転・建替えの検討を終了せざるを得ないとする文書が提出されました。
  • 令和6年5月、多摩市から学校法人日本医科大学に「確認書(令和元年7月31日付締結)の解約について(「旧多摩ニュータウン事業本部跡地」及び「多摩市内」での新病院移転・建替え計画の検討終了について)に対する多摩市の考えについて」の文書を提出しました。
    新病院建設費約 280 億円の半額の財政支援、市立病院を有する自治体が毎年病院会計へ繰出す、同規模の支援といった、巨額の財政支援をおこなうことは、地方交付税や特別交付税の交付も望めない多摩市にとっては、財政に及ぼす影響が計り知れない。一自治体の能力を超える負担であることから、本市にとって苦渋の選択ではあるが、「確認書」の解約の申し出は受け入れざるを得ないとする文書を提出しました。

各用地の位置

  • 日本医科大学多摩永山病院
    (所在地)東京都多摩市永山1-7-1
  • 旧多摩ニュータウン事業本部用地
    (所在地)東京都多摩市諏訪2-14-1
  • 東永山小学校跡地
    (所在地)東京都多摩市永山3-9

地図:日医大多摩永山病院・旧多摩ニュータウン事業本部用地・東永山小学校跡地の位置

この件に関する学校法人日本医科大学のお問合せ先

学校法人日本医科大学
所在地:〒113-8602 東京都文京区千駄木1-1-5
電話:03-3822-2131(代表)
担当:総務部広報課

 

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〒206-0011 東京都多摩市関戸四丁目19番5号
電話番号:042-376-9149 ファクシミリ番号:042-313-7754
電話番号のかけ間違いにご注意ください
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。