多様な市民参画手法についてのトークセッション

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ページ番号1005173  更新日 2023年3月16日

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市民が主役のまちづくり 多様な市民参画手法

イラスト:TAMAMIRAI2007多摩市民まちづくり討議会ロゴマーク

平成19年12月2日ベルブホールにおいて、「TAMAMIRAI2007多摩市民まちづくり討議会 提案&報告会」が開催され、第一部として市民討議会のこれまでの取組報告や討議成果としての提案を、市民が市へ直接手渡しました。
その後、第二部は有識者の方々によるトークセッションとして、この度、新たに取り組んだ市民参画手法の総括を含め、まちづくりのヒントを見つけるために、「多様な市民参画手法」について語って頂きました。

トークセッション参加者(五十音順)

写真:大杉 覚

大杉覚
首都大学東京大学院教授。
東京大学を卒業後、同大学大学院(博士(学術)取得)へ進み、オックスフォード大学客員研究員等を経て、現職。多摩市における行財政改革の取り組みにおいて、行政サービス業務の診断、補助金の改革など、さまざまな分野で尽力。全国知事会専門研究チームメンバーでもあり、特に行政改革や住民参加の取り組みにおいて指導的立場として活躍中。

写真:篠藤 明徳

篠藤 明徳
別府大学文学部教授。
東京大学を卒業後、ドイツのケルン大学、ボン大学で歴史学、政治学を専攻。ドイツ連邦共和国バーデンヴュルテンベルク州経済省の対日広報担当を務め、帰国後、現職。現在、別府大学地域社会研究センター主任研究員を兼職。日本にプラヌーンクスツェレを紹介した第一人者であり、日本プラヌーンクスツェレ研究会代表。

写真:白鳥 光洋

白鳥 光洋
株式会社日本能率協会総合研究所 社会環境研究本部 地域政策研究部室長。
東京都立大学卒業後、同社入社。主な調査研究テーマは、地域政策に関わるまちづくり。実践的市民協働・参画型まちづくりのアドバイザーであり、全国自治体等におけるコンサルテーションを展開。多摩市自治基本条例の策定に関わる。多摩市永山在住。多摩市自治推進委員会委員。

トークセッション冊子

トークセッションの様子が以下から一括でダウンロードできます。

トークセッション

はじめに

大杉
本日は、9月8日、9日、土曜日、日曜日の連続二日間に渡って開催された"TAMAMIRAI注1"と称した「無作為抽出市民による市民討議会」での議論の集大成である提案内容を発表され、多摩市へ提案書として手渡されました。私もその流れを見ていて、多摩市民の限りない大いなる力を見た気がしました。では、先ほどの市民討議会の提案やその取り組み発表の余韻に浸りながら「市民が主役のまちづくり、多様な市民参画手法」と題したトークセッションを始めたいと思います。
トークテーマとして三つ程考えております。一つ目は「市民参加・市民参画・市民協働がこれからは必然になる」ということです。二つ目は多摩市では自治基本条例があります。「この条例の仕組みと意義について」を。三つ目は「プラヌーンクスツェレ注2の利点と価値について」、気楽に楽しく進めたいと思います。まずは、自己紹介を兼ねて、市民討議会の感想や市民参画の思いなどを述べていただきたいと思います。

白鳥
私は9月8日、9日に開催された市民討議会を二日間にわたり傍聴し、本日の提案報告会を見ての感想から話してみたいと思います。この度の無作為抽出市民によるワークショップ注3形式の市民討議会は初めての経験でした。最初は参加者メンバーがセッションごとに入れ替わるやり方がどれだけうまくできるかを懸念しておりましたが、問題なく活発に討議が進んでいました。
初めて会った方々でも、自分が住んでいるまちについて提案することは、十分可能であるんだということを実感いたしました。また、今日の発表も大変参考になりました。裏方としてプログラムを検討した実行委員会スタッフの方々、大変なご苦労であったことと思います。市民参加は、関わった方にしか分からない部分がたくさんあると思いますので、スタッフの方々は多くのノウハウを得たことと思います。今後はそれを次につなげていくため、どのように伝えていくかが、ひとつの課題だと思います。
私は多摩市民であり、平成16年8月にスタートした「多摩市自治基本条例」策定の市民ワークショップに参加したことから多摩市のまちづくりに関わるようになりました。今回の市民討議会の名称が「TAMAMIRAI」となっていますが、自治基本条例も、多摩市の未来を市民の力、市民の参加で創るための基本的なルールを決めたものです。今回の市民討議会も、自治基本条例に決められている市民の参画手法の一つです。また、新たな方法を試行したもので、このような取り組みを重ねることが重要であると感じます。

篠藤
私は湯の町別府より、朝の飛行機で参りました。大分県別府生まれの別府育ちです。20代後半にドイツへ行き、ケルン大学、ボン大学で勉強し、バーデンヴュルテンベルク州で10年ほど州の仕事をしていました。当時、ボンでは中距離核弾頭のミサイル配備に対し30万人の反対運動があり、多くの人は核戦争が起こると信じて、多くの女性が子どもを産まないということがありました。また、1989年ベルリンの壁が崩壊し、1990年にドイツが統一されました。次いでEU成立とユーロの誕生がありました。今回、多摩市が取り組んだ無作為抽出市民による討議会、「プラヌーンクスツェレ」に出会ったのは、そういう時でした。
民主主義は市民が主人公と言われていますが、仕事に忙殺されている市民がどうして統治主体となりえるのか、これは冗談に近い言葉であり難問です。プラヌーンクスツェレに出会った時、この難問を解けるのではと思いました。私のドイツの恩師であり、このプラヌーンクスツェレを発案したディーネル先生から教えを受けました。その時には、まだドイツでも注目されていないものでしたが、それが日本でできるかと聞かれました。私は、日本人は働いているから、4日間も市民を拘束して討議することは無理だと答えました。正直、できるなんて思ってもいませんでした。しかし、日本においても、2005年に青年会議所が主催する市民討議会が実施され、2005年、2006年は4件の実績でしたが、今年は多摩市を始め多くの自治体で実施されております。今回私は、多摩市における事前準備段階でのプレ討議会に参加させていただきましたが、図書館サービスという具体的な課題について必死に取り組まれており、既にその時点において喧々囂々(けんけんごうごう)の議論がされていました。このような新しい市民参加手法の取り組みにおいては、まだまだ検討することは多々ありますが、それ以上に、こういう新しい手法を具体化して、これまでの手法を突き破る力を持った人たちがいることに驚いております。今日はこのトークセッションで勉強させていただきたいですし、恩師であるディーネル先生の市民参画の想いを少しでもお伝えしたいです。

大杉
私は行政学、都市行政論、地方自治を研究しています。多摩市における経営改革を進めていくために、市民からの提案をまとめる委員会に参加しました。それ以来、多摩市の補助金改革に取り組み、補助金の評価委員をやっていた当時は、毎月1回以上は多摩市役所に通っておりました。
この討議会は、これまでの市民参画の手法とはまったく違うわけではないのですが、その中のそれぞれ要素の特徴をより強化したものだと思います。例えば、実行委員会や討議する人の役割を明確にするやり方についても特徴が出ており、とても面白い仕組みだと思います。
私は今回の市民討議会には関わっておりませんが、実は、私の3名のゼミ生が実行委員スタッフとして関わっており、その関わりを通してか、これまでとは違う顔つきとなっていることから、自治について現場で大いに体得できたことと感じました。このことはゼミ生本人にとっても、また多摩市にとっても良いことだと思います。市民参加一般について研究するだけでなく、大学と地域が交流することに関心を持った出来事でした。

行政の全庁的な研修・検討市民参加・参画・協働 行政職員の関わり

写真:トークセッションの様子1


大杉
市民が主役となって市民参加、市民協働を進めて行くというのは、世の流れからは必然だと思いますが、いろいろな市民参画の手法が出てきたのは時代背景、社会背景と密接につながっていると思います。日本では政治生活という言葉はあまり使いません。英語圏ではポリティカルライフという言葉がよく使われており、日本では政治という言葉は限定的にしか使われていないのです。しかし、日常生活と並行して使われてもいいのではないかと思います。我々は政治という言葉を党派的とか利害対立というような言葉として使ってきましたが、それだけではなく市民参加、市民活動も政治生活、ポリティカルライフの一コマだと思います。
日本では"自立した市民"を考えていくことが、まだまだではないかと感じます。地方分権改革が進み、自己責任が求められる中でひとりひとりの個人がどう行動するべきか、日常の生活と共にあるポリティカルライフを考えることが必要だと思います。まずこの点、ポリティカルライフをどう捉えるかを投げかけたいと思います。
今、申し上げたのは市民の立場からの話ですが、私は行政学者でありますので、次は行政という観点から話をさせていただきます。市民討議会をはじめとする市民参加は、行政のツール〔道具〕として使われています。市民参加といえども行政のツールとしていくつか考えなければいけないことがあると思うのです。そのうちのひとつで大事なことは、市民参加といえども効果的で効率的に結果を出さなければならないということです。
ただし、市民参画はプロセス〔過程〕も大事です。日本全国では市民参加が多く行われており、それに関わる行政職員が忙殺されているのも事実です。それ自体は必要なことだと思いますが、いろいろな市民参画があまりにも考慮に欠けたまま行われているのではないかと思うのです。つい最近まである自治体で大掛かりな市民会議が行われ、何百人も集まり基本計画の改定に携わっておりました。大変良い試みなのですが、もう少しうまくできないものかと正直思いました。行政職員は主に会場の設営や資料や議事録の作成などの雑務に忙殺されていたのです。それも大事ですが、行政職員が市民の中に入って行政の実情を話すことも大事なのではないでしょうか?行政職員も市民です。今回の市民討議会もとても首尾よくやられておりましたが、行政職員や実行委員会スタッフがもっと討議の中に入っていっても良かったのではないかと思います。今回の市民参画手法では性質上、難しいとは思いますが、もう少し市民参加というものを行政職員が共有できるような仕組みを考えても良いのではないかと思います。

自立した市民

写真:トークセッションの様子2


篠藤
ある新聞記者の方に申し上げたことですが、プラヌークスツェレは「コロンブスの卵」と同じで簡単な方法でできます。やってみるとわかりますが、難しくありません。その方が取材したあるプラヌークスツェレにおける記事を送ってくれました。小見出しには「コロンブスの卵」と出ていました。メソッド〔方法〕はある意味シンプルです。日本における民主主義、市民主体による統治は、現実には市民の日々の生活が忙しく難しいと思いますが、民主主義で一番大きなものは選挙だろうと思います。投票箱というマジックを皆さんは信じています。選挙で選ばれた代表者をある期間が経てば変えられるという思いに支えられています。先ほど大杉さんがポリティカルライフのお話をされました。積極的に関わることもポリティカルライフであれば、観客になっている、傍観者になっている、関心もないということもポリティカルライフのひとつです。いわゆる公共的なものに「私」が関わる、あるいは現実を変える可能性があるということをほとんどの人が信じていまん。
私は1970年代に大学に入り、ちょうどしらけの世代が始まった時の学生でしたが、今の学生はしらけの世代の子ども達です。彼らの多くは公共とはまったく関係せず、大学では国家・社会のことをまず考えるべきであると思われたことすら知りません。市民参加といういろいろな形が起こっているのは事実ですが、そういうものとまったく切り離されて、一人ひとりが個人のことばかり考えている人の集合が社会ということになってしまい、"公共"は結局大きなエゴの集合という扱いになっています。
しかし、先ほどの市民討議会の報告を聞いて、実行委員会に参加された方々、討議会に参加された方々が体験し目撃されたものはどういうものでしょうか?ドイツにいた時、プラヌークスツェレのスタッフとして見たものは、博士号を持つ先生や学生、年配の方が同じテーブルで本当に真剣に、我々の課題・問題は何だろうと話し合っていたことです。そしてメンバーを変えまた話し合います。先ほど大杉さんが言われた"自立した市民"という言葉がありましたが、実はそういう市民性はみんな持っています。隠されているものが、機会があるとパッと姿を現します。市民の力は信じられるんです。人々の中には公共の根があり、これを形成することができます。社会の中で失われたと思われていたものをもう一度信じられるかもしれないと思いました。

大杉
自立した市民が姿を現す。私が多摩市に関わっていたときに「新たな支え合い」という新しいコンセプトが話し合われました。多摩市の中で新たな支え合いをつくり出す市民というものをどう浮かび上がらせるのか?プラヌーンクスツェレは自立した市民が姿を現す仕掛けになっていたということで大変興味深い話をいただきました。

白鳥
近年、ワークライフバランスという言葉をよく耳にします。仕事と生活をどうバランスさせるかを考えるということです。人は仕事をし、家庭を営むことに加えて、地域のことをしっかりやるということが一人前の大人という考え方です。自分も地域のことに関わる時間が少ないが、そういう理想をもとに生活を改善しなければならないだろうと考えています。
自立した市民という話が先ほど出ました。これまでの経験に基づいても、まさにそのとおりと思います。自治基本条例の策定におけるワークショップの中で市民同士の対立がありました。そんな中で皆さんと共有したことは、次の世代のことを考える、責任をもって関わる、多摩市に住んでいる人だけではなく、多摩市で働く人たちなどを含めて考えるということです。これらの柱が条例を作る人たちの根っこになり条例案をまとめていきました。
地域主体、市民主体のまちづくりに取り組む必要性が高まっている中で、人材活用、市民組織、活動体制、活動資金も課題です。地域で活動する人材を効率的にうまくつなげる仕組みとは何なのかを考えていかなければならないと思います。

多摩市自治基本条例

写真:トークセッションの様子3


大杉
今話題となった多摩市自治基本条例について、お話いただけますか。

白鳥
多摩市ではこの条例の策定において、市民が主体となった「多摩市市民自治基本条例をつくる会」を立ち上げて検討してきたという経緯があります。そのプロセスが全国で注目されましたが、現在市民の中には条例を知らない人も多いのが実態です。条例策定過程において、最初の半年間は進め方の議論をし、その後グループに分かれて議論を重ね条例の骨子を決め、そして、それぞれの案を一本化するという大きな作業を乗り越えて創りました。つくる会での検討が1年半という期間であり、市民間の合意形成には非常に長い時間がかかり、主体的に市民間の意見を調整しての取り組みでした。その後、行政との10回の意見交換を経て、大変苦しんで誕生したものです。多摩市自治基本条例の特徴の一つとしては、自治推進委員会の位置づけが書かれていることです。これは条例の執行や市民参画や情報共有を始めとする自治の状況をチェックする第三者的機関であり、これまで、行政評価のあり方について審議し提案しました。現在は、市民参画や人材活用について審議しております。

大杉
多摩市自治基本条例は、法的に言えば、多摩市の他の条例と同列ですが、最高規範として運用されています。よって多摩市の憲法のようなものとして、普段は気にしなくともいざというときに重要になるので、存在は市民が知っておくべきだと思います。

篠藤
ドイツの場合、ボンは古代ローマ帝国の植民地でその歴史は国家の歴史より長く、市長はとても尊敬されています。そこで日本のように、市長が州の議員になり、さらに国会(連邦)議員へ行くことが"キャリア・アップ"なのだという考えはありません。自分のまちが一番偉いということです。都市の歴史、誇り、また法的に強い形で自治が保障されています。日本の市町村合併のような、行政の効率を先にして、社会統合を後から考えるというのは自治の考え方からすると"狂気の沙汰"とドイツでは思われることでしょう。強い言い方ですみません。
また、ドイツにおける景観条例の条文を見ると、子どもでも判る内容になっています。日本の条文は非常に専門的になっています。自治基本条例は画期的な内容と思いますが、これからは日常の言葉を使いつつ、内容も誰もが理解し納得できるような体裁にする必要があると思います。

大杉
ドイツでは国家より先に都市という話でしたが、多摩市はニュータウンが大部分を占める新しい都市です。だからこそ、自治基本条例を創ったということもあろうと思います。また、多摩市の自治基本条例の条文は、「ですます調」でわかりやすい言葉で書かれていますね。

白鳥
実は、多摩市自治基本条例の市民案は「ですます調」で創りましたが、行政の当初案では他の条例と同じように「である調」に変えてしまいました。市民が抗議し市民案を尊重した「ですます調」になった経過があり、今の体裁となっております。

市民参画手法の今後の活用

写真:トークセッションの様子4


大杉
自治体の合併の評価はいろいろありますが、歴史が違う者同士なので、ルールづくりのための土台づくりは必要ですし、それをうまく運用しなければなりません。先ほどの白鳥さんのお話でも、自治基本条例の策定過程で時間がかかったとのことでしたが、市民間の合意形成の課題について話を伺いたいと思います。特に、このプラヌーンクスツェレの手法を今後どう生かせば良いのかお聞かせください。

篠藤
多摩市のような市民参加が盛んなところでは、多様な方々が参加されています。みんなが参加できるわけではなく、市民の民意をすべて反映されているわけではないのですが、今回の試みでも多様な市民が参加されたことが確認されました。市民討議会では5~6名でひとつのグループを作り一コマ50分間、井戸端会議のように少しずつ話していました。互いの意見を交換しながら、私たちの図書館・図書館サービスについて意見交換し、合意形成をしていきました。皆で考えることで自分の意見が変わっていきます。ドイツにおいて意見が分れることもあります。どうして合意されるのかと聞いたところ、「私は"私の意見"を言うためではなく"私たちの案"をつくるために参加している」ということでした。私たちは、個々の意見があってその集合があるという考えにともすれば慣らされています。しかし、"私たちの意見"を形成するために、一般の人々が集まり討議することが、ドイツだけではなく多摩市の中にも現れています。公募型やNPOに参加している方や眠っている市民力を持った方が参加できれば多摩市はもっともっと良い市になると思います。

白鳥
本日の発表会では、参加された方々が楽しそうに取り組む雰囲気が伝わりました。このような取り組みが将来の多摩市のまちづくりにつながる、人づくりになれば良いと感じました。これからも多摩市に関わっていきたいと思えるような市民参加になればと思います。若い方々が関わっておりましたが、大学とも連携することで自治基本条例が目指す姿につながっていくのではと感じます。

大杉
多摩市でこのような試みに参加することについての評価はいかがですか?

白鳥
これまでの市民参加は公募で集まってきた方々であり、関心のある方の参加でありましたが、今回は無作為で選ばれた方が参加する方法で、幅広い意見を伺うことが出来たと評価します。また、参加者のアンケートを見ると「このような市民参画に初めて参加した」方の割合が85%であったことは、新しい参画主体となる市民の掘り起こしになった、ある種のきっかけであったと、評価されるでしょう。ただ、二日間の討議で終わりになってしまうことからも、今後、このような関わりが何らかの形で継続され、再び集まる機会があると良いですね。そのためにも、自分が関わったことを誇りに思い、自分たちの提案がどのように生かされているのか、関心を持ち続けることが重要と思います。

さいごに

篠藤
多摩市は、市民参画ナンバー1の市です。ぜひ、市民参画を通じて市民力がもっと現れるようにしてください。仮に、多摩市において無作為で抽出された3000名に案内を出しますと、その中には自分に身近な方がいるかもしれません。また、年1、2回開催できれば、普通に生活している市民が関わり、新しい公共の姿とそれに関わる市民が見えてくると思います。多摩市でこの芽を大きく育てることが日本全国の刺激になると思います。

白鳥
市民参加の取り組みは、実際に参加した方にしか判らないものもありますし、それが楽しめることだと思います。今回、9月の討議会における、参加者そして、実行委員会スタッフ、傍聴者に至るまで、参加し見たことで、市民参画におけるいろいろなノウハウを蓄えたと思います。今後、他の市民へつなげて欲しいと思います。参加した人が、体験した情報を流すこと、そのような場を増やしてみんなで共有していくことが必要です。

大杉
今回の市民討議会の特徴には、グループ討議に際して情報提供をしっかりされたことを強調しておきたいと思います。これは、行政が今までやってきた市民参加ではなかったことではないでしょうか。自治基本条例にも書かれているように、情報共有に努めることは行政の役割であり、情報提供をしっかりとすること、常にこういう参画の場を設けることは、市民力のアップにもつながります。また、関わった市民の皆さんがそれを伝えていくことも大事です。そのような人が増えればさらに良くなると思います。参加して始めてわかる楽しさを共有できる場を設けることは重要だと思います。
本日は楽しいトークセッションとなりました。私も含め、客席の皆さんも、多くのヒントを手にいれることができたのではないでしょうか。どうも、ありがとうございました。
また、客席の皆さん、ありがとうございました。

白鳥 篠藤
ありがとうございました。

  • 注1 "タマミライ"市民討議会の愛称で、ロゴのデザインを含めて実行委員会が意見交換を重ね決定した。「多摩市の未来について、考え、そして思いを伝えよう」との趣旨。愛称だけでは伝えきれていない事から、「つたえよう あなたの思い」をサブタイトルとした。
  • 注2 ドイツで発案された無作為抽出市民による市民討議会の意味。計画をつくる(プランニング;planning)細胞(セル;cells)のドイツ語読み。
  • 注3 一定の課題について集団で検討する作業。

§「TAMAMIRAI2007 つたえよう あなたの思い 多摩市民まちづくり討議会」とは

多摩市では、平成16年8月1日に、「私たちのまち 多摩市 を私たちで創る」基本的なルールを定めた「多摩市自治基本条例」を施行し、情報共有、並びに、市民の市政への参画の場を充実させたまちづくりに取り組んでおり、情報提供を工夫し、これまでさまざまな市民参画(参加)手法を活用し、多くの市民の声を市政に反映してきました。平成19年9月8日(土曜)、9日(日曜)に、新たな市民参画手法として、"無作為抽出の市民"による「市民討議会」を開催しました。この無作為抽出の市民による討議会は、まちづくりにおいて幅広く市民の意見を求めるために、ドイツで開発された「プラヌーンクスツェレ」(計画を考える細胞:英語ではplanning cells)を参考にしたものであり、これまで行政に声を届ける機会の少なかった市民、特に関心を寄せていなかった市民の声、すなわち「声なき市民の声」を明確にする機会となると考えました。
討議会への参加者は、16歳以上の多摩市在住市民1000名を"無作為抽出"し、参加依頼状を送付し承諾を得た方々です。参加者は、二日間、9時から5時過ぎまで、テーマに沿った専門的、多面的な情報提供を聞いた後、5~6名のグループによるワークショップを繰り返し、お互いの意見・提案を聞きながら意見を集約し、最後には参加者全員による投票により、意見の優先度を計りました。その後、実行委員会スタッフが忠実に討議会意見を"提案"としてまとめ、三ヵ月後の12月2日(日曜)に「提案&報告会」として、それらの成果を発表し多摩市(教育委員会)へ直接手渡しました。その提案は、自治基本条例(施行規則)に規定されているとおり「誠意を持って適切に取り扱い、事案の決定を行う」こととなっております。

※市民討議会の開催において"無作為抽出の市民"による幅広い討議をいただく上で、「企画・運営、そして討議会の成果のとりまとめには、第三者的立場での公平性が必要である」との考えから、行政運営ではなく市内の団体やNPO、そして大学等に声をかけ、それらを主体とした実行委員会により実施しました。

実行委員会スタッフの思い

〔平成19年12月2日 TAMAMIRAI提案&報告会 開会挨拶より〕
私は、首都大学東京法学部の学生で、地方自治に関するゼミを受講しており、今回、市民参画の実践に関わる機会と考え、TAMAMIRAI2007多摩市民まちづくり討議会の実行委員会に参加しました。
実行委員会では、市民討議会本番に向けて6ヶ月間の準備、9月8、9日の土曜日、日曜日の朝から晩までの連続二日間の討議会の実施、その後の討議結果のとりまとめ作業を経て、今日このように討議結果を市民の皆さんに報告し、行政に対し「提案」という形で手渡すまでに至りました。
今回の提案&報告会ですが、単なるイベントではなく討議の結果報告を行う事で、今回の市民討議会のゴールとなりますが、これらの結果を行政に「提案」という形で手渡すことで、さまざまな側面から議論され、また新たな議論を呼び起こし、政策や施策に影響を及ぼすという点においては、新たなスタートでもあります。
今日の報告会、さらには提案が施策にどのように反映されたかを見ることを通じて、多摩市の図書館行政の未来に、ひいては多摩市の行政全体に関心を示して頂き、まちづくりに興味を持ち、意見や提案を述べて頂ければ幸いです。そして、多摩市を好きになっていただきたいと願います。
実は、提案報告書の裏面に薄い字ですが、書かせていただきました。「だって多摩市が好きだから!」。この気持ち、この思いでまちづくりに関わって頂きたく、本日プログラムにおいて、まちづくりのヒントを得て頂ければ幸いです。本日のプログラムの後半には「市民が主役のまちづくり 多様な市民参画手法」と題したトークセッションも開催されます。どうか、最後までお付き合いください。

多摩市自治基本条例 前文

私たちが暮らす多摩市は、太陽の光あふれる、緑豊かなまちです。
私たちは、ここに集い、あるいは生まれ育ち、学び働き、暮らし、生涯を終え、それぞれの歴史を刻み、文化を育んでいます。
私たちは、先人の英知とたゆまぬ努力によって発展してきた大切なこのまちを、より暮らしやすくするとともに、次の世代へ引き継ぐために、ともに力をあわせて自ら築いていかなければなりません。このため、私たちは、一人ひとりの人権を尊重しつつ責任を分かち合うとともに、誰もがまちづくりに参画することによって、私たちのまちの自治を推進し、それぞれの持つ個性や能力がまちづくりに発揮される地域社会の実現をめざし、ここに多摩市自治基本条例を制定します。

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このページに関するお問い合わせ

協創推進室 市民自治・コミュニティ担当1
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